※注意
ガンダムのオタクは一冊漫画を読んだだけですごい話が長いということをスクロールバーで確認してください。1万文字あります。
明日は富野由悠季の世界展のDVDじゃ…。(結局会期が終わっても全部の展示物についての感想は書き終わってない)
- こんなガンダムが見たかった!
機動戦士クロスボーン・ガンダムシリーズは機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTの大団円で終わったのだが、やはり本当の主人公の話をせずには終われない!というわけでカーティス・ロスコの最後の冒険の話です。
まあ、それを言ったらF91の主人公であるキンケドゥ・ナウのコスモ・バビロニア建国戦争の本編の詳細は色んな事情で描かれないんだろうなあという悲しみがあるんですが。
やっぱり、機動戦士ガンダムF91と機動戦士VガンダムがリアルタイムだったSDガンダム世代の80年代キッズとしてはですね。ユニコーンあたりがやっているジオン公国関連の話よりもむしろ木星共和国との決着のほうが課題としてあるわけですよ。
富野由悠季監督を頂点とする宗教的な理由でナラティブもサンダーボルトも見てないわけですし。(まあ、G-レコも完全に咀嚼しきってないので他のガンダムは理由をつけて見てないのだが)
で、機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト以前から、ツイッターとかで「ザンスカール帝国独立戦争から生き延びたウッソ・エヴィンの父親のハンゲルグ・エヴィンと木星との戦いが見たい」とちょくちょく発言していた。スパイアクションものとして007みたいに「ジン・ジャハナムは二度死ぬ」という感じの物を誰かに書いてほしかった。とか言ってた。
まあ、ハンゲルグ・エヴィンをアニメのガンダムやクロスボーン・ガンダムシリーズに出すのは色々と面倒だし、ハンゲルグ・エヴィン自身も色々とめんどくさい人なんですが。本編の演出での生死自体もめちゃくちゃ曖昧ですし。
こういう僕のインターネットでの発言が長谷川裕一先生に届いたかどうかはともかくとして、Vガンダムでチラッとだけ出て放置されていたザンスカール帝国などのスポンサーをしていた木星共和国タカ派とスパイとの政治的戦争のドラマとその決着は見たいと思っていたんですよ。
いや、ジオン公国関係もネタの宝庫なんですけど、地球圏でジオンも連邦も戦争するために燃料として木星のヘリウムに依存しているという歴史があるので、木星との決着を付けないと宇宙世紀は終わらないと思うんですよね。(ニュータイプ論としては初代クロスボーン・ガンダムとガンダムX、遅くとも新約Zガンダムでだいたいの結論は出ていると思うので、今更語る必要はないと思う)
で、「ジン・ジャハナムは2度死ぬ」をもともと見たいと思っていたので、今作の「クロスボーン・ガンダムX-11」は冒頭から「カーティス・ロスコは2度死ぬ」ネタをぶっこんできていて、「うん、これが見たかったんだよ!」ってなった。さすが、岡田斗司夫さんに長谷川裕一先生は世界で二番目にオタクの心がわかっていると言われた漫画家だ。まあ、戸籍上、トビア・アロナクスも2,3回は死んでるんですけど。(本物のカーティス・ロスコはすでに死んでるしな)
- スパイ、宇宙海賊、忍者
なので、今作「X-11」はスパイものなんですけど、スパイって日本だと忍者なので。富野由悠季監督は初代クロスボーン・ガンダム以降は関わってないですけど、富野監督もめっちゃ忍者好きな人なので。宇宙海賊とか私掠船免状海賊とかも割と忍者なので。G-レコのアイーダ・スルガンさんも宇宙海賊なので。グシオン・スルガン総監もメガファウナのことをスパイ組織って言ってたし。
宇宙海賊と忍者、スパイは割と近いし、トミノっぽさもある。
国家のために働いているし、むしろ正規軍より中枢の直轄だけど非公式なので切り捨てられる身分としてのスパイとか忍者っていうのはある。リーンの翼の床山とか。
