前回の記事はTwitterの引用が多すぎてスマホでの表示が困難になっていた。
それはそれとして、みんな、自分と違う政治思想や状況に置ける人を切断処理して、同じ国や惑星の隣人として尊重しなくなっているように見える。
- 万民は万民の敵として、敵対者の人格を否定する
yarukimedesu.hatenablog.com
細かいことはともかくとして、ジャニーズ事務所の性的加害事件そのものではなく、それについて語る人同士の人格の否定合戦になっているようだ。
攻撃性は、知性と共感性のなさから生まれる。
もちろん、ベルセルクによることでは、人は他人のことを理解できず、同時に自分のことも把握できないのだが。
相互に攻撃しあうインターネットは腕力や直接的暴力、武力の多寡とはあまり関係がないので、(一定の閾値を超えると、警察など暴力が使用されますが)、相手の攻撃性や問題について「知性と共感性がない」との人格否定に流れることが多いようだ。
id:osone_hayaoki は、自分とは違う意見。あるいは、自分が好きなモノへの否定的な意見に対して、激しい反発を覚えるようです。私も似たところはありますが、ブクマをやる上で、他人の意見への否定的な感想は最終的に得るモノは、実体験こみで少ないと思います。
そもそも他人は、自分の思い通りに考えてくれるわけではなく、強い言葉で否定するならば、その相手は、ただ攻撃を受けたと思うだろう。漫画の感想に対して、IDコールを受けた人が、反論などはされてないのは、えらいと思いました。
osone_hayaokiが、今後も他者を否定するブコメを続けるかどうかは分かりません。ただ、自分の気に入らない意見を攻撃し続ける先は、私は低能先生だと思っております。他者を否定するよりも、自分と共感するブコメを探した方がずっと有用だと思います。これは、私自身への自戒の意味を込めて。
多分、この失われた30年での日本の大不況社会を見るに、インターネットで数人の他人の人格を否定しても、それをする人にとって直接的な金銭などの利益は発生しないように見える。だが、同時に、この大不況社会ではみんながイライラしているので、他人の人格を否定する快楽こそが娯楽になるのだろう、とも思う。
- 敵、そして大多数の知能の足りない人への、ごく当たり前のような侮辱
p-shirokuma.hatenadiary.com
note.com
馬鹿な読者はタイトルを読むことすらできないで憎しみを拡散させる、というタイトル。
シロクマ先生が書いた本文は(読んだけど)かなり長いので、それは一度、この長ったらしい記事の中では保留するとして、「記事のタイトルもろくに読めない阿保は自分たちとは違う」という知的な切断処理は行われているように見える。
体臭、不衛生、法規やマナーからの些細なはみ出し、不安や不審をもたらす行動や感情──。これらは時代を経るにつれて迷惑なもの、リスクをはらんだものとみなされるようになった。過去には迷惑未満だった些細な問題点や逸脱までもが、迷惑以上のもの、責任が問われるものや排斥されるべきものへと変わっていく。
シロクマ先生はその著書の関係から、「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて」の問題意識を持っていらっしゃるのだが、同時に、不健康で不潔で非道徳なことを社会が排斥するということも、ある程度仕方のない現象として考えているようだ。(もちろん、シロクマ先生個人が社会を変えるほどの言説を訴えることができる、と考える方が非現実的であるのだが)
- 自己責任と分断
news.yahoo.co.jp
小泉純一郎内閣のブレーンとして自己責任論を広め、非正規労働者を増やした竹中平蔵氏も「お前たちが幸せでないのは、努力が足りないからだ。だから文句を言うな」
との談話を最近発表した。
幸田露伴の努力論でも、「幸せなものは成果は自分の努力の結果だと思い、不幸せなものは周囲の環境のせいだと思う」という相対主義を書いていたのだが。
- 敵対者は馬鹿で残念な人
表現の自由戦士はバカだから警察の言うことを聞いて事件を起こさないb.hatena.ne.jp社会を良くしていくために広い立場の意見を聞くのはサピエンス脳には無理なので、議題はなんであれ「あいつらは自分と違ってバカ」と言っておけば気持ち良くなれる
2023/06/21 23:09
政治的なアクションを起こす人もいれば、政治的な権力に従うことで利益を得る人もいる。
僕は、それは個人の考え方や境遇によって変化するものだと思っているのだが。
他人のことは境遇が違い、それは理解しにくい(観測や取材や調査に非常に手間がかかる)、と僕は思っているのだが。
インターネット社会では断定的な言葉遣いが強いと思われ、表面的なネット検索でも情報が十分だと思われ、他人は馬鹿で残念で知能が低いと断じることが、書き手の自信のように思われるようだ。
本当に近年、Twitterの機能の影響なのか、社会の潮流なのか、コロナウィルス対策や子宮頸がんワクチン、あるいはその他の政治的な議題について自分の意見とは違う人に対して「馬鹿で残念な人」と切り捨てる文体が非常に多く見受けられる。
