玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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∀ガンダム第9話「コレン、ガンダムと叫ぶ」

脚本・星山博之 絵コンテ・西森章 演出・西森章 作画監督佐久間信一

http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words09_TurnA.html
http://www.turn-a-gundam.net/story/09.html

ターンAガンダムの何がわかりにくいって言うと、イベントがおきても、それが消化される前に次のイベントが起きてしまうところ。
コードギアス 反逆のルルーシュも事件が次々と起こるけど、前話のラストで起こった事件が前半で解決されて、その話の事件が起きて、次の事件の予告、って言う安定感はあるが。ターンエーガンダムはズルズルと。
前々回のディアナ暗殺も、ロラン・セアックのカミングアウトも、ディアナカウンターとの土地問題も解決しないまま、今回はコレン・ナンダー軍曹登場です。
姉さん!また事件です。
お姉さま!あたし達はだまされてたのよ
と、事件の解決にこだわって突っかかるのは思春期のソシエ・ハイム嬢。ソシエは純粋だ。ロランが好きだったからロランの人格自体に怒るんだなー。
そこら辺の感覚は本放送のころの17歳で、ガンダムもファーストと逆シャアとZの半分とF91と0083と08とVGWとXの7割程度とSDしか見てないというガンダム素人だったころの私の気分に近いなあ。ソシエは物事を割り切りたい若い視聴者の気分代表っぽい。
(少女漫画っぽさとかもあるし、あだ討ち少年漫画っぽさもあるので、役割は単一ではない)
だから、僕も放送当時は「なんでみんなガンダム黒歴史の謎を解かないの?ディアナ暗殺団の正体は?ロランの処罰はどうするの?」と、そういう、事件の解決を期待していたのに、スルーされてたっぽく思って、話の大筋も理解できてなかったのだが。
っていうか、やっぱり富野アニメってテレビシリーズが神だけど、1週間おきに時間をおいて見るとわかりにくいねえ。Zもそういう評判だったらしいし。
リーンの翼は割とわかったけど、ネット配信でループして1日5回くらい見たからなあ。


んで、むしろグエン・サード・ラインフォードやハリー・オードはローラ・ローラの正体を解決させてしまうよりは外交カードとして利用しようとしてて、それが大人な印象。
事件を終わらせて平和にしなくちゃ!って言うのは子供の理想論で、大人はおきてしまった事件をどうにか使う。みたいな。
しかも、それが悪巧みという感じではなくて普通の仕事っぽい雰囲気に見える演出だから気づきにくい。少なくとも高校生の私はわからんかった。ぼんくらですからねー。
まあ、さすがに僕も年をとって、「戦争を終わらせるんだ!」「二度と過ちは繰り返させない」っていうお題目の子供用アニメには辟易してきていたので、富野アニメの味付けがわかる年になったのかなー?


で、す、が、
ローラのカミングアウトはそういう外交カードとして利用されました、という落とし方だけでなくて、それを見ていたソシエをパイロットにさせてみたり、ロランが「地球人としてがんばれよ」って言ったキースが自分なりにがんばろうとした結果フラットをミハエル大佐に売ったり、「私、グエン様の言いなりになりすぎているのじゃ?」とキエル・ハイムお嬢様が自我に目覚めて、それがディアナ・ソレル閣下との入れ替わりって言う事件につながったり、
個人個人の無意識になんとなく影響を与えて、事件が事件を呼び続ける、って言う理由にもなってるんだなあ。フラグって言うほどはっきりしてなくてもっと流動的でオーガニック的な何かです。



んで、コレン・ナンダー軍曹です。
彼も「死んでいいキャラ」として用意されたのに死んでないとか、いろいろ面白いなあ。
送り状にない、女王の知らない恩赦、という所がディアナ暗殺との関係性がありそうではあるが、はっきりとつながっては見せられていない。
そこら辺もターンエーの事件の奥深いからみあい。


