玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ニュータイプ演出は出崎統演出・サンライズフェスティバルみんなの宇宙世紀ナイト!その2

機動戦士Zガンダム3部作と逆襲のシャアを一気に見て思ったのだけど、ニュータイプ的現象って出崎統の特殊効果演出にかなり近いんだよなー。って思った。
シャアが初めてカミーユの息遣いを感知して「アムロ・レイララァ・スン?いや、違う!」って言った時の走るカミーユの足元の影と背景の光はおにいさまへ…のバスケットボールシーンのオマージュだし。(時系列めちゃめちゃ)
ハーフムーン・ラブでカミーユの目線の上下が暗くなるのとかも出崎。
いや、光る背景とシルエット演出はモロボシ・ダンとアンヌ隊員とかもやってるから映画的な表現テクニックとしては普通なのかなー。
でも、富野由悠季はさきまくらだけはかなり無条件で認めて憧れてるからなあ。
もう、ニュータイプ論争は出崎で良いかなーって、そういう気分だったりもする。
まあ、ニュータイプには人間レーダー最強ガジェットとかイデオロギーとか、そういういろんな要素があるって事くらいは知ってますがな。
で、福井晴敏先生の機動戦士ガンダムUCには富野分はあるけど、出崎統分はあんまりないから、結果としてトミノっぽくなくてガンダムっぽい物になってるんだなーって感じだと、今回の一挙上映地獄オールナイトでわかった。
  
  
映像テクニックだけでなく、「理屈では語りつくせない概念を超えたものをわかり合うのがニュータイプなのだから、エモーショナルな物を映像に乗せてぶつけるしかない!」っていう勢いとかも結構、出崎。
パンチなんだよ!出崎は!パンチはスピードだ。
富野セリフもスピード優先じゃないっすか。「アニメの尺や、戦闘中の一瞬の呼吸で言える間の短い言葉に心を圧縮して込める!」っていう。
ガンダムUCはそういう一瞬に永遠を込める出崎パンチはあんまり感じないなあ。具体的に言うと、死んだニュータイプがそんなに長々としゃべったら、読者は途中で飽きると言うことで、力石は転んだらそれっきりだ。
密会は一瞬って言うのが粋なんだよ。
ハーモニー演出については、Gガンダムで出崎路線演出を多用した今川泰宏氏と大喧嘩して降板したりもしたけど、結局星を継ぐ者のラストカットは今川氏のハーモニーだし。
そーいうわけで、ガンダムあしたのジョーなんだよなー。出崎統×トミノということで。
ジョーは小学生の時に見たし、あしたのジョー2は去年見たから、今さら見直さなくても成仏条件は達成してるんだけどね。
   
   
だけど、もちろんトミーノには出崎には無い感性がちゃんとあって、それは「太陽と月と地球の位置関係を把握したドラマ作り」と言うことで、物理的には射程距離が広い。
出崎統がリングの中や学園や宮中や船の中でやるようなドラマを、太陽系レベルでやる。イデオンでは500万光年くらいのレベルでやる。∀ガンダムでは1万年くらいのスパンでやる。恋人たちのフォウのラストバトルの宇宙、成層圏、海をひとつの戦場にする空間把握能力は富野の能力だと思う。出崎はそれを「夢」のフィールドでやるんだろうけど。
出崎統の宇宙物であるスペースコブラは不勉強で見てませんが、コブラは人間サイズだからガンダムよりは射程距離は短いよね?霧亥くらいはある?w)
富野監督は自分でも言ってるけど、「私には、自分の仕事を100年残る名作にしたいという欲があるから、暴走して、最近はスポンサーも付かない」とか言うので、一人で組織に対抗するバカなんです。「人類全体の悪、全体主義の悪、組織の悪、商業主義の悪、人間の悪を暴くような作品を作ると、人間のスポンサーがつかない。お仕事ください」なんて言うのだから!なんて情けないカリスマだ!
だから、富野は出崎統と同じくらいの優れた絵コンテ演出家でしかないのだから、「概念を伝達する」とか大袈裟な事を言わずに、「出崎統と同じくらい大人しく」演出家に徹したらいいと思うんだ。
いいか?「出崎統と同じくらいに大人しく」だぜ?(笑)
コブラ降板の後の出崎統は、次はどの原作を破壊してくれるのだろうか?ワクワク。
リトルバスターズ!かな?Genji続編かな?プリキュアでも良いんだぜ!
  