ファーストガンダムのミハル・ラトキエのエピソードも直球で「女スパイ潜入」だしね。富野監督もそういうのが好きなんだと思う。
なので、長谷川裕一先生は富野監督とは関係なくクロスボーン・ガンダムシリーズを書いているし、ガンダムエースの宣伝文句の「宇宙世紀の空白を埋めるクロスボーン・ガンダムX-11新連載!」というのもバンダイの商品展開っぽくて疑問ではあるが、ガンダムを題材にしたスパイアクションを見たいとずっと思っていたので。
閃光のハサウェイもそういうところがあるんだけど、まあ、反政府ゲリラ集団と木星の女王様のスパイはちょっと違う。
で、もう、本当にガンダムと言うよりテンプレ的なスパイアクションというか007な感じでめちゃくちゃ狙いが正確でわかりやすい。
スパイが敵対組織の内情を探るために罠を張って、そこに敵の女殺し屋が来て、その女と危険なふたり旅で、互いに腹の中を探り合いながら生き延びるために爆弾工作をしたりとか、めっちゃスパイもの。スパイじゃなかったらルパン三世シリーズのTVスペシャル。ボンド・ガールとか単発ヒロインみたいな。
ていうか、この漫画、一冊、ほとんどカーティス・ロスコと敵の女殺し屋の強化人間・イオしか出てこない。
ツッコミ役でAIが出てくるのはゴーストからの引き継ぎだけど割と最近そういうAIが出てくるアニメ作品多いですよね。まあ、VガンダムのハロもかなりアグレッシブなAIだったけど。
二人しか出てこないんだけど、二人のすれ違って共有しているのに分かりあえていない過去の回想シーンを複雑に噛み合わせることで、いろんな時代のモビルスーツやキャラクターや場所を出して、現代では数時間しか経過してないし二人しか出てこないし、いわゆる密室劇に近いのだけど、過去の回想を通じて、いろんな関係に枝葉を伸ばして、それが物語のアクション性というか躍動感に成っている。
- 大人のガンダム
大人のガンダムっていうか年を取ってしまったオタクのガンダムなんですが。だって、僕もウッソ・エヴィンや碇シンジくんや伊佐未勇やロラン・セアックと同年代の90年代キッズだったので、1994年連載開始のトビア・アロナクスとも同年代だったんですが。(少年エースを買う金はなかったのでクロスボーン・ガンダム本編を読んだのは今世紀に入って廉価版が販売されてから)
そんな僕も40歳を迎え、カーティス・ロスコは50すぎのおっさんスパイに成った。(山口勝平さんも高齢の役をするようにもなったけど、夜叉姫の犬夜叉は子持ちなのに若いね)
もう、加齢は意識するわけですけど。最近のジェームズ・ボンドも割とおっさんっぽいと言えばおっさんぽいし007シリーズ自体が老人向けコンテンツといえばそうだしガンダムもな…。というのもある。
そういうおっさんというか、ずっと続けてたら自然に読者も作者も高年齢に成ってしまったし主人公もアムロやシャアよりも長生きしてしまったクロスボーン・ガンダムという題材ですが。逆襲のシャアのアムロみたいにスポンサーから独身にしろと言われず、むしろ複雑な婚姻関係をしている主人公だが。まあ、そこもアダルトだけど。でも長谷川裕一先生の基本はロリコンだけど。(でも最新作のマン・バイトでもパンチラとか入浴シーンで止まってるというのがもう・・・)パンチラには異様なこだわりがあるが。
(80歳になっても思春期の初恋とか学校の先輩との男を賭けた喧嘩とかをG-レコで書いてるのが富野由悠季というガンダムの創始者なので、そこはしょうがない)
しかし自然とそうなってしまった高年齢向けというのをネガティブに捉えたり懐古趣味にするわけでもなく。むしろ少年向けでは難しい回想シーンの組み合わせなど、高度な構造の演出をしてもいいだろう、という理由にしている気がする。(クロスボーン・ガンダムDUSTは逆に割とわかりやすく数字が増えたり、カウントダウンしたりしていて、それはそれでサスペンスドラマだったんですが)
