ミカムラ「人が神に似せてガンダムを作る、これが真の目的かね？」
ライゾウ「ああ、人は地球圏でしか生きられない。しかし、アルティメットガンダムなら、太陽のある限り地球を永遠に生かす事ができる」
みーたーいーなー
エヴァンゲリオンは福音という一寸マニアックな単語を使う事で衒学趣味でキリスト教モチーフのアニメとして話題になりましたが。
前年のデビルガンダムもエヴァンゲリオンそのもの、まさに悪魔。ただ、デビルガンダムは全体的な作風から堕天した悪魔って言うよりは悪役としての（ビックリマンみたいな）デビルと言うイメージ、つまり子供向けっぽくとらえられたのね。実際、中２頃の僕もそう思っていたし。
ちなみに、新世紀エヴァンゲリオンはキリスト教+ウルトラマンという要素があって*1、それはBASTARD―暗黒の破壊神から来ているとか。で、バスタードに出てきた人工バイオテクノロジー邪神アンスラサクスの正体が天使だったと判明するのが14巻と15巻ですね。１４巻が93年10月。15巻は94年6月です。（連載はもうちょっと早いんだろうけど）
と言う訳で、Gガンダムと時期的に符合するんですねー！どっちが先かと言うのは野暮なので、時代の空気と言う事にしまっす。
キリスト教での悪魔は人類よりも先に作られたモノが何らかの理由で（色んな理由で）悪化して、神の似姿である人に害を成すモノとなったのですが。
90年代中盤のヤーパンアニメ萬画界での悪魔は人が神の似姿として作り出したモノに何らかのものが宿って暴走する、という構造になっておるわけです。
ここら辺はなんというか、力太郎？民話的なバックボーンもあるのかもしれないですねー。
で、破壊神だと思っていたものが実は天使だった、というバスタード!!はともかくとして、エヴァとアルティメットガンダムには何が宿ったのか。
エヴァンゲリオン初号機に宿っていたものは、死んだオカンの魂でした。おかん！
デビルガンダムに宿っていたものは最初は死にかけた兄で、後に恋人。
んで、エヴァ初号機の碇ユイは自らが”翔ぶ”ために夫と息子を含めた全人類を利用して大量殺戮（というか魂を自分の中に取り込むというか）をする。
デビルガンダムは地球圏を最適化するために全人類を抹殺（というか自分と同じ細胞に作り変えて永久に奴隷として生かしつづける（マトリックス？））ということをする。
ここで面白いのは、エヴァもデビルガンダムも責任や行為の主体が明らかではないこと。
碇ユイは死海文書のシナリオに沿っているし、大抵の場合眠っている。碇ユイという唯一美しい女である母を庵野秀明監督が俯瞰して描かなかった、と言う事もある。
一応碇ユイはエヴァと一体化して戦いになると碇シンジを助けたりする。でも、基本はネグレクト。
デビルガンダムのキョウジ・カッシュも同様に最初期から意識不明。その代わりにシュバルツ・ブルーダーというガンダムファイターを生み出して(というか戸籍を奪ってというか)、戦いの中でドモンを助ける。
兄シュバルツと母ユイの対照的なところは、兄はドモンに体を張って力と技と精神を叩き込んでドモンを成長させ、最終的には勇者の地位を譲って死ぬ。
ドモンはカッコよくレインを助けて結婚する。
母は子どもがピンチの時は自分が解決して成長させない。むしろ取り込む。最終的には宇宙に飛び出す。一応最後に仲の良さそうだったクラスメートを修理して嫁として用意してやる。
シンジ君、首を締めて泣いてキモがられる。
母性と父性が好対照ですね。
ただ、ヱヴァンゲリヲン新劇場版 REBUILD OF EVANGELIONにおいては、ヱヴァンゲリヲンが使徒にやられてヘッポコになるけど、シンジ君が根性と勘で戦って、怪獣をやっつけて仲間を守ると言う男っぽい展開に成ってます。
僕としては父殺しよりも母殺しが見たいな。
Gガンダムにおいては母は物語が始まる前にウルベに殺されてます。無償の愛で息子を守ってな。
カマリア・レイはアムロ・レイが撃たれそうな時には一応かばうけど、アムロが撃ったら怒る。あと間男。
母親の態度としてはどれが正しいのか、どれがリアルなのかはちょっと判別がつきかねますが。どれも極端だし。
女性が描いた母親って言うのは、萩尾望都あたりを読むべきでしょうか？女性は母と同質化するような気がするので、客観的に描いたものって少ない気がする。読書量も少ないがな。
富野監督が書評を書いたつながりで桐野夏生のグロテスクは読んだ。でも、娘に対する母だからな。
娘は母に対して若さと言う優越感を抱く。
ロボットアニメ的には息子に対する母親（の不在）というものが気になる。
男も母親を相対化できんのだが。
そう考えると、富野アニメは母親を描こうとしてるよなあ。
レインの母親もいませんねー。完璧無視。やっぱり、ロボットアニメに母親が出るとブレーキになって気持ち悪いからなあ。
シャッフル同盟もチボデー・クロケットは死んだ母を美化してるし、サイ・サイシーは死んだ父の後を継ぐ、ジョルジュ・ド・サンドは家、アルゴ・ガルスキーは大人の男で海賊。
うわ！母親いねえええ！
ライジンオーとかを再評価すべき？
話が逸れた。
いや、母とか父とかっていうよりは、ここではデビルガンダムについて書くのだった。
つまるところ、デビルガンダムもエヴァも、自分を作り出した兄や母を媒介にしていて、それ自体は意志や目的をもっていない。持っていないのだが、自分の力を使っている人間を、その力で逆に操っているのではないか？と言う風にも見える。
難しいですね。
イデオンとかエンジェルハイロウとか、人が神のような機能を持たせて作った機械が設計以上の暴走をもって意志を獲得するというような？？？
Zガンダムを翻案した（と僕が思っている）Gガンダムを逆輸入した（と僕が思っている）キングゲイナーのオーバーデビルについて
134 名前： あきめん ◆gfFjaqv/HU [sage] 投稿日： 04/06/04 10:55 ID:???