  
あと、これは機動戦士ガンダムユニコーンにもある所で、トミノ作品には「次世代へ希望をつなげる」っていうロマンチシズムがすごくあるけど、出崎作品にはあんまりないかもなーって思った。出崎統は「旅をしてる一瞬の自分に全てをかける」という刹那主義の積み重ねに重点を置いてる気がする。
富野作品って妊娠するだけでビームをバリアーで跳ね返したり、次世代に対する希望が異常に強い。∀以降は若干落ち着いたかもしれないけど、それでも世代交代っていうモチーフはトリトンからずっと一貫して好きだよね。遺産だったり負債だったり、それを乾坤一擲したりなんですが。
出崎は旅人の人なんで、あんまり子供が出来るとか、それが希望だ〜的な感じはあんまりしない。なんか子供とかは旅をしてたらいつの間にかできるみたいな、ゴルゴ13みたいな。まあ、いつの間にかできていた子供にガツンとやられる劇場版CLANNADとかもあるか?
おにいさまへ…とか源氏物語千年紀 Genjiとか劇場版AIRの神尾さん家や、あしたのジョーの白木ジムやノリちゃんの実家は「旅の足を引っ張る家と言う重い呪縛」って言う風に書いてたような気がしなくもない。ウルトラバイオレットでは母体のDNAに帰る呪縛を持った女を堀内賢雄が眺める話かな。
ただ、出崎が血縁が嫌いってだけなわけじゃなくて、Genjiの父上の堀内賢雄帝とか、岡崎朋也の父の土下座とか、先輩の男と若い男の愛憎という側面もあるよな…。
対して、富野は世代交代には母親(カララ、ベルトーチカ、マーベット)の影が濃いし、教え諭す父親って言うよりは、そういうことが出来ないまま死んで行く男で、妊婦はなんかオカルトなパワーみたいな。
眠いし、出崎統はあまり詳しくないし、まとめるつもりもなく書いてるけど、そういうスタンスの違いはありますね。ま、どっちにしろ血縁とかは観客にとってもクリティカルな題材なので、感動させるには使いやすい題材ってだけなのかもしれないけど。
つーか、[次世代への希望]は宝島でやりきってんのかなー?見なきゃなー。
いや、別に監督のプライベートな血縁関係を投影するつもりはあんまりないけどさ。
  
  
  
そういうわけで、源氏物語千年紀Genjiの明石編がとても楽しみですね!
アニメのユニコーンガンダムとバンシィの殴り合いは史上最大の六回戦みたいな感じになるといいですね!
富野監督の新作は難しくなくて基本的な娯楽作品になればいいですね!
でも、それをやろうとしたキングゲイナーの「明らかに意味不明な伏線」を調べて行ったら「キルケゴール死に至る病」がキングゲイナーの裏テーマだったと俺が納得してしまうというディープな事態になってしまったので、富野の主張癖はどうしようもないのかもしれない。(証拠は、アイシングゲートの不自然さと、デビルの名称と、上智大学で当時の富野が「死に至る病」に言及した事のみなんだが)
で、キングゲイナー少女革命ウテナ小説の大河内一楼さん経由で出崎統の影響が濃いらしい。
ゲイン・ビジョウは出崎的旅人種馬キャラ&先輩男性キャラとして設定されてたと思うんだけど、子供をカリン・ブーンに引き取られてずっこける情けないお父ちゃんだったりしてwwwっていうか、富野の妹キャラはやっぱりパネえ!
若紫は超可愛い。