こんにちは、クッソキモイガノタのグダちん(@nuryouguda)です。無職です。
突然ですが、みなさんは『機動戦士Vガンダム』という作品をご存知でしょうか。「テレビ朝日」にて1993年から約1年にわたって放送された長編アニメです。2003年からDVDも発売され、黒歴史化までされている、いわゆる分裂症寸前を自覚して生きようとしたら、カラッポの理が走る。カラッポの知が走る作品です。
1982年に生まれた私は、これまでガンダムを全部見てきました。しかし、富野監督にとってのVガンダムとは「昔流行らなかった失敗作」でしかなかったのです。
そんな私が、今更Vガンダムを思い出すことになったのは、ある出来事がきっかけでした……。
- Vガンダムハラスメント
先日、VガンダムのBDが発売しているときに、ひょんなことから当時の話題になりました。
富野監督は「この作品は全否定したいと思っているものです。このような結果になったのは、全て監督の責任です。何かの間違いでこのBlu-rayで見た方は『機動戦士Vガンダム』の何がダメなのかを探してみてください。そこから気付ける人がひとりでもいらっしゃればBlu-rayとして出した意味があると思っています」と言ってきたのです。
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2015/07/24
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まあ、わからなくもありません。アニメコンテンツの大ヒット作品であるガンダムを読んで勉強することは、確かに重要なことでしょう。
しかし、20数年前に流行ったVガンダムを思い出すことが現代のコンテンツ制作に果たしてどれほど役立つのでしょうか。いや、そもそもこれはボンボンを読んで育った私に対する嫌がらせなのではないか。もしくは、更年期の頃に作ってガンダムを潰すと思った自分を正当化するために、後に引けなくなっているのではないか。はたまた、「『機動戦士Vガンダム』の何がダメなのかを探してみてください」という一見深そうな課題を与えることで自身の尊厳を守ろうとしているのではないだろうか……。
いずれにしても、ガンダムに精神的に依存していることを背景に、精神的な苦痛を与えられている以上、これはVガンダムハラスメントと言わざるを得ません。ヴィクハラです。
こうなったら、全話思い出して反論のひとつでもしてやろう、そしてついでに世にはびこるVハラを滅却してやろう。そんな訳で、決して監督に言われたからではなく、Vガンダムの音声を4倍速にしたものを毎日学生時代に聞いて訓練していた自分の脳の記憶の中によってVガンダムを全話思い出すことにしました。
- 最強ニュータイプと愉快な仲間たちのお話
まずはじめに、Vガンダムを見たことがない方のために、どのような作品なのかを簡単にご説明します。
Vガンダムは、人気ロボットアニメ『伝説巨神イデオン』の作家としても有名な富野由悠季監督によるアニメ作品で、宇宙世紀の伝記『伝説の白きモビルスーツ』をモチーフにして作られています。
主人公である「ウッソ・エヴィン」と愉快な仲間たちが、協力したりしなかったりしながら強い敵たちと戦っていく冒険バトルアニメで、途中、主人公がスペシャルであることが発覚したり、即位したり、死んだり、亡霊になったりします。
また、タイトルにもなっている「ヴィクトリーガンダム」とは、3つの戦闘機のパーツ集めると伝説の白いモビルスーツになるマルチプルモビルスーツのことであり、手足を破壊されても交換することで戦闘を継続できる、戦力の低下が低いんだ!
