第7話「策・略」ラストで主人公の響裕太がキーワードを言いました。
「新条さんの心が怪獣を生み出すなら、きっと戦うだけが使命じゃない。おれたちとグリッドマンにはやらなければならないことが、まだあるんだ」
ほらー、ここ、最終回にでるぞー。勉強しとけー
いや、マジで。おれ、論壇系アニメブロガー(定義は特にされてない)だから。
以前にもガッチャマンクラウズで似たような論壇ブログを書いてた。
nuryouguda.hatenablog.com
前回の記事
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で、今回の第七話を見て確信したね。新条アカネの心の闇の正体について。
アカネのダメなところはね、自分を好きじゃないところなんだよ!
>自己肯定感!<
これがグリッドマン同盟とアカネちゃんの違いですし、アカネちゃんのゆがみでありアレクシス・ケリブに利用された点です。
- グリッドマン同盟の絆
グリッドマン同盟は自己肯定感がある。それも「完璧じゃない自分でもなんとかなるし、他者にもうけいれられる」という関係がグリッドマン同盟には構築されている。
僕は精神障害者ですし母親を自殺で亡くしているので精神的なダメさについて、新条アカネくんやベルク・カッツェには共感というか同じ匂いを感じます。
Gレコの記事でも触れたけど、欠陥は物語の要素としておおきい。裕太は記憶喪失だし、内海将はウルトラシリーズのオタクでデブでメガネだし、六花は実家がよくわからない商売をしているし、新世紀中学生は無職です。そういうダメな面をお互いに見せあってもグリッドマン同盟という謎部活で団結している。
僕がSSSS.グリッドマン第一話ですごいと思ったのは、めちゃくちゃわけがわからない状態で記憶喪失の裕太と不完全なグリッドマンが怪獣をやっつけたら、内海はすぐに「すっげえよ裕太!怪獣と戦って勝っちゃうなんて!」と、メチャクチャ褒めてくれるところ。そういう自己を肯定してくれるフレンズがいるのはとても恵まれたことだ。だから裕太は初戦で帰った後も「ただいま」といえるし、第6話でアノシラス2代目からよく分からない話をされても、ジャンクショップに”帰る”ことができてる。
- アレクシス陣営の憎しみ
憎しみが強い方が強い怪獣が作れる理論をアレクシスがアカネちゃんに教えました。それで、今回はアカネちゃんの憎しみを煽るためにアンチくんの持ち込み企画で怪獣を出したのだと思う。そして、アレクシスはアンチくんの顔を傷つけて殺さずに逃がす。アンチとアカネの間の憎しみを煽るためだ。
中華料理屋でにこやかにアレクシスとアカネは裕太と会食をしたのだが、その中華料理屋が殺した問川の実家というサイコパスぶりで、裕太を少しずつ傷つけようという気持ちも有る。
アカネ・アレクシス・アンチの間には同盟意識やお互いを尊重する気持ちがなく、破壊と街の作り替えや、怪獣を作らせること、グリッドマンを殺すことという目的意識しかない。ある意味、ベンチャー企業的なドライな関係。
- 自分を大事にしないアカネ
まず、怪獣のフィギュアは厳重なケースにしまって耐震処理もしているけど、自分はゴミに囲まれていて、メガネは割れていて、スマホもバキバキだ。
他人を大事にしないで自分を潔癖にするオシャレな悪役はよくいるけど、アカネちゃんは自分を大事にしてない。
自分を大事にしないから他人の命も簡単に奪えるんだ!ってARMSって萬画で主人公の一人が敵に対して言ってた。
そして、記憶がリセットされてアカネは自分を覚えてくれる人がいなくても特に気にしてない。本当の自分を分かってほしいという欲求もないくらい、自分のことが嫌いなんじゃないかなあ。僕もそういうところあるし。おなじにおいがする。(だから記憶がリセットされない六花の財布がエモくなるんですけど。っていうか、JK同士って財布を贈り合ったりするものなの?レズなの?アカネちゃんが電車のカードを財布に入れないで裸で出してるから六花はかわいそうに思ったからだと思うけど)
一応新条アカネはクラス全員に好かれていることになっているけど、そのクラスメイトを手にかけることに何の頓着もない。アカネは自分のことが好きな人のことも好きじゃない。だって自分が好きじゃないから。
- 新条アカネの罪と罰
今回ハッキリしたことは、アカネはスペシャルドックのパンを潰した問川さきるを気炎万丈怪獣グールギラスで殺したけど、アンチくん(が裕太からパクった)のパンを潰したことです。パンを潰したのは第1話でうっかり問川が、アカネちゃんが裕太に施したパンをうっかり潰したのと同じなのです。アカネはアンチくんに「余計なことしないでよ」と言いながら、わざとパンを潰しますつまり、アカネが怪獣を出すきっかけになった「嫌なこと、余計なこと」を自分でやっているわけです。意図的に。アカネは「神様だから人にされて嫌なことをしてもいい」と思っているのかもしれないけど、同時に「よいことをしていこう。そのために街を作り替えよう」という歪んだ正義すらもっていなくて、結構悪いことを意図的にする。
