玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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オーバーマンキングゲイナー15ダイヤとマグマの間

脚本高山治郎 演出わたなべぢゅんいち 絵コンテ小原正和斧谷稔 作画監督小原充福島秀樹
シンシアに続いていけ好かない大人代表、カシマル・バーレ運行部長の登場だ!
氷のウンコ部長はダイヤを守るためなら職員の命なんかなんとも思わない。シベリア鉄道というよりはJRをもっとひどくしたような感じだ。事故が起こる前なのになー。富野予言コエエ。
彼の思想は「ルールを守れ」という、管理社会の大人のような顔だから、自由主義エクソダスの敵になるように見えるが、そうだろうか?
だって、こいつ、オカマだし制服着てないし、ゲイファッションだし。ルール守ってないじゃん。自分はルールを守らないけど、人にルールを守らせる悪い大人です。
そもそも、鉄道ダイヤとは公共インフラであって、公衆の福祉のためのものなのに、カシマルは自分の計画を遂行するためにガンガランのインフラを破壊してしまう。悪い!
つまり、ルールの存在理由としての「公」というものを忘れているわけです。
ただ、ゲイナー君が駅で「ダイヤって何かなあ?」と小学生の社会見学のように困っていたら「ダイヤとは!ダイヤグラムなのです!」とか頼みもしないのに親切に教えてくれたりもする。おたくっぽい。自分の趣味に関してはしゃしゃり出る。
カシマルはそういう風に私情を公のルールだと履き違える了見の狭い官僚なのであるな。あと、失敗したら部下のせいにする。成功したら自分の手柄。悪い役人だ。
ま、ここでクールなメガネおたく役人を出すとゲイナー君とかぶるのだが、そこを藤原啓治オカマにしてしまうアイディアは凄い。
むしろ、ゲイファッションを着ているが別に性同一性障害とかユニセックスを描いているわけじゃない。どちらかというと、そういう変態性欲を恥ずかしげもなく表に出し、また権力があるということでそれを周りも問題にしていないという描写が目立つ。
トミノからすると若い自由個人主義世代が中間管理職になって強権を発動し始めているという事を問題意識にしているのかも?
というのはうがちすぎかもしれんが。
カシマル自体はルールを押し付けるけど、それもおたくっぽいこだわりに過ぎず、理知的ではない。興奮すると「させさせなさせい!」と文法も守れないようなやつだ。
カシマルのルールって言うのはあくまで自分が決めたルールっていうことで、むしろ大人というよりは決断主義的なのかも。まあ、富野から見てみるとカシマルも夜神月も若者なのかも知れんが。


対して、主人公ゲイナー君である。
彼もまた、大人たちに「ルールを守れよ!」という生真面目なメガネ少年だ。もちろん、地下鉄にもきちんと乗る。サラ・コダマはドームポリスに反抗しているからか急いでいるからか、キセル
ゲイナー・サンガはドームポリスの平和を守るためにオーバーマンで地下鉄に侵入する時もペコペコと謝りながら入る。駅員に「オーバーマンだからって横入りするな!」と怒られる。
カシマルはドームポリスを破壊するのに偉そう。カシマルは人を殺したり道具にして利用して不幸にしても、罰せられないという事を知っている大人なのだ。悪い。
ここらへんが権力にまみれた大人と、清廉な少年の違い。
あと、ゲイナー君は敵のオーバーマンがマグマを刺激しているときも「自然に対してうかつにオーバースキルを使うな!」とエコロジージブリっぽいことを言う。自然の法則というルール、理と言うものを重んじているのだな。
つまるところ、ゲイナー君はジェダイの騎士なのである。主人公だし。フォースは昔は理力だったんだよ。ビックリマンとか。
キンゲって自由主義でありながら、実は「本当のルールって言うのはどういうものだろうか?」っていうすごくクラシックな勧善懲悪でもある。ただ、セリフではっきりと言ったりはしないけどな。