そういう点では「劇場版機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」はサンライズ(今はバンダイナムコなんたらに社名が変わって異動したのか?)の小形プロデューサーいわく、「ビジュアル面でクリストファー・ノーラン監督の映画のような大人のガンダム」ということらしいが、このクロスボーン・ガンダム・サーガの蛇足であるX-11は記憶のいたずらをドラマ構成に積極的に活かすことで、絵柄としては割と初代クロスボーン・ガンダムから上手くもならず下手にも成ってない画力(それはそれですごい)だけど、二人の人物の主観や回想が入り組んだり変化するという構成面でノーラン作品のような大人のガンダムになっている。
しかし、そこで変に気取って大人ぶっているとか洋画風にしているというわけでもなく、精神操作された強化人間の記憶が主人公との関わりで変化するという実にガンダムらしい「いつものやつ」をそういう構成を作る理由付けに生かしていて「うん、クロスボーン・ガンダムだね!」って思える。富野作品だとザブングルとかエルガイムでもやってる「記憶をいじられた女の子のいつものアレ」です。記憶のいたずらはブレンパワードでもキングゲイナーでもやっている。
ていうか、初代機動戦士ガンダムから「女スパイ潜入!」ですから。いや、ミハル・ラトキエのエピソードは自転車泥棒リスペクトなんですけど。
で、客観的には密室脱出劇サスペンス・アクションに分類されるシチュエーション劇だけど、内面的には二人の男と女の主観と記憶(それと人間観についての思想のぶつかり)が交錯する話。
薬漬けの強化人間の女と整形を繰り返した裏稼業スパイの記憶と回想のドラマと言うと割と内面的でウジウジしたダークな単館映画的な雰囲気になりそうなんだけど、そこはそれ。50すぎのおっさん主人公のカーティス・ロスコの過去は溌剌とした少年のガンダムパイロットのトビア・アロナクスなので。ガンダムパイロットの中でもトップクラスに明るくてしっかりもののトビア・アロナクスなので。いや、カミーユ・ビダンにもカミーユなりの元気さはあったけども(軽率に敵の女スパイとソフトクリームを食べたがったり)。
振り返った過去でもトビアは冒険を繰り広げていて元気だしユーモアもある。やっぱり海賊の漫画なので。宝島みたいな感じの、少年の心をワクワクさせる活劇という面も忘れていない。むしろ回想シーンを何度も入れることでいろんな時代のモビルスーツがガンガン出てきて楽しい。
なので、本筋は一本筋で進む密室脱出サスペンス・アクションだけど、複数の過去回想で少年冒険をやっていて緩急がある。
あと、加齢をしているんだけど、スペース・オペラ作家らしくDUSTにも出てきたコールドスリープというガジェットを使って、「人が自然に加齢しないようにする奴は悪」という人間讃歌を入れていて上手い。ターンエーガンダムにも通じる。しかもそれが二人の男女の年齢差トリックで、すれ違いの演出の味付けにも使われていて上手い。
- メカものとしても楽しい
007もスパイものだけど、ボンド・ガールと双璧をなすボンド・カーというものがあり、メカアクション要素もある。そこにガンダムがきちんとハマっていて、回想シーンでスカルハートが出るとイヨッ待ってました!ってなる。
今作のタイトルで主役ガンダムのクロスボーン・ガンダムX-11も基本的にX-1と同等の性能というのも初代からのファンとしては嬉しい。(途中の欠番が多すぎる気がするけど、DUSTでX-13を出しちゃったし)
X-1と同等の性能で見た目もだいたい同じだけど、塗装としては、ちょっと黒が増えている。これもνガンダムっぽくて少年のガンダムパイロットが大人になったらこういう配色だよなって。(クロスボーン・ガンダムゴーストのX-0のシルバーも富野喜幸監督が作った旧キットガンダムみたいで、そんな感じですが)
敵のモビルスーツもクロスボーン・ガンダムの木星過激派によるコピー品だけど、クロスボーン・ガンダムX-1フルクロスとはまた違った感じの「海賊っぽさ」で、Fate/GOのフランシス・ドレイクみたいなピンク色で羽根付き帽子を被ってマントを翻しながらフェンシングをするっていう割とふざけたロボデザインなんだけど。
