玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ガンダム Gのレコンギスタ第1話冒頭10分+富野監督メッセージ

ガンダムの新シリーズであり富野監督の新作、「ガンダム Gのレコンギスタ」の冒頭10分のアニメーション本編と富野監督のインタビュー7分を加えた動画がインターネット上に無料公開された。
現在公式サイトで、
https://www.g-reco.net/
バンダイチャンネルの動画が、
「機動戦士ガンダム」 | バンダイチャンネル
配信されている。
その他、dアニメストアガンダムインフォ、youtