玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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おおきく振りかぶって&四畳半神話大系#08に見る「体育」と体育会系サークルの違い

※このブログはチラシの裏であり、私以外の人物、団体、組織は全てデミウルゴスによる架空のものである可能性が高い。
 
 
というわけで、昨日見た深夜アニメの感想。まずは、おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜から。
原作当初から、スポ根漫画ではなく、理論立てたトレーニングや戦術が面白いと、皆さん何べんも言っていた事を今回私も言う。
手垢のついた感想行きまーす。
体育会系発想の「とにかく頑張る」ではなく、「頑張れる状態に工夫して持っていく」という「体の育成」ところがおお振りの独自点。って、みんな言ってる。
体の育成だけではなく、体が上手く動く精神状態に持っていく、というのも大きな特徴です。
(党首・三橋の精神的な不安定さに読者視聴者もイライラしつつ、捕手・阿部隆也もそのイライラと戦いながら自分のイライラとも闘う、っていうのは話運びとしても読者を同調させ引き込んで上手いと思う。)
 
 
いや、そう考えてみると「体育会系発想」と「体育的発想」は別物なのだなあ、と思いました。
私も去年入社してそろそろ退職しそうな会社では「お前には体育会系な考えが足りない」って上司に言われてたよ。
まー、そこには「スポーツ的に戦略的に考えよう」という意識もあったかもしれず、私もそこを汲み取ることができ無かっただけかもしれませんが。
とりあえず、入社した後の合宿研修で「社会人は早飯早糞」と帝国海軍の様な事を人材育成会社に言われたよ。そこらへんは四畳半神話大系8話にリンクしてるかも。
毎日、朝御飯を軽く食べて、昼はコンビニ飯を食べながら終電まで働いて、夜は寝る時間と金がもったいないからサンドイッチを歩きながら食べて寝るという生活を頑張ってみた所、謎の高熱と頭部の穴全部から膿が出て、脳と歯茎と内臓全部が痛くなって呼吸と排便に異常を来たしたけど、病原体の感染や栄養失調は全くないという、嗤える状態になって半年休職して、とりあえずパソコンの前で激痛が走るという事は無くなり、神曲冒頭のダンテ状態なう。
 
 
まあ、四畳半神話大系の主人公の眼鏡のように2年間の大学生活をループできたらそりゃー楽なんだけども。それなりに明石さんと話ができてるし。(明石さんと結ばれたら救われるとは思えないが)
しかし、大学に8年も在籍していた私こそが事実、大学生活をループさせていたと言っても過言ではないのである。そしてそれは私が救いようのないアホだからだ。一条戻橋にある晴明神社でタダならぬ妖気を発し、境内にに陰陽師アニメのポスターを貼っている齢80は越えているであろう陰陽師に「お前の心が綺麗だから、お前にはこの世に居場所はない。3000円」と言われたような私なので、娑婆で社会人になるためには寝食を惜しむ程度の努力をするのはむしろ当然であり、世の中の大半の人はそれが出来て頑張って働いているのだが、それができない私の体は心の綺麗さに反して膿と糞まみれの虚弱体質のアホである。
(ちなみに診断では私には喜怒哀楽の表情がなく、感情を表現するときには病気になるか虚構を見るしかないらしい。日本人にしては目鼻立ちがはっきりしているので感情を読まれやすく、表情を作るとすぐに人に嫌われたからだろうか)
 
 
ええと、何の話でしたっけ。
 
 
ああ、そう。体育会系と体育的思考の違いの話です。多少、自分の立脚点の説明が長かったです。
 
 
体育会系思考を「とにかく頑張る。限界まで頑張る。できるまで頑張る。絶対出来る」という事だと、仮定しましょう。
もちろん、私は「絶対など無い」というような偏屈であり上司からも「体育会系成分が足りない」と言われていたので、体育会系を正確に認識しているわけがない。ここについては体育会諸氏の教えを乞いたいところであるが、ここはチラシの裏なので期待はしない。
えーと、では、体育会系において頑張り続けなければいけない理由と言う物を考えてみましょう。おお、そんなものは当たり前だと思うなかれ。私のように『おっと、「がんばれ」って言ってはいけないんだっけ』というネタで弄っていただけるような立場の者としては「頑張る理由」も必要です。
えーと、簡単に結論を言いますと体育会系で頑張る理由は『体育「会系」の「会」の中でのヒエラルキーを向上させるため』です。対して「体育」を頑張る理由は「体の機能を向上させるため」です。わぁ簡単。
 