モビルスーツなんだけど、女海賊と言えばこういう感じのデザインですよね、っていう雰囲気に説得力がある。そこはもう、クロスボーン・ガンダムだからとしか言いようがない。
かつて氷川竜介先生は富野アニメのメカの良さは「見立てのよさ」と仰っていて、このクロスボーン・ガンダムも別にガチでスパイや暗殺集団が使うなら別に海賊っぽくしなくてもいいだろという面もあるけど、「船の上で切り結ぶ海賊はかっこいい」という見立てをロボでやっていて、実に正統派ガンダムらしい。いや、海賊版だけど。アナハイムとサナリィのどちらが海賊版なのかは議論が分かれるところですな。RXシリーズも割とガバガバ認定だし。
デザイン面でそういう遊びやビックリドッキリメカ感を入れつつ、サスペンスドラマや人間性のリハビリを進める道具立てとしてクロスボーン・ガンダムならではのコア・ファイターのトリックとか、同型機だから成立するトリックとかアイディアがたくさんあって楽しい。でもそんなに奇抜ではなくて「クロスボーン・ガンダムシリーズらしさ」の範疇でのメカアクション。過去を蓄積しているのが強みになっている。作品としてもそうだし、戦いを長く生き延びて傷ついた歴戦の男の老獪にも見える戦い方と、強化人間としての瞬間的なパワーの女の凶暴さがバトルの戦術の対比演出にも通じていて、なるほどねってなる。伝統の二重ビームとかな。
長谷川裕一先生は長浜忠夫監督の超電磁ロボシリーズの漫画のビクトリーファイブも描いてているし、勇者ライディーンの続編のゴッドバードも描いているけど、超電磁ロボと古代神秘ロボとモビルスーツの書き分けがすごいちゃんとしてる。スーパーロボットは、どれも違うんだよ!これだから素人は!
あと、割と直球で最近(でもないか)の進撃の巨人パロディをやってて、あー、他の後輩漫画家の新要素も入れてるんだーと思う。進撃の巨人も大きさとか、敵の能力を取り込んだりとか、ロボットアニメやゲームっぽさがある。
進撃の巨人じゃん!としか言えないネタをぶっこんでいるけど、でもサイコガンダムとかも、そもそももともとの機動戦士ガンボイの企画段階のモビルスーツも拡張身体なので、まあ、そうなるわな、という説得力がある。進撃の巨人で見た感じのアイディアを上手くクロスボーン・ガンダムという機体の性能に落とし込んでいる。
性能面だけでなく、ガンダムはヒーローなので、女海賊っぽいロボを抱きとめるガンダムはかっこいいのだ。ちょっと少女漫画っぽさもある。桜吹雪とかが彩りを添えているし。
これはもう、ガンダムは好男子!だから成立しているとしか言いようがない。同じことをイデオンがするとちょっと怖い。サイズ的にはダンバインがやりそう。でも巨神の中の心っていう面では逆襲のギガンティスみもある。
あと、微妙に過去作のクロスボーン・ガンダムシリーズで消化不良だったビリーが妙に活躍してくれてちょっと嬉しい。よく考えたら宇宙世紀130年代って原子炉が小型化されているので。3m弱のロボットにそれを積んで対人戦闘に使ったらオーバーキルになるよなっていう怖さもある。
(士郎正宗のアップルシーのランドメイトも地味にそれくらいの大きさで原子炉を積んでる。ドラえもんは関係ない。ボトムズのATのエンジンはポリマーリンゲル液以外にもあるんでしたっけ)
- ルパン三世み
まあ、スパイものなので基本は007だと思うけど、ルパン三世味もある。ゲストヒロインの扱いが。まあ、これも名作のテンプレと言えばテンプレなんだが。どうもこのクロスボーン・ガンダムX-11(カーティス・ロスコ最後の冒険)という作品はあと一冊くらいで終わるらしく、連続TVアニメと言うより単発TVスペシャルを構成として意識しているっぽい。(初代クロスボーン・ガンダムはプロット的にはワンクールか半年くらいを意識したらしい)
ルパン三世のゲストヒロインでいちばん有名なのはカリオストロの城のクラリスだと言っても差し支えはないと思うのだが。