今回、第7話は今までアカネちゃんが怪獣を出す動機になったことが鏡写しのように表現されていました。
第2話ではスマホを見ていて自分にぶつかった教師を因果応報怪獣デバダダンで殺そうとしました。アカネちゃんは日常的にアンチくんの顔にスマホをぶつけたり、学校で蹴りを入れたりしています。もちろんアカネちゃんはアンチくんに謝らない。
アカネはクラスメイトには好かれるようにしているけど、自分の正体を知っている、とくに自分が生み出した子供のようなアンチくんには虐待を加えます。自分が好きじゃないから。(なので、アンチくんに何回か施しをする六花との関係がエモい)
第3話ではグリッドマンを狙って臥薪嘗胆怪獣アンチくんを作りました。アンチくんの能力は「敵(グリッドマン)の能力をコピーすること」なので、やはり鏡のような特性があります。
第4話ではユーチューバーArcadiaのちゃらい男と合コンされたのが嫌で朝雲暮雨怪獣ゴングリーで殺しました。でも、アカネちゃんも今回、裕太の家に勝手に入って、裕太を性的に誘惑し、裕太が不快に思う被害者の実家の中華料理屋でアレクシス・ケリヴとご飯を無理やり食べさせました。アカネちゃんは家族とか友達とかが悲しむことに実感を持っていないようですが、自分がいなくなった時に悲しむ人がいないからそういう感じ方なのかもしれない。(そもそも世界に一人だけの”本当の人間”なので)(だから、自分と同じようなお客さんのような響裕太にだけは執着を見せるのかも)
第5話ではグリッドマンを狙って山の怪獣を出しましたが。多事多難怪獣ゴーヤベックの名に恥じないように、アカネちゃんはうっかり自分の作った怪獣の攻撃で道に迷ったり、そもそも山に行くために手間をかけたり、嫌なことがありました。あと、アカネちゃんは自分がアウトドアで川に落ちたりするのが嫌だったけど、隠れデブの内海の腹をいじってからかったりします。まあ、内海はオタクでアカネちゃんに気があるのでごほうびなのかもしれないけど。
第6話では内海を利用して話の腰を折ってグリッドマンのことを聞き出そうとした。アカネちゃんは自分の思うように内海が回答しなかったらイライラする。アカネちゃんは内海の怪獣トークを勝手にいきなり中断するのに、自分の思い通りの会話じゃないとイラつく。
ちなみに、怪獣とウルトラヒーローの両方が好きな内海とは解釈違いを起こしてイラつきそうだったので、怪獣だけが好きなアカネちゃんは宇宙船の話題を逸らした面もある。
僕もシン・ゴジラでは後半、内閣の人や自衛隊のやられ役みたいにゴジラがあつかわれるのが嫌だったので、わかりみがヤバい。もちろんアニゴジは見るつもりがない。
また、先代がグリッドマン(裕太)にお世話になったということで怪獣少女アノシラス2代目が恩返しをするということで、この物語が「因果応報」の構図を強く持っているということを強調しています。
第7話の吊り下げられていた幽愁暗根怪獣ヂリバーの下の部分には意志がないようで、グリッドマンがグリッドビームを撃つまでは無反応だった。ここも、敵意を倍返しするGATCHAMAN CROWDS のベルク・カッツェに似ているので、論壇ブロガーとしては反応してしまう。
また、アカネは自分の家がゴミ屋敷なのに、自分の家にアンチが入っていることをすごく嫌そうにする。(その嫌なことをしたのはアレクシスなのだが)アカネの家の塀の高さも、アカネの心の壁の高さを象徴していますでしょう。
つまり、物語の構造として、アカネ自身が「自分で殺すべきであると思った悪い行為」を自覚的に行っており、それはおそらく終盤にアカネに因果応報として戻る構造を取る可能性が高い。
ということです。
こういうアカネちゃんの生き方はメンヘラとしてはわかりみがヤバい。むしろ、自傷行為をするようなメンタルのアカネちゃんがたまたま怪獣を生み出すことができるようになったので、自分への憎悪が他人に向いているのかもしれないし、殺した人と同じことをするのもアカネちゃんは自分で自分を傷つけようとしてやっているのかもしれない。(罪悪感が無いようにふるまっているけど、人を殺すストレスに心の中でバランスを取ろうとしているのかもしれない)
それで、終盤の展開はそのような自己肯定感の低いアカネを中心に、悪意と憎しみと目的のみでつながっているアレクシス陣営の崩壊という形になると予想します。(まあ、アレクシスがアンチくんを中途半端に傷つけて逃がした時点でアレクシスは意図的にアカネちゃんを追い込もうとしてるんだろうけど)
