玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ラ・セーヌの星38愛と誇り

えっと、対仏戦争とかチュィルリー宮襲撃とかを全部冒頭のナレーションですっ飛ばして、いきなり今回は国王処刑前夜です。
トミノにしては、珍しいかも?という気もしないでもないけど、そこらへんがエッセイの「だから僕は・・・」にもあったように「」「長浜監督のガリッと自分のものを作ってしまうというパワーの出し方を知らずに、なまじ前半の話を受けたつじつま合わせをしようとし過ぎたために、ダラリとしたシリーズにしてしまったのだ。」
ってぇことかも。
ラ・セーヌの星は、1975年4月4日から同年12月26日までフジテレビ系で放送されたわけで、『ベルサイユのばら』は、雑誌「週刊マーガレット」(集英社)に1972年21号から1973年まで連載された。
宝塚は1974年初演。
長浜→出崎統のアニメ版ベルばらは1979年10月10日から1980年9月3日まで、日本テレビ系列で放送。
舞台の後、アニメベルばらの前 が、ラ・セーヌの星ですね。
原作の金子満(「木枯らし紋次郎」「大空魔竜ガイキング」「太陽の子エステバン」「SF新世紀レンズマン」)東京工科大学教授、同大学付属の片柳研究所クリエイティブラボ主宰)によると、「『ラ・セーヌの星』はいわば『女ねずみ小僧』のパリ版」だそうですが。
しかし、ラ・セーヌの星のここらへんに来ると、ベルばらのアニメでやってないんで、大体マンガ準拠かな?
サンジュストの演説とか、ルイ17性即位式とか、大まかな事件の内容展開はベルばらと共通です。ルイ16世のルイ・シャルルに対する最後の言葉とか。
ただ、サンジュストの美形ぶりは池田理代子が美しく、王の死は富野の方が男らしかった。「勤めを果たしてくるよ」と言う。ルイ17世も自ら宣誓したしな。そこはベルばらとは違う。
ラ・セーヌのサンジュストはアクションがアニメの癖にでかかったです。何故そんなに回り込むのか。


んで、
ラ・セーヌの星に戻すと、今回はエヴァンゲリオン最終2話です。
前回、国王を影から操り、私利私欲を貪っていたド・モラール侯が死んだ。ラ・セーヌの星を散々苦しめていた警備隊長ザラールも、ラ・セーヌの星が小娘シモーヌだと知った上で戦い、散った。
いまや平和になったって言う事じゃないのか?
そんなことはない。
今の連邦政府がなくなって新しい何かができたって、また組織の悪癖も出るだろうしな。
ブルジョアとプロレタリアの闘争は今回は描かれてないし、シモーヌとは関係がない。
それでも、そーいう全悪の逆転はある。


例えば、今回はミランとロベールとシモーヌの三角関係が最高潮です。
ミランのモデルはおそらくロベスピエールラ・ファイエット(アニメには出ません)で、シモーヌの幼なじみの弁護士でアメリカ帰りの議員です。
ロベールのモデルはおそらくオスカルと黒い騎士で、シモーヌを引き取って貴婦人&剣士として育てた義理の兄です。
幼なじみと義理の兄!
エロゲー展開だ!
シモーヌはフィジカルエリートのロザリーかなあ?


んで、ミランは喜んで町会長さんと新聞記者と一緒にシモーヌのうちに来た。「国王を処刑する演説をするんだ!」と自慢するのだ。
でも、シモーヌは嬉しくない。マリーアントワネットを姉だと知ったからだ。
そして、ミランを議員にするために戦ったのはラ・セーヌの星である自分だからだ!
ロベールの父、ド・フォルジュ公爵がシモーヌ・ロランを無敵剣士に育てたのは、貴族と平民をつなげる美しい剣とするためであったと思うのだが。
裏目裏目。



財産没収によって家屋敷を失った(ぽい)ロベールは地下でシモーヌを手引きし、なんとかタンプル塔の国王一家と対面させてやる。
シモーヌは死を覚悟した姉の髪を梳いてやって、なんとか助けようと誓う。
が、平民軍の看守が扉を何度も叩き、シモーヌを追い出して「バカに長かったじゃねえか?」とか言う。
貴族だから悪かったからじゃないのだ。人間だから悪くなるのだ。