まあ、ネタバレになるけど、クロスボーン・ガンダムのメインヒロインはテテニス・ドゥガチ女王(本当の肩書はユピテル財団当主)で固定というのはある。それが女王様のスパイとしてのカーティス・ロスコの007みになっているのだが、同時に峰不二子というシリーズヒロインを差し置いて実は主人公のルパン三世と関わりが深かったゲストヒロインというカリ城のクラリスのオマージュも入れている。カリ城のルパンは一番おっさん臭いと言うか保護者のポジションなので。
それが長期シリーズに突っ込んできたゲストヒロインの存在感を高める必要条件を満たすネタなんですが。
まあ、それだけでもなく、加齢して戦いに飽きてきたおっさん主人公の中の少年らしい部分を再点火するのが若い女とか大人としての責任感とか。
でも、大人になったので責任感で子どもを守るヒーローになるかと言うとそれだけでもなく。もともとトビア・アロナクスはそういうヒーローなので、一貫していると言えば一貫しているし、過去の回想も演出やストーリーの緩急の要素というだけでなく、「おっさんになったけどトビアってもともとこういうヤツだったよな」と、2つの25冊に及ぶトビアが主人公じゃないクロスボーン・ガンダムシリーズを挟んだ上で、読者にもう一度記憶を思い出させるキーにもなっている。
それがX-11というタイトルのナンバリングという洒落が効いている。
- クロスボーン・ガンダムの人間らしさ
ガンダムシリーズの中でも人間らしさにこだわっているし、それがニュータイプ論の一つの決着みたいなところがある。
が、じゃあそれが正しいのかって言うとトビアがそう思っているだけという面もある。それに対しては鋼鉄の7人で「正しいかどうかではなく自分がそうしたいと思ったことをやっているだけ」というトビアの生き方が示されている。
なので、今回も人間性を蹂躙された強化人間に対して人間らしさを取り戻すようにカーティスが要求するのだが、保護者のポジションのおっさんが何も考えないで暗殺者をやっていた女に「自分の頭で考えろ」と言うのも割と人間観の押し付けでは?みたいな感じの場面もある。
強大な独裁者の言いつけを守って人を殺すというのが初代の木星帝国だし、狂ったザビーネのコスモ貴族主義なのだが。(本来のコスモ貴族主義はベンチャー企業がスポンサーの職業訓練学校とかで人材を育成して、腐敗した地球連邦政府の硬直した思考停止に対して行くという思想だったのだが、結局は個人の能力の競争でエゴのぶつけ合いや虚飾貴族家系の権威主義みたいになってしまい)
そういうふうに自分の頭で考えないで強者や権威に従って言いつけを守る社会や兵隊や人を部品にする思想はどうなのか?というのがクロスボーン・ガンダムの伝統だし、長谷川裕一先生の他の作品でも散見される要素だ。
とかなんとか漫画を読みながら考えていたら現実のロシアがプーチン大統領の言いつけを守ってウクライナに侵攻してしまい、現実の政治はガンダム以下という富野由悠季監督の最近の発言を実感しているところだ。僕は戦争に反対というより、基本的に人の言うことをこなすことに向いてないので不参加。
でも、政治家の言うことに従っているからとか、国家や国際同盟の方針で決まったからって言って、それで軍事行動に正当性をもたせると、兵士は精神的に楽といえば楽。宗教戦争とか。(小説版機動戦士ガンダムの密会とかでは、そういう殺人の正当化を動物以下の狂気と明言している)
ガンダムシリーズの倫理観ではそういう思考停止は悪なんだけど、でも楽じゃん。現実のガンダムファンもガンダムカフェ閉店セレモニーで「ジーク・ジオン!」って叫んで全体主義的な連帯感に酔ってるわけじゃん。
というわけで、今作のヒロインの強化人間がいきなり自分の頭で考えろって言われるのはすごくしんどそう。
でも、トビア・アロナクスも彼の50数年の人生の大半を「そういう独裁者の命令に反する海賊行為」に費やしているので。海賊はアウトローなので自分の頭で考えて戦って生き抜いているし、そのためには身分すら偽る。なにかに保証されているとか正しいかどうかではなく自分がそうしたいと思ったことをやっている。むしろ、カーティス・ロスコも自分が続けてしまった生き方に固執しているのでは?