- 反論開始
子供の頃にVガンダムを始めて見たときの率直な感想は、「ほとんど意味が分からない」というものでした。見ている最中も、「何が起きているのか全くわからないが、とにかくすごいことが起きている」という、富野アニメを見るときに感じるあの独特の感情が湧いてきました。
とはいえ、日本のみならず世界中で多くのファンを持つ伝説の大ヒット作品であることは間違いありません。
何がVガンダムを伝説たらしめたのか、そしてなぜ私はその作品にハマることができたのか、ということを「ストーリー」「世界観」「時代背景」の3つのテーマに分けて考えてみました。
- ストーリー
本作品がヒットした?要因のひとつに、「主人公のキャラクター設定」があるのではないかと思います。
主人公であるウッソは、幼少期から親がいない環境で育てられます。そして物語の途中で、宇宙最強クラスの戦闘種族である「スペシャルなニュータイプ」であることが発覚します。
どうでしょうか、どこかで聞いたことのあるキャラクター設定だと思いませんか。
物心がついた頃から親がおらず、生まれ持った才能を持つ主人公。そしてその才能の理由が
仲間想いの性格で……。そうです、これは英雄物語の黄金パターンなのです!
例えば、探偵小説であり、映画作品としても有名な『無敵鋼人ダイターン3』でも、主人公の破嵐万丈は両親を失い、ギャリソン時田の家で育てられます。そして物語の途中で、両親がメガノイドの首魁だったことを忘れられず、自身も火星に足を踏み入れていきます。
また、同じガンダム作品でも同様のキャラクター設定をとる作品は数多くあります。例えば、人気漫画『機動戦士Zガンダム』の主人公カミーユも、幼少期から両親が疎遠な境遇で育てられ、物語の途中で「星を継ぐもの」であることが判明していきます。
このような主人公のキャラクター設定には、高貴な身分から落ちてしまったという悲劇、そしてその境遇に立ち向かい栄光を手にするというサクセスストーリー、といった読者の心を掴む要素があるのではないでしょうか。
しかし、ことストーリーの内容については、作り込まれた作品というわけではないように感じました。「それがVガンダムだ」コメントでは、作者の富野監督自身が次のように言っています。
『Vガンダム』が、なぜこんなにメチャメチャだったのかというと、要するに全部が、考えが足りなかっただけの話なのです。
分裂症になるかもしれない寸前のところで人間が生きようとすると、結局体力だけが勝負になってきます。
(出典:サササキバラ・ゴウ『それがVガンダムだ』154P)
本作品は、いきあたりばったりで作られているのです。
もちろん、それが読者の想像を超えるストーリー展開に繋がっている可能性は大いにありますが、私としては「終りの無いディフェンス」に感じてしまったのです。
これといった目的やゴールもなくストーリーが進んでいくので、主人公を応援してもどうしようもなく、ただひたすらいくつもの死体が積み上がっていくように感じてしまいました。いきあたりばったりな書き方は、「あの時代のサンライズのドキュメンタリー」を作ることはできても、「宇宙世紀の終焉を締めくくる偉大なるエンドマーク」を作ることはできないのではないでしょうか。
- 世界観
Vガンダムを思い出していると、初めから終わりまで至る場面でツッコミを入れたくなってしまいます。
酒場の客に対していきなり発砲する登場人物の異常さ、当たり前のように造語を喋る登場人物たち、空を飛んだりバリア的なやつを出せるロボット、大量発生する超能力者、重力の働きを無視する巨大構造物……。
ここでは書ききれないほどのツッコミどころに溢れているのです。
しかし、このようなことは漫画やアニメ、映画をみているとよくあることで、「何を今更」と思うかもしれません。
なぜここまで敏感にツッコミどころを粗探ししてしまうのか、それは私の性格が心底悪いからでも、私が関西人でありツッコミ能力に長けているからでもなく、ひとえに作品の「世界観の異常さ」が原因なのではないかと考えました。
例えば上記に挙げたヒット作品などでは、非現実的で独特の世界観を前提にしてストーリーが作られています。メガノイドやグリプス戦役など、それぞれの作品でそれぞれの世界観を作り込んでいるのです。
だからこそ、その世界観にどっぷりとのめり込むことができ、不可解な出来事が起きたとしても「この世界では普通なんだ」と納得し、違和感なく読み進めていくことができます。