主人公たちの一つか二つ上の世代の33歳のサムライ・キャリバーさんは「戦うしかない」と言っているし戦うのだが。戦うだけで平和になるのか?というのが2020年以降の課題だと思う。(ていうか、サムライ・キャリバーさん、初代グリッドマンの放送の時8歳だったのか…)
「何者かに侵略されてるぞ!」という戦争アニメなのだが、じゃあ、どこに落としどころを持って行くか。
「戦いの鐘が鳴る。
それじゃとりあえず同盟を結ぼうか
君を退屈から救いに来たんだ」SSSSグリッドマンは戦争なんだけど、ヒーローものでもあるので、「アカネのことも見捨てねーぞ!」という正義のハイパーエージェントなのである。
(中略)
同盟は一時的な物ですが、それゆえに過去の殺し合いのことを「とりあえず一旦水に流して」「建設的に共通の目的を果たすために行動する」という機能がある。
だから、アカネちゃんは罪人として裁かれるより、グリッドマン同盟によって外交措置を取られるのではないかと思う。
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そういうわけで、今回のラストで響裕太は
「新条さんの心が怪獣を生み出すなら、きっと戦うだけが使命じゃない。おれたちとグリッドマンにはやらなければならないことが、まだあるんだ」
と、言えるのです。ただ怪獣を生み出す新条アカネとアレクシスを殺せばいいという発想ではなく、「心」について考えて、新しい使命に思いをはせることができるという点で、響裕太は優しい主人公なのだと思います。
初代電光超人グリッドマンでも怪獣を作る藤堂武史は処刑されなかったし。
そして、裕太がそういう優しい気持ちを持つことができるのは記憶喪失なのに受け入れてくれる仲間がいて、自我が安定しているからです。(SSSSグリッドマンの劇中の学校の授業で「思春期の自我」が妙にクローズアップされているのもその暗示の演出でしょう)
記憶喪失だったり無職だけど友達がいてそこそこ平穏な精神を持っているグリッドマン同盟と、裕福な家で神様なのに常にイライラしてて自分が嫌いな完璧主義者の新条アカネの精神的な関係が、物語に大きなテーマ性を与えていくんだと思います。今後も見守っていきたい。
それと、第6話で内海が「確かに裕太は変わったかもしれないけど、裕太であることは変わってないよ。……俺と、裕太の関係も」と、裕太の自我を肯定してやる言葉を言った時、アカネは滅茶苦茶イラついてストローを噛んで「もういいや。わかんない」と会話を拒否して席を立つ。
やはり、アカネは自己肯定が下手なんでしょうね。だから他人に憎しみを向ける。僕もそうだから。
しかし、裕太も「やるべき使命があるから記憶喪失でも落ち着いていられる、当面の目標があるので、自分のことをあまり考えずに済んでいる」のかもしれない。
この彼と彼女の事情に、どう折り合いをつけていくのか。後半戦、注目です。
OPテーマのUNIONのように「とりあえずの同盟」にアカネちゃんが入ることができるのか…。
内田真礼たそのエンディングテーマの「君が待っててもいなくても走るよ」「心の穴を満たして」とかも意味深。
(どうでもいいけど、第6話で「ツツジ台」の街しかない世界の割に、内海が「親戚の法事」に行っていたのだが、もしかして、その親戚もアカネちゃんに暗殺されていたのかも…。でもグリッドマン同盟が結成した後は内海は記憶がリセットされないので第1話以前かもしれない。あるいは、法事というイベント自体が、アカネちゃんが内海に合うきっかけを作るために作られた設定なのかも…。まあ、ここら辺はそんなにテーマに関係しないと思うけど。)
(内海はテーマには関係ないかもしれないけど、本当に良い奴だ。こういう損得なく友人を褒めたり認めたり助けてくれる友を持つのは本当に学生時代ならではかもしれないけど、いいことだ)
いろんなレズがいるけど、都立高校のJKが同級生の女子に財布をプレゼントするのはふつうなの?
— ヌ・リョウグ・ダちん (@nuryouguda) 2018年11月18日
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(僕も無条件に自分が肯定されるとは思ってないし、機能不全家族だし母親が自殺してるので、心に大きな穴があって、ちょっと友達と飯を食べに行ったくらいでは満たされないので、こういう文章を書いている…。読者の人から食べ物を貰っても、食べ終わったら恩を忘れるような薄情者なのです。ガンプラと本は積む。ロボット魂が一番遊び甲斐があるかも)
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