で、強いものが弱いものに言うことを聞かせる主義と戦ってきたキンケドゥやトビア・アロナクスだけど。機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト編の主人公のフォント・ボーも「弱肉強食の強者の論理」と戦ってきたし、DUST編のアッシュ・キングもそんな戦士だった。
グラップラー刃牙シリーズの「強さの最小単位は我儘(意志)を通す力」という考えで国と対峙する格闘家バトルマンガの価値観もあるが。独裁者の個人的なトラウマとかわがままで国が動かされて戦争で人がたくさん死ぬのはアカンやろって言ってるのが初代の機動戦士クロスボーン・ガンダム。あとシャアもだいたいそんな感じ。
そういうわけでガンダムは残虐バトルファイトだしガンダムは最強なのでわがままな独裁者に勝つんだけど。
でも、ガンダムパイロットは最強だし勝利者なんだけど、そういうふうに生きてきた男が「命令に従うのではなく自分のしたいことをしたいように生きるのが人間の生き方だ」と他の女に押し付けるのも、少年らしい真っ直ぐな正義感のまま進んだワガママな態度では?
みたいな感覚を感じて第一巻が終わった。これは長谷川裕一先生が明言したことではなく、僕が感じた感想ですが。
俺が好きでやってることだって言ってるヒーローのドラマ、男の子のロマンスに巻き込まれる女はしんどいのでは?みたいなVガンダムを大人になってから見返すときの気まずさみたいな反省感もある。
(まあ、カテジナさんも環境のせいとは言い切れないDIOっぽさがある。東欧の戦争についてツイッターで現実を語る人はウーイッグの焼け跡を評するカテジナさんぽいかも)
大規模スケール宇宙スペクタクルアクションロボットバトルとしてはDUSTで割とやりきった感があるけど、X-11はどういうふうに気持ちとして落とし所を作るんでしょうね。悪い伯爵をやっつけてめでたしめでたしとはならんやろ。クロスボーン・ガンダムでは悪い独裁者を、もう4回くらい倒したので。
あと、最近、ニチアサキッズタイムを30年も見てたら「子ども向けエンタメの基本として、アンパンマンも戦隊もだいたい暴力で解決するし、むしろそういう話のほうが多いけど、それを基本的な入り口にするのは知的生物としてどうなのか?話し合いで解決することを基本にするほうが知的なのでは?」とかめんどくさいことを思っている。ニチアサキッズタイムを見ないで雰囲気洋画とかドキュメンタリーを見ればいいけど、子ども味覚のオタクなので結局ガンダムとかにこだわる。
まあ、別にガンダムは教科書ではないので、どういう結果になったとしても、それはカーティス・ロスコの最後の冒険であり、密会に過ぎない。僕の人生という冒険は別の路線で続く。なるべく長く冒険を続けて多く本を読んだりゲームをしたいので健康診断を受けてアルコールを減らしたり散歩を習慣づけたりしている。
でも、このマンガ一冊の感想を書くのに、最近は断酒していたのにラムコークにしてラム酒の瓶を半分空けました。むしろ一旦酔っ払って水でシラフにして、過集中になってからが本番みたいなところある。ブログとか執筆は酒の力がどうしても要る。まあ、海賊マンガだからな!しかたねえよ!