だけども、マンガの少年主人公が理力を行使しすぎると英雄的自殺行為に直結してしまう。キングゲイナーはドームポリスの被害を食い止めようとしてマグマの地下で孤立してしまう。
それに対して一度少年英雄王子としてのウッブスのエクソダスの崩壊を経験しても生きているゲイン・ビジョウが「生きてりゃあデートなんていくらでも出来るんだからな!」と、決死の覚悟で戦っているゲイナーに俗っぽい事を言って俗世に引き戻すアニキ役をやってる。ゲイナー君は「ほっといてよ!」って子供っぽく返す事で、英雄から青少年に醒めることが出来る。テレビのカミーユにはならない。
上手いバランスだなー。
そんで、ゲイナー君の気力が上がったらキングゲイナーが超強くなる。


あと、ゲイナー君は前話の「ママドゥとリュボフさんのことは大人同士のことなので僕には関係ない」と言い切ってるから、まだ子供だと思ってるんだ。そういう線引きをしようって言う生真面目さもあるんだな。
ただ、ママドゥとリュボフがくっついて興奮したせいなのか、ゲインはゲイナーを煽り、アデットはサラを煽る。ヤンキーか。
別に若いものに継承するとか言うよりは、ゲインもアデットも楽しくて仕方がないだけなんだろうなー他人の恋愛とかが。他人の幸せとか恥じらいをおもしろがれる大人って言うのは自分を主張するだけのカシマルとは好対照だな。まあ、アデットも昔はそんなのだったんだけど、ヤーパンの天井のオーガニック的なものに感化されたのかもな。っていうかヤッサバと別れてゲイナーについたから、彼氏が変わったら趣味も変わるスイーツ(笑)なのかも。


ストーリー面でも今回はすごくクラシックなスーパーロボットをしてる。
エヴァンゲリオンのマグマダイバーもエヴァには珍しい、Aパートの生活描写で敵を発見して、Bパートで戦いって言うロボットモノのセオリーといわれてたけど。やはり、マグマの話はゲッターロボからのスーパーロボットの伝統だからか?地下回廊とか(笑)


そんでゲイナー君も「キングコールド!」「突き抜けろ、キングゲイナー――――ッ!!!!」とか必殺技を叫びまくり。スパロボだ。
コールド系のオーバースキルは初。キンゲなんでもありだな。オーバーデビルの眷属としての能力に目覚めた?
前回マッスルエンジンでママドゥ・アザフとリュボフ・スメッタナを温めたと言うところから、「逆に冷やせるんじゃね?」っていう発想になったのか?いやいや、エントロピーが謎だ。あ、ブリュンヒルデと出会ってからポシェットの4次元ポケットが活性化したんで、そこから熱を別の次元(オーバーデビルの出身地)に移動させる機構を発見?
ゲイナー君は研究熱心だなー。そんで「この技の名前はキングコールドだ!」とか一人で月野うさぎみたいに技名を考えたりしてるんだ萌え。
もっと口上を言ったりしてもよかったけど、ガンダムをひきずってるのかなあ?ザブングルまでは戻ったけどダイターンではないというラインか。最終回のプラネッタエンペランザの口上はイカス。


シンシアがネットゲームでは優しい猫を被っていて、デートに来たゲイナーを遠くから見て「ダサッ」っていうのが女の子っぽいナー。ジブリっぽいキングゲイナーだが、ジブリではありえん。おもろい。
でも電話では「またいつかあいましょうね!」って社交辞令でも言ってくれるんだから優しいは優しいのか?シンシア・レーンも四六時中働いてる強化人間だからなー。素で会えるのはネット上だけかも。デートの時も戦闘服と言うのはどうかと思うが、アレはアレでお洒落だからいいのか?
会うかどうか迷ってたなら可愛いな。


あと、アデット先生は今回胸が揺れます。シンシアの貧乳に対抗しての事か?ベストがコルセット代わりだからノーブラかもな。ひでえ教師だ。まいっちんぐだ。