俺が勝手に語っていいのなら云うけど
オーバーデビルは
有能な博士が作ろうとしたわけだが
本人は自分が作ったと思っているが
作らされたんだな
むこうがわのひとに
141 名前： あきめん ◆gfFjaqv/HU [sage] 投稿日： 04/06/04 10:59 ID:???
オーバーマンは通常
小さな宇宙を持っているが
オーバーでビルのそれは
ちょっと大きかったのだな
人がいたみたいだな
152 名前： あきめん ◆gfFjaqv/HU [sage] 投稿日： 04/06/04 11:16 ID:???
暖かかったからじゃねぇの金
むこうさんは
知性は低いが心を感応させることが得意だったようで
こんな物がもっとあったら良いなぁ
と願うわけだ
両方の世界の破滅に繋がることも知らずにそれを博士は神と勘違い
155 名前： 通常の名無しさんの３倍 [sage] 投稿日： 04/06/04 11:18 ID:???
向こうさんは単なる考えなしなお人よしさんか
158 名前： あきめん ◆gfFjaqv/HU [sage] 投稿日： 04/06/04 11:20 ID:???
いや
原生生物
182 名前： あきめん ◆gfFjaqv/HU [sage] 投稿日： 04/06/04 11:33 ID:???
166は１７２で
オーバーでビルがどうやってこの世を冷やすかを考えたとき
別の宇宙しかかんがえらんないわけです
なぜならば
ねつはたくさんだせるけど
寒さは
ー２７０ちょいしかひやせんからなそんでかんがえた
別宇宙が無理ならば
別空間でも良いよ
グレートウォールに属さない冷えた遊星とかでも良いよ
宇宙の端でも良い
っていう人もいる。
Zガンダムにおけるデビルガンダムの位置はシロッコのTHE・O（神託）なのだが、シロッコも木星や宇宙によってMSを作らされたと言うのは妄想過ぎるか･･･。
で、やっとデビルガンダムの話ですが。
アルティメットガンダムは当初は地球環境制御用の機材に過ぎなかったのだが、なんで人類抹殺にプログラムが書き換わってしまったのだろうか？と言う事を考えたのです。
というか、空っぽの器に何が宿ったのか、と。
で、それはやっぱり地球意志なのかなー。と。
地球と言う地獄に落ちた天使が、地球のものに触れて悪魔になるのはシェムハザイの話のようでもあります。
じゃあ、なんで地球が天使を汚すほど地獄なのかと言うと、人間意識が悪徳にまみれているからなのだ。
（サタンによって原罪を犯したとされる人間が、天使を汚すと言うのは面白いな）
そういう寓話的な発想をガンダムに取り入れると、デビルガンダムが地球に落ちた時にマスター・アジアが絶望したのと同じように地球に絶望したのかもしれない。また、最初のアルティメットガンダムは力のみを持った赤子ともいえるのだが、その力をウルベやミカムラ博士が悪意をもって強奪しようとしたために、デビルガンダムに「人間は悪だ」と言う刷り込みを与えたのかもしれん。
では、何故人間が悪なのかと言うと、それは自由意志を持つからだろう。
シェミハザイも人間女性の美しさに惹かれて堕天したわけだ。
ユダヤの伝説では、地上が罪にまみれ、ついに神が大洪水を起こそうとしたとき、シェムハザ（ここではシェムハザイ）とアザゼルは、天使たちが人間の創造に危惧を抱いて警告していたことを改めて神に語った。すると神は天使が罪の存在しない天界ではなく誘惑にさらされることの多い地上にいたらもっと堕落していると言った。シェムハザイとアザゼルはそれが誤りであることを証明するため地上へと降り立った。しかし、地上に降りてすぐにシェムハザイはイシュタールという美しい女性に心を奪われてしまう。彼女はそれを唱えれば天に昇ることができる神の御名を教えてくれれば望み通りになるといい、シェムハザイはその要求をのんだ。結果、彼女は天国へと昇ることができたが、彼女はまだ罪を犯していまま天国にたどり着いたため、シェムハザイが望みを叶えることはできなかった。イシュタールは神の手によってプレアデス（すばる）という名で、星として天空に据えられた。一方、シェムハザイやアザゼルが人間の娘に生ませた子はみな凶暴な巨人となった。神はノアの一族をのぞく地球の全ての巨人と人類を洪水によって滅ぼすことを決意し、天の書記官であったメタトロンがこのことをシェムハザイに話して警告した。シェムハザイは悲嘆にくれ、自分のしたことを悔やみ、天と地上の間で逆さ吊りになった。それは今でもオリオン座として逆さ吊りのままにある。