っていうか、コレンは嫌いだったなー。
思いっきりいじめっ子。
ここら辺はガンダムって言うよりはそれ以前のスーパーロボットとかに近いか?
星山さんは蒼き流星SPTレイズナーも書いてたけど、ゴステロっぽい。いや、レイズナーは見てないから伝聞の印象しかないが。
コレンはガトーみたいな漢のかっこよさって言うのでもなく、美形のスマートさもなく、オスの暴力性をアピールしまくるって言うオタクに嫌われるタイプの敵です。
こういうキャラはアニメとかだと美形の引き立て役になってやられたりしがちなんだが、コレンはしばらく悪の壁として立ちふさがり続ける上に、その後も妙な多面性を見せたりした。
だから、オタク的に「あっ!ブサメン悪役!」と了解していた第一印象が強いのに、その後も印象的なので印象が大混乱です。それで放送時はターンエーガンダムという作品のストーリー自体が???
そもそも、人は会話をしたり文章を読むときも自分の予想を立てて、それに近い情報を選択するって言う癖がある。だが、ターンエーはある程度整理して予想をさせて予想を裏切って意表をつく、というコードギアスな手法よりは過去のパターンに近いと見せかけて微妙にずらして混乱させる。
まあ、それはヒゲガンダムにも言えることなので、ターンエーガンダムをある意味象徴しているんでしょうなあ。
でも、パターンや過去の模倣の安心感のあるガンダムSEEDの方がガンダムを知らない人や薄くしか知らない人に大人気だったわけですがね!
ブレンパワードといい、ターンエーといい、ぐちゃぐちゃです。
ぐちゃぐちゃに見せて、計算されている部分もあるし、ロランが川でおぼれたから月には川がないと見せかけて鯨までいたりするアバウトさもある。


っていうか、ディアナ様は「コレンは情の篤い男です」と言いつつも自分では会ってやらんで、ハリーに任せて、ハリーはロランを試して使うのに利用する。
ディアナ様やハリーはかっこいいから好きなんだが、そういう組織の冷たさみたいなものとかもあるよねえ。
そういう責任の不自由さがイヤでディアナ様が入れ替わるって言うところもあるんだけど。ディアナ様も地球に来て舞い上がってるところは無きにしも非ず。


あと、今回の燃えポイントー。
自動運転でビームライフルをぶっ壊したホワイトドールがリハビリを重ね、前回までに反射神経、格闘、ダッシュ機能、ハンマー、マニピュレーターの扱いなど、基本運動を回復した。
で、今回はついにビームサーベルをマスターした!
っていう話。
で、ビームサーベルの一閃だけで今回は手打ち。
こういう引き際の鮮やかさ、グダグダと敵と絡んだり変な横槍が入ったりしないケンカのうまさって言うのもファーストガンダムガンダムが弾切れでピンチになると同時にシャアが弾切れで帰ってくれたりっていう感覚にも似てて緊迫感があって好きだなー。
ロランがビームサーベルを使ってしまった事で戦争を拡大してしまうと困る洞察力や、戦いは本来不愉快だって言う感覚も好き。
アニメっぽくないなー。


でも、セイラ出撃したソシエさんをロランがイケメンっぽく助けて光の剣を振るうって言うのはものすごいアニメっぽくもあるんだけどな。


イーゲルのデザインはあんまり好きじゃなかったなー。
今は普通。
勇者ロボ悪役寄りの大河原邦男サイコロ動物シルエットロボット、あとボトムズ大河原の非人面頭部、にプラスしてシド・ミードっぽいコンセプトデザインがあるのが異様だなあ。刺激を受け合ってるな。
という風に了解できるようになったのもやはり最近のことで、昔は「キモッ!」っとしか思ってなかったという。
しかし、ミンチドリルをさりげなくゼノア隊が発掘作業に使っていたっていうところが、23話でGアーマーという大嘘を着く前にドダイYSという中の大の嘘を出したって言う星山手法ではあるね。




っていうか、コレンがガンダムガンダム言い過ぎ。
SEEDほど無視されるでもなく、ガンダム00ほどキーワードになるでもなく
「敵はああいう物をそう呼ぶんだろ」
っていう。
ここら辺のバランスも極端にわかりやすい感じに了解できない。
これが明かされるのが終盤だからなあ。
SFアニメだったら「正暦XX年、汚染された地球を〜〜」とか言ってくれるだろうに。やぱりSFの都合よりも生活感を重視してるなあ。
っていうか、ミハエル大佐はそういう人だから、作劇の都合では動いてくれないのだ。
っていう風に見せる作劇が巧妙だなあ。


ロランは金魚のメリーさんをメリーさんとさん付けで呼ぶ。