(マン・バイトと人形の国は普通に面白かったので特に感想は書きません。この漫画一冊について感想を書くのにまたてっぺん超えて5時間くらいかかったので感想ブログは体力を持っていかれる。体に悪い。でもやりたいのでやる。デレステがクリアできないのだが)
- 総評
本当にスパイものらしいお約束をキチンとこなしているし、ルパン三世とか進撃の巨人とかで見たネタやモチーフや展開もある。なので名作のパッチワークのようにも見える。その点で、庵野秀明監督とかと近いパロディオタク出身SF作家という感じはある。
しかし、他の作品やガンダム以外のジャンルから拝借したアイディアを付け足しても、クロスボーン・ガンダムシリーズらしさの味付けの基本的な雰囲気をそこなわずに、自家薬籠中の物語としてまとめる構成力に熟練のわざを感じた。ってなんかラーメンハゲみたいな感じだな。マンガを読んでるのではなく情報を読んでいるのか。
- 生活雑記的なあとがき
同好のアイマスPとしてベルセルクの三浦建太郎先生が死んでしまったのは悲しいことだが、執筆に専念するためにアイマスをしないほうが人生設計として正しかったとは誰にも言えないのだ。
いや、アイマスだけでも何種類もあるし元KLab社員の怨念返しとしてKLabゲームが流行らないようにレビュー工作活動するためにソシャゲを10本もしてる僕はブログも各ソシャゲもどれも中途半端な攻略状況になってるし本もプラモデルも積んでる。憎しみで行動すると死ぬぞ!
でも、オタクに優しくて可愛いギャルの限定大槻唯に天井したいという気持ちだけは本物だと思うから!それがリボ払い増加になったとしても!
……いや、石を貯めていたし未読のコミュで石を集めたので課金したのは緑の悪魔の千川ちひろさんが割引してくれる限定3回購入一回五千円セットだけでしたし致命傷で済んだぜ。昨日はレジェンドアイドル如月千早の誕生日だったのにデレステは限定回復大槻唯を追加してきて地獄だぜ。三年くらい前に大槻唯は引いたから今回は被弾しなかったけど。(担当の野々村そらちんが10年も課金対象にならないので、欲望を大槻唯にぶつけている。オタクに優しいギャルはアイマスには居る!)
しかし、課金したからと言ってそのゲームを完全クリアする必要もないので、なんとなく適当で中途半端に刹那的な快楽を求めて遊んでいるんじゃ。デレステのタワーイベントも登りきらんかった。
グラブルも風邪で一回古戦場を休んだら、なんかそこまで理想編成を求める必要を感じなくなったぞ。
でも、必要のないことはしないほうがいい、というのも極端なんだよ。うー。おもしろおかしくエンジョイしたいなあ。
まあ、何事も距離感とバランスです。ブログを書いている体感時間は30分くらいだけど、(思いつくのは5分くらい)、物理的な時間は多分、他の人と変わらないはず。宇宙探査機でも相対性理論とかウラシマ効果を受けても、数分もずれないらしいし。
でも借金があるので3年前に人に買ってもらった安いクロームノートパソコンの文字変換を待つ時間が最近だるいので、CPUを強化したい。借金・・・。メルカリで積んでたνガンダムを売るか。転売ではない!プラモを作るのが!面倒くさくて!面倒を見きれないので!育児放棄してるモビルスーツたちを里子に出すしかないんだ!
エヴァンゲリオンなんか中学生の時に買って作りかけのままシン・エヴァで熱が冷めてどうしようもない。
しかしメルカリの出品も地味に時間がかかるということに3ヶ月目で気づいてめんどくさくなってきた。そして出品待ちの古いオタクグッズが倉庫から中途半端に出て部屋が散らかっている…。。
(デレステ、ミリシタ、グラブル、FGOも割と無料10連とかで軽率に来るSSRを育児放棄してるな。ヘブバンはずっとアリーナで訓練させてる。今日は無料10連でキタサンブラックとオグリキャップとえいえいむんが来たけど、去年の春に作ったサイレンススズカが絶不調でもデイリーレースで1着取るので、スズカにだけ毎日集金レースさせる家畜ゲームになってる)
そしてメタルを聞きながらのブログ執筆で興奮した脳を寝かしつけるためにまた薬を使うのだ。
ふえーん。
- ほしい物リスト。
https://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Z
↑グダちん用
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匿名で住所を伏せてプレゼントを送るための、つかいかた
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