「その他人に特有の利害関係があって、それによって他人は自分とは違う意見を持っている」という相対主義ではなく、「自分とは違う意見の人は馬鹿で思考力が劣っている」という絶対主義において自分を正しい側に置いてからの処断が多い。(そのように僕の乏しいインターネット観測の結果としては、そんな印象論になっている)
- チートスキルで現代社会を無双する
昔の人が早く結婚して子供作れって急かしたの、子供も家族も居ないまま60過ぎたら人生積むぞって単純な話なんだけどな。
— 亜留間次郎 (@aruma_zirou) 2023年6月1日
テレビ見なさい、70過ぎて少ない年金が唯一の収入で一人暮らしの老人の生活は悲惨でしょってだけの話。
ボッチの何が悪いかって言うと、物事の解決法が金しか無くなってしまう。
— 亜留間次郎 (@aruma_zirou) 2023年6月1日
金で解決できることは多いけど、解決するためのコストはものすごい高くなるから大金持ち以外には非現実的な解決法になってくる。
育児や老人介護がまさにそれ。
高い収入を得ようと思ったら人間関係はマジで重要です。
— 亜留間次郎 (@aruma_zirou) 2023年6月1日
楽で安定して長期的に稼げる良い仕事は身内で囲い込む物だから。
絶対にネットとか情報商材の世界には落ちていない。
亜留間次郎さんはドクターストーンの科学監修などをしている、くられ先生に近い人なのだが。
うまく人生をやっていく手段として、「科学的に正しい法則を使う」のではなく、「コミュニケーション能力でコミュニケーション能力が同程度の人とのグループの中で、相互扶助をしていく」という主張をなさっている。それは科学的に再現性を重んじる態度と違うのでは?
そう、この、日本という世界第一位の経済大国から勢いよく転落している国においては、自分を守ることが最優先。なので、科学や法則によって万民の知恵が向上させられて、最大幸福が増進することよりも、「コミュニケーション能力で共有できる、閉じた人間関係の中での相互扶助(それはその外の人間の排除でもある)」が幸せな人生を送るためのノウハウを得る手段になるということなのだな。
だが、もちろん、みんながみんな幸せなノウハウを持っている集団や人間関係にアクセスできるというわけではない。
だから、多くの人が情報商材を買ったり、セミナーに参加したり、投資をしたり、ポイント活動をしたり、転売ヤーになったり、政権と結びつきの強いカルト宗教に帰依したり、インターネットやテレビや参加グループから教えてもらった「チートスキル、社会を乗り切っていくライフハック、裏技」で得をしようと躍起になるのだろう。
この正解が見えない世の中では、かつては批判されつつも正攻法とされていた「いい学校を出ていい会社に就職する」ということも意味消失して、「人が知らない裏技や最新ライフハックにいかに早くアクセスできるか」というチートスキルが重視される。
そして、チートスキルや賢い社会の裏技(例えば特売スマホの転売など)を知らない人は「自己投資の努力が少ない」として損をしても当然だと切断操作される。
だが、同時に、チートスキルや裏技は正攻法の学歴や努力とは違い、あくまで「自己責任」でもあるので、そこで失敗した人は、不動産投資に失敗して自殺した僕の母親のように冷酷に切り捨てられる。
そうして、みんな、自分とは違う人を馬鹿でリテラシーが低く、理解不能の残念な人として切り捨てていき、国家共同体はただ、金と欲得のみによってかろうじて繋ぎ止められるようになる。みんな、自分以外のことを隙あらば馬鹿にして軽蔑したいと虎視眈々と狙っているのが、SNSの相互監視社会なんだな。
最大多数の最大幸福のために連帯しよう、なんてサヨク的な考えより「自分以外はみんなバカなんだから、自分が踏みつけにして幸せになる裏ワザの道具にしてもいい」っていうのが昨今の日本人の考え方なんじゃないかな。
まあ、それでも警察が(政治家はともかく一般人の)賄賂で行動を変える国よりは、まだ日本はマシな部類なんだけどね。
みんなで助け合って、みんなで幸せになる、そんな理想を夢見ることができたバブル経済は崩壊して、みんな自分一人だけでも幸せになろうと裏ワザを探し、他人を蹴落とそうとする。
でも、ネットの小汚い(肌のシミや歯の白さや陰茎の大きさに関する)コンプレックス商法広告を見るに、裏ワザで得をしようとする人も、企業が提供する情報商材のエサになっている部分もあり、結局、人が(自分と所属グループの違う)人を大切にしたり思いやるというのは非常に難しい。
というか、人が自分以外の人間に人権を感じる、というのは王権神授説を否定する時代における単なる一時的な流行であり、人が人に無償でやさしくするということは、もしかしたら、単なる精神異常なのかもしれないね。
乾いて候
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↑グダちん用
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