http://www.angel-sphere.com/fallenAngels/list/Shemhaza.htm
ここで示されるのは、神に近づこうとする人間イシュタルがその自由意志と知恵を持って天使を騙して、天使は地上で堕落する。イシュタルは天国に行けたのに。
つまり、自由意志は神に近づく知恵でもあり、人間のよき部分でも在る。
と、同時に悪意でもある。ウルベやミカムラの嫉妬も自由意志から発したものである。
だから、デビルガンダムはやはり、器でしかないのかもしれない。つまり、悪意には悪意を返す鏡のようなもの。
ウルベの欲や両親を奪われたキョウジの悲しみ、地球の汚染を嘆くマスター・アジア、そういう人間の自由意志の増幅として、デビルガンダムは行動しているように見える。つまり、デビルガンダム自体には悪意も何も無いんだな。
また、DG細胞に取りこまれた人間はゾンビになるのだが、それも住みにくい地球環境に苦しんでいる地球人から苦しみの元である自由意志を奪って生き続けさせるという救済であったのかもしれんのだ。
そして、最終的には罪の意識に苛まれるレインの感情を増幅する。
そーいえば、シェムハザイと同じ天使のアザゼルは皆川亮二のARMSで同じように人間の苦悩を増幅する金属生命体として描かれていましたね。最後に主人公が彼女をゲットする事で金属生命体も浄化されると言うオチもGガンダムに似ているなあ。
というわけで、デビルガンダムは力によっては倒せない存在なのだな。何度も何度も復活するのは、デビルガンダム自体が不死身と言うよりは、倒されても他の人間の感情に共振すると新しい力を得るという理由ではないかと思う。そして、その力によって感情や欲望を注ぎ込む人間を常に吸い寄せるのだ。
デビルガンダムの本体はDG細胞ではなく、それに共鳴する人間意識なので、破壊不可能。
なんか、イデオンっぽいです。ここら辺は。
Gガンダムはガンダムの異端児と呼ばれる事も多いのだが、細かく因子分解していくとかなりトミノっぽくもあり、また神話的である。
と、同時にデビルガンダムは悪意にのみ反応するわけではない。
力だけを求める者や意志の弱い人間は自分の中に取り込んだり、悪意だけを増幅して手下にするのだが、強烈な自意識を持つ東方不敗マスター・アジアにDG細胞を感染させて自意識を奪うことはなかった。
シャッフル同盟たちの命というか精神によって消滅する、と言うか身を引くということもあった。
何よりもシュバルツ・ブルーダーという主人公の精神を鍛え上げた兄こそがデビルガンダム細胞で製造されたアンドロイドなのである。
また、見落としがちなのだが、ネオジャパンコロニーがデビルガンダムそのものと成った後に、その中をミカムラ博士が地下鉄を使ってカッシュ博士の元に行き、電子ロックを解除し、カッシュ博士の幽閉をも解いた。
このとき、デビルガンダムと一体化して完全に操作しているはずのウルベ石川はそれを全く感知できなかった。
と、するとデビルガンダムは人間の自意識を増幅させて悪意の塊のような人間に仕立て上げるのだが、それは元の人間の自由意志を放棄して力を手にいれたいという自由意志を純粋に尊重した結果であり、善なる意識、というか自らを律して行動できる自由意志を持つものに対してはむしろ見守って観察する、と言う態度を取っている。
つまり、悪魔でありつつ天使的な側面も残している。
（ミカムラ博士の所は演出ミスや考証の不徹底とする事もできるが、僕はこじつける）
そのように私には解釈できます。
で、この長ったらしいエントリの結論として何が言いたいかと言うと、
機動武闘伝Gガンダムはドモン・カッシュが最高の武闘家である以上に、最高の自意識を持って自ら戦い抜ける男になり、人間の悪徳に絶望した天使をねじ伏せてノアの洪水を止めさせる事の出来る、神に等しい存在になるというアニメなのだっ！
まさに、ゴッドガンダム。
ガンダムは、神！
人はガンダムに取り込まれて神に成るのではなく、ガンダムを乗りこなしてこそ神となるのだ！
*1:まあ、昔中学生だったダメ大人が今の中学生をいじめぬくという要素もあるのだが