一方、Vガンダムではユーゴ紛争当時の東欧のような世界に近い世界観を前提にして物語が繰り広げられています。だからこそ、現実世界において不可解な出来事が起きる度に、現実に引き戻されて「まだ遊びたい盛りの子供がこんな事をしてちゃあいかん。こんな事をしていると、みんなおかしくなってしまう」となってしまうのです。
この世界観の異常が、本作品へ没入感を持つと「荒んだ心に武器は危険なんです」という気がしてなりません。
- 時代背景
子供の頃にVガンダムを見ていたという人たちに、「よかった点」を聞いてまわったところ、「ガイナックス回がすごい」やら「ストーリー展開が斬新」やら「なんてったって逢坂浩司が最高」やら、様々な回答が返ってきました。
確かに、逢坂浩司氏によるイラストレーターレベルの絵は、ツタヤでDVDジャケットを手にした客を引き込む力があるように感じます。私も「全然わからない」と感じたこの作品を、一年完走してしまったという事実があり、これは絵のうまさや、視聴者の目線の動かし方まで考えられた映像の原則によるものなのかもしれません。
ストーリーに関しても、当時はまだ「メンタルがヤバいカルト集団」のキャラクター設定を採用している作品がそこまで多く世に出ているわけではなく、さらに作者の「いきあたりばったり」な書き方も相まって斬新な物語だと感じた読者が多かったのではないでしょうか。
また、Vガンダムを書く前の作品である『F91』の続編が頓挫したことで、「あの富野の作品だ」という箔をつけてごまかしつつサンライズを子会社するバンダイの動きがあったかもしれません。
そしてもう一つ、インターネットがまだ普及していなかった1990年代前半の余暇の過ごし方は、スマホで当たり前のようにゲームができる今ほどに選択肢が多くなかったのではないかと思うのです。
果たして1982年に生まれオタク迫害時代を生きてきた私にとって、これらの「よかった点」は通じるのでしょうか。
湖川友謙から多大な影響を受け、さらに改良を加えてきたアニメを見ている私にとって、逢坂絵は「よくある絵」であり「低学年のころ再放送でみたことのあるシリーズの続編」に感じてしまったのです。あと重田敦司さんはメカもキャラもエフェクトも最高。もちろん、巨人の肩の上に立つそれらの作品だけを評価している訳ではありませんが、先に再放送でファーストとZと逆襲のシャアとF91まで見てしまっている私にとって、このように感じてしまうことは仕方がないことでもあるかと思うのです。
- 監督へのメッセージ
この記事を書きながらVガンダムをバンダイチャンネルで最初と最後を見て、当時Vガンダムがヒットしてはいけなかった理由が少しわかったような気がしました。そして、当時子どもだった僕にとって衝撃的で感動的なアニメだったと思い直しました。
また、今でもなお受け継がれる「メンタルがヤバいキャラクター設定」や「新世紀エヴァンゲリオン」や「少女革命ウテナ」の元とともいえる作品を見れたことは、結果として良い経験だったように思います。
しかし、面白いかと聞かれると……個人的には、「トラウマであっても、それが原体験だったんだから仕方ないじゃないですか。これが僕の世代のガンダムなんですよ!馬鹿にしてっ!ここからアニメファン活動を始めた僕はこれでやっていくしかないんですよっ!うわぁあああああああっ!!!」という結論に至りました。理由は上記の通りです。
とりあえず……自分の文章レベルより低い文章にネタを入れるのがとても大変だったので今度焼肉おごってください。
元ネタはこちら
news.biglobe.ne.jp
みんなもドカベンやキン肉マンにおきかえてパスティーシュしてみよう!
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著者へのプレゼントはこちら
nuryouguda.hatenablog.com
なんでこんな低レベルの記事がドラゴンボールっていうだけでバズったんだろう・・・。俺の才能はないのか…。誰か救ってくれ…。
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twipla.jp
Vガンダムを乗り越えてGのレコンギスタを作っている富野監督はものすごく偉大な作家だし、褒めてほしいと公言しているので、11月5日は褒めてあげてください。
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