脚本:星山博之 絵コンテ;小林三男 演出:行田進
あらすじ
http://higecom.web.fc2.com/kingbial/story/story14.html
- 第2部完結
名無し・A・一郎さんが上記のあらすじで紹介してらっしゃるように、今回でバンドック撤退以降3回続いた単発バトルエピソード回は終了する様子。
なので、ちょっと総集編と言うニュアンスもある。
第2話で侵略が始まったばかりのころにザンボエースにガンマンみたいなカッコイイマフラーを作ってあげると約束したアキとミチが、その頃のことから、メカブーストの侵略で焼け出され親が大けがしたこと、それに伴う神ファミリーへの感情の変化、今の避難生活までを回想することで、軽く総集編になっている。
この手造りのスカーフと言う女の子と男の子の淡い感情のドラマ性と、ロボットガンマンにスカーフを付けるというカッコよさと、命がけで半壊のロボットで女の子を守る痛みを伴うヒーロー性を絡めて、総集編を無機質にしないでちゃんとしたいい話に仕立てている。
脚本の故・星山さんは機動戦士ガンダムや∀ガンダムにも参加したベテラン脚本家。
また、女の子が作った手縫いの布をロボットが装備するというのは、∀ガンダムの第40話「月面の海戦」でもやったエピソードですね。月面の海戦の脚本は大河内一楼さん。
アキとミチの淡い恋心についてくどくどと述べるのは無粋なのでやらないが、前回の失声症の少女のチーコと香月との交流と和解に続いて、ブスペア(友達の女の子をブスと言ってしまう勝平のガキ臭さよ)のアキとの和解が描かれる。
これで、大滝社長や野崎副総理などの神ファミリーへの理解が進んで、次回の海外の軍隊との共同作戦や人類のガイゾックへの反抗作戦と言う第三部に続く。シリーズ構成がしっかりしているなあ。このアニメは。
また、物資運搬業の社長や日本国政府との和解という公の理解よりも、勝平の友人との和解のエピソードの方を後に持ってくることで、宇宙人と戦うロボットアニメとして、大人の支援よりも子供同士の友情の方が重みがある、と言う風に見せていて、この点は子供向けに感情に訴える所だ。勝平自身も「パトロールよりもブスペアを探す方が大事だ」って言っていたし。戦いを友情よりも優先するのはプロの軍人ではなく、スーパーロボットをたまたま動かせるだけのただの子どもと言う感じですね。
今回は勝平の子供っぽさで被害が拡大することもなく、むしろ勝平の友情パワーでロボットの戦闘にも力が入り、避難民キャンプを救って仲直りもできた。
とてもいい話だと思う。
いい話なので、特に付け足すことはない。
この、心温まるエピソードの後に、本格的な戦争が始まるんですね。ほんと、富野アニメは予告で死亡フラグを立てまくるからなあ。次回のサブタイトル。
- 震災以降の想像力
思想家の東浩紀さんが東日本大震災以降のアニメとかサブカルチャーとか文化の想像力について語っているけど、戦争のメタファーを使ったザンボット3も非常に震災以降の描写としてリアルだった。1973年の日本沈没とかを参考にしているのだろうか?
北海道以外はガイゾックの侵略で血に染まって、北海道に疎開してきた避難民が難民キャンプを作っているし、また、役所にも避難課が出来ていて、勝平がそこで人探しをするというのもリアル。
また、すごいな、って思ったのは難民キャンプの仮設住宅の描写。
半円アーチのかまぼこ型の簡単なテントで、六畳ほどの広さが一家族のスペースで、間仕切りされてるだけでプライベートもへったくれもない、現在の仮設住宅よりももっと前時代的な難民テントなんですが。
静岡、四日市、と焼け出されて母親が重傷で寝たきりになり、北海道の難民キャンプに落ち着いたアキが仮設住宅に対して「やっとうちに帰ってきた」って言うんです。
怪獣が攻めてきても、「やっと北海道の家に落ち着けたのに、メカブーストが来たら来たでどうだっていいわよ!私は家を離れないわ!」と、避難を拒む。
仮設住宅で、小さな体育館に間仕切りがしてあるだけの住宅とは呼べない仮設住宅以下の難民テントを、アキは「家」って言うんですよ!
アキの父親も母親に対して「心臓に負担をかけなければ自宅療養でいいと医者に言われた」と言って仮設住宅に寝かせる。自宅じゃないのに、テントを自宅と言うしかない。
この、逃げ疲れた難民の心理とか、日本全体が侵略で疲れ切っている所が、この仮設住宅を家と呼ぶことで示されていて、直接の被害の描写ではないけど、侵略の恐ろしさが伝わってくる。上手い脚本だ。
そういう、追いつめられて余裕のない避難民の女の子が、必死に命を守ってくれようとするスーパーロボットの主人公の頑張りに心を動かされて、手縫いのスカーフを渡してくれる…。物の豊かさは無くても、ボロ雑巾みたいなスカーフでも、むしろ豊かさが失われて滅びに近づいている状況だからこそ、プレゼントの心の価値が高まる。
泣ける。
この、70年代アニメの色々と滅びのメタファーは重い物があるなあ。
テッカマンやキャシャーンもひどかったらしいじゃないですか。
富野喜幸監督は荒野を描くことに定評があるなあ。
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今回の感想はちょっと短いけど、私も自炊したりしなければいけないので、今日はこれくらいにして、テンポよく視聴して行こうと思う。