玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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痛快!LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標

スリル!ショック!サスペンス!エロス!アクション!ミステリー!
痛快!暴力!戦争!戦闘!決闘!愛憎!美学!諧謔!爽快!そして苦味。
良い映画でした。
具体的にどこが良かったのかって解説すると無粋になるから言いたくないんだけど、とにかくアクション活劇として滅茶苦茶出来が良かったし、濃かった。
上映時間がたった50分で入場料金も一律1300円とお安い設定の短編なんだが、2時間弱のスタンダードなアクション映画を見たくらいの充実感があって、見終わって時計を見たら50分しかたってなくてびっくりした。
内容的には、2012年放送のテレビシリーズ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』の流れをくむスピンオフシリーズ「Lupin the Thirdシリーズ」の第2弾。監督には、前作でキャラクターデザイン・作画監督を担当した小池健が起用されたってことで、峰不二子という女の流れでのアダルティー・ルパン路線。
つまるところは原作のアダルト萬画への回帰ということで、こういうのは長期のシリーズものとしてはスタンダードな現象と言えるのかも。ウルトラマンティガ仮面ライダークウガ宇宙戦艦ヤマト2199美少女戦士セーラームーンCrystalとか。機動戦士ガンダムではTHE ORIGINがそれにあたるかもしれないが、むしろガンダム機動戦士ガンダムF91でスタッフ的には原点回帰して、機動戦士Vガンダム世界名作劇場的な70年代アニメへの回帰を行ったのかもしれん。
まあ、ルパン三世シリーズも、ここ15年くらいはファミリー向けTVスペシャルが多いが、結構何度かモンキー・パンチ路線への回帰を目指すOVAや映画もあり。
それで、今作だが、絵柄はアダルティーだしスタイリッシュだし、エロスやバイオレンスシーンも多いんだが、実は構成としては割とスタンダードなトムスのTVスペシャルのルパンを踏襲している部分も多い。
ルパンと不二子が宝を盗みに潜入した所で国家の陰謀に巻き込まれて、キーになるアイテムを見つけて、敵の中ボスを倒しつつアクションを何度かして、それなりにピンチになるものの、ルパンたちが一発逆転で強敵を倒し、悪の急所を突いて、去っていく、って言う。
こういうシナリオ構成だけ見ると、割といつものルパンなんだけど、演出とか絵柄とか芝居の緊迫感で、ぐっと大人向けの雰囲気を醸し出しているのはスタッフワーキングの上手さだと思う。

次元大介という男-2

次元大介という男-2


敵のライフル使いに何度もルパンが撃たれて、撃たれても立ち上がるのを見て「ライフルで撃たれてあの程度の傷とか萬画っぽいな」と、見せかけて、ラストシーンでは「やっぱり次元のマグナムはすげえ!」って思わせる銃の演出の使い方も素晴らしい。


ラストシーンのタバコや外車やバイクの使い方も爽快そのもの。僕は煙草は辞めたけど、劇中の70年代の格好よさを現代の目で見てもとてもカッコいいと思わせてくれた。煙草の使い方としては、延々と吸い続ける風立ちぬよりも要所要所でタバコの使い方と味わい方の雰囲気に変化と意味を持たせる次元大介の墓標の方が煙草アニメとして格好いいと思った。やっぱりルパンは煙草だし、ルパンと次元が煙草を吸って笑い合う所はとってもいいコンビだと思う。
峰不二子もすっげえエロかったし、食えない女っていう格好よさとチャーミングさを同居させていたし、ルパンと次元がメインの話だがそこで付かず離れず謎の女としている不二子も魅力的だった。


五右衛門とあのお方と銭型はワンカットだけ登場。


うーん。とにかく痛快で「アニメこそ日本人が作れる洋画」っていうパワーを感じた。面白かった。
また、70年代冷戦のモチーフが舞台設計なんだけど、元々ルパンシリーズは架空の国が舞台であることが多いし、ハッキリと国名を明示していないんで、現代の目で見ても民族紛争とか情報化社会への風刺と言う点では古びた感じが無くてよかった。もともとルパンはSFに近いトリックも多いし、そこら辺も雰囲気を保ったままアップデートしていて良かったんじゃないかなあ。


とにかく超カッコよかったし、痛快だった。同時に男の美学とロマン、そして男の苦さも入っていて美味い煙草のような映画だった。