第12話 君のいる町 脚本吉田玲子 絵コンテ演出:山内重保 作画監督:羽山淳一
映像の原則や演出論とか、セリフからわかる情報処理を使ってアニメを解説してきた私のブログですが、このアニメはわかりませんでした。
ただ、美しかったとしか…。
なんか、脚本の整合性とか、男女の恋愛の倫理や義理や恩讐の倫理観などは関係なく、とにかく美しく、美しくあればいい、と言う、そんな耽美主義を感じた。
回想と現在が混在するアニメだったが、ラストシーンでは幻想と現実が融合したような煌びやかな花畑で、主人公カップルが何か違う境地に達したような雰囲気でいるのが美しかった。
やってることは大学生の屑な浮気なのだが、ラストシーンのそんな迷いなどは振り切った本当にクズで自己中心的な自己充足的な境地に達するカップルの心は、酷いけど、その酷さこそが美しいのではないか?
と倫理観が揺らぐような感覚。
ドロドロの昼ドラみたいな展開だし、キャラクターの突然のシトカ浮気とか因縁とかそういう話だったけど、実写でやるとくどい感じになりそうだったけど、アニメは全部絵なので、絵画として美しい虚構表現、と言う風な印象を受けた。美しければそれでいいという作り手の開き直ったすがすがしさを感じた。
でも、やっぱり恋愛はよくわかんなかったです。
それ以上に枝葉凛ちゃんの他人に対する煽り方も分からなかったけど、それが良くわかるという女性もいて、難しいなーって思いました。
でも、色とかきれいでした。やっぱり山内重保監督作品は好きだなあ。
今回は、地に足のついた普通の学生の恋愛を描くようなジャンルと見せかけて、「恋は当人が美しいと感じればそれでいい」という、明後日の方向に美学を振り切った斜め上の叙情的作品だと言えるのかな。
これを戦争を題材にしてやったら、風立ちぬになるんだけど。風立ちぬは人殺しをしてるし税金を使ってるので、まあ、君のいる町は単に自己中心的な恋愛をしてるだけの学生だし。いいのか。
しかし、枝葉柚希はいろいろと酷いことをしてるけど「自分が満足したからいいのだ、それがあるべき姿で美しいのだ。」という狂気を感じますが、恋ってそんなものなのかなー。
でも僕は神経が細かいのでそこまで図太くいけないなー。まー、萬画だしねー。
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あと、山内演出はいろいろとテクニカルだけど、なんかやっぱり押し切るうねりみたいなものがあって、微分的な分析はできなかったです。疲れてるのもある。