 
つまるところ、所属欲求と優越欲求が体育会系と言うものですね。ほら、文化系理科系とは言いますが会とは言いませんがな。
(いや、まあ、学会とか研究発表会とかコンテストとかあるんだけどさ…。)
体育会系部活ではそれは部内でのレギュラーとその他ヒエラルキー、大会のトーナメントなどの順位として「会合内での地位」が可視化されます。
これは今回の四畳半神話大系のソフトボールサークル「ほんわか」とその母体である健康食品会社の様なアムウェイ的企業やネットゲーム等や、はてなムラにおいても同様で、ある密閉集団の中での序列による、個人の所属意識と優越ゲームがあり、それが組織を維持するわけです。
うむ。
四畳半の原作は読んでいないのだが、原作は四章仕立てと言う事でオリジナルエピソードも多いと思われ、上田誠氏と湯浅政明監督の面白さが発揮されている。
また、集団の帰属意識を高めるために、「集団の外側は存在しない、あるいは不幸である」という説法も有効な手段であります。
それは今回の四畳半で上手く描かれていておもしろかった。小津が外側に箱舟を吹き飛ばした事も上手い。
私も入社した時に社長から「勝ち組への入口へようこそ!私は日本の大学ベンチャーで成功したほとんど唯一の男です」と言われ、心の中でしなもんに深く詫びたのであった。いや、株式会社はてなは正式には大学を退学した後なんだが。まあ、別にしなもんの事は本題ではない。っていうかそろそろ老犬か。
 
 
あと、「集団内での地位」と同時に「集団内で心を開く暴露」も研修でやったなあ。懐かしいなあ。
いやー、初対面の女の子に「まだ心を開いてない」って言われた。うん。まあ、そこら辺は砂漠の使徒に頼んでください。
大声でトラウマを暴露する訓練とかねー。やったやった。で、僕は演劇部で大声をそれらしくする練習をやっていたから、「なるほど、これはこういう効果を期待してやっているものか」と半ば面白がっていたがために、やはり心を開けない人だと思われたらしい。
そして、合宿中はハイテンションに心を開いていた人たちも、普通の仕事をしていると普通に挨拶もしなくなった。というか、まあ、僕があいさつに値しないだけなのだが。喉元過ぎれば何とやらである。
ちなみに、その合宿の模様は夕方のニュースで熱血社員研修としてテレビで放映され、主人公格で山道を歩く様子を放映された女性社員は僕と同時期に休職しているらしい。伝聞なので詳しい事は知らない。
 
 
まあ、そんな事は瑣末であり、おおきく振りかぶっての話である。
えーと、つまり体育会系においては「会」にどのように所属できるかどうかという事が心理的に重要な訳だというのが上記である。
そうすると、主人公チームである西浦高校と言うのはかなりユートピア的集団であると思う。
ROOKIESも、であるが一年生ばかりの野球部と言うのはまず「会」における上下関係やレギュラーと言う居場所の確保と言う生臭い体育会系ヒエラルキーの諸問題を省く事が出来ている。
(ただし、西浦高校の対戦相手でそれが描かれていないわけではない)
これはキャラクターやストーリーやドラマをすっきりと整理するのに楽である。
けいおん!!もそう言う所があるね。あずにゃんは唯たちが卒業してもそれなりに学校内での居場所や音楽は楽しめそうだから良い。
 
 
そのように省略して「おお振り」は「体育会」より「体育」という体を鍛えて強くなる、という本筋をより強固に描く構造になっている。個々人が技を磨き、同時にチームとしての連携技も身につけていくという、強くなっていく感覚はエンターテインメントとして優れている。(そのために、トーナメント戦という体育会系ヒエラルキーを上手く舞台として利用している)
また、「徳育」というか「チームメイトの精神を安定させ効率化する」という事も「会の結束を高めるために本音をいきなり開く」という四畳半神話大系の研修キャンプ的なイベントではなく、チームメイト同士の時間的、人間的に長くて広いやり取りの積み重ねによって、徐々に「人の心に踏み込むそれ相応の資格」をそれぞれが模索していっていて、好感が持てる。
 
 
で、ここからが本題なのである。
このように、割と居心地がよく、また、体を鍛える事に集中できる環境の整っている、『体育会系』というよりは「体育」の西浦高校野球部において、主人公・三橋廉の不安はある種奇異なものに見える。
実際、奇矯だし。
その不安はつまり「居場所がなくなること」「ピッチャーを下されること」ですよねー。たぶん。単行本3巻まで読んで、2期は最初見逃がしてたので間違ってるかも知れんが、大体そんな不安をよく独白している。冷静に考えたら今のチーム事情でエースを下されるという事はあまりないし、三橋の体育的努力は実際にある。が、彼は不安がる。
これは「体育会系」発想です。中学時代、贔屓でエースをしていてチームメンバーに嫌われ、体育会系の会に入れなかった三橋が、逆に今はチーム内で一番体育会系所属欲求によって困っている。
こういう価値観の葛藤、コンフリクトはドラマ作りとして面白い。
また、自分の技を磨く事が大好きな「体育」少年・田島悠一郎と、田島をライバル視する「体育会系」少年・花井梓の対立軸(※敵意ではない)も、それを俯瞰するモモカンの存在も、立体的で面白いなあ。
家族が出る所なども、もちろん。
体育少年田島と、体育会系思考に悩みながら体育努力をしている三橋が妙にウマが合うというのも、軸と軸の歯車を噛み合わせて物語を駆動させていて、非常に面白い。
 
 
つまり、私は特に体育会系批判をしたいわけではなく、単に萬画が面白ければそれでいいのだ。
 
 
あと、花井の妹の双子が殺人的にかわいいので、花井が田島と同じくらいのオナニストじゃなくて良かったというかもう、妹妹!
いもうとだいっしゅきいいいいいいいいい!
それ以外に何の意味があろうか。

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