その間に、権力者になったミランがロベールを人を使って呼びつけ、二人っきりの対話が!この緊張感がタマランです!見せ場です。
女を巡って、男が(このとき、最初は15歳だったシモーヌは作中時間を計算すると27歳。二人の男も立派な紳士である)暴力ではなく決着をつけるという!
これは地味に面白いな。
地味だけど。アングルの妙だけで会話の緊張感を保って、興奮させてくれます。某ガンダム00とは大違いです。喋ってるだけでドキドキです。
ミ「非礼をお詫びします」
ロ「いや・・・。なぜ、私たちを尾行させたのです?」
ミ「私は今シモーヌがどこにいるかも知っています!」(先制!)
ロ(両目のみアップで衝撃)
ミ「今まで、シモーヌには何か秘密があるということは知っていました」(ジャブ)
ロ(上手のベランダに移動)
ミ「それをあなたが知っているらしいという事も、分かっていました。」(ストレート!)
ロ(目だけで周囲を気にする)
ミ「ロベール殿、教えて下さい。シモーヌがタンプル等に入った訳を」ロベールの上手から近づく
(中略)
ロ(目をはじめてあわせて)「彼女の秘密を知れば、君も苦しむ事になりますよ」
(中略)
ミ「彼女の個人的な秘密ではないのですか?・・・・・それは?」
ロ(視線外して)「個人の事でも国家にかかわりをもつことがあります」
ミ「シモーヌが?」
ロ「シモーヌは、王妃マリーアントワネット様の血を分けた妹なんです」(広川太一郎キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!)
ミ「いもうとっ!!!」ががーん!
(中略)
ロ「もっとも憎んだ敵が自分の姉だと知ったときのシモーヌの苦しみはどんなだったろう?」(シーン明けは背後からのカットで、ロベールの背中が上手。ミランはうなだれている)
ロ「その時私は決めたのです。たとえ乞食に身をやつしても彼女のために働こうと!」
ミ「今夜僕は、国王の裁判で演説をしなければならないとは・・・・・・」
ロベールはカードの切り方が上手いと思った。
最後の最後まで切り札を温存。
やっぱり幼なじみよりも兄だよなー。


で、議会は踊るわけです。ガヤガヤ声がある分、アニメの方がグダグダ感が強い。
ミランはどうやらジロンド派ではないようですが。詳しい事は知らない。
で、ジロンド派を黙らせるためにミランが演説する予定だったのだが、シモーヌのことを考えて、シモーヌのためには演説をボイコットすることしか出来ないと思い込んだミランの代打が、レオン・フロレル・ド・サン・ジュストでした。
はいダメー。
サン・ジュストはすげーオーバーアクションで国王の処刑を訴えまくり。
ミランは身内のことを考えて、自分が何もしなければ大丈夫だろう、としたわけだが。
世間にはお前が考えるよりも色んな他人がいて、強い奴もいるのだ!
で、身内も守れません。


はははははは!
そんで、ミランシモーヌに謝りに行くの。「結果は投票で決まるけど・・・悪くするとマリー様も罪を免れないかも」とか、微妙に言葉使いが最初と180°違います。
シモーヌガン泣き。
ミラン「すみません、ロベールさん」
ロベール「いえ、あなたはあなたの主義主張によって、行動されてきたのです。こうして、知らせに来てくださっただけでもありがたく思います」(シモーヌをゲットして超余裕のロベールの笑顔)
ミラン「もし、最悪の結果が出れば、処刑は明日です。行動に移るなら、今夜しかありません」(今度はミランがカードを切ったぞーッ!)



富野アニメの会話面白すぎる。
ちょっとした会話シーンが戦いと同じですよ。たまらん。
富野って「台詞なんか尺にあわせてるだけで、見れば分かる」という、視覚障害者に優しくないトミノアニメなのだが。たしかに、こう、ちょっとした眉毛の動きとか立ち位置とかがたまらんなあ。
別にロボットアニメじゃなくっても面白いアニメを作れたと思う。でも、富野の会話シーンは緊迫感がありすぎて枚数がかかりすぎるかもしれん。
と、言う訳でロボットを出した方が方便としては枚数も使いやすいし、安上がりなのかなあ?
ブレンパワードとか。



んで、ラ・セーヌの星は牢に侵入して平民の看守を思いっきり暴力で解決する。(殺してないけど拳骨)
で、脱走を薦めるんだが、この期に及んで男らしすぎる荒巻部長声のルイ16世に断られる。
そんで、なんとか殺さないように平民看守達をふっ飛ばして逃走しました。
処刑は決まりました。
ミランは議会で頑張ったのに全然ガッカリです。万雷の拍手の中、彼は一生、シモーヌとセックスできねーんだなーと言う事を噛み締めていたのだと思う。
序盤はあんなにラブラブの幼なじみだったのに、シモーヌを含めたみんなのために一生懸命勉強して故郷に錦を飾って議員様にもなったのになー。
いやー、優等生の敗北って言う訳でもない。めぐり合わせでしかないよなあ。


そんな個人のめぐり合わせや三角関係的恋愛が国家の歴史とリンクしているって言うのは、物語ならではの感情拡大作用があって、効率的なカタルシスが素晴らしいわけです。



ルイは死にました。
終わりではなく始まりです。
次回で最終回です。
視聴率的には打ち切りなのだろうか?富野が加入した時にはすでに3クールだったと言う話?
とりあえず、富野は買い物はこのときのスポンサーの伊勢丹で買い物をしなければいけないという強迫観念を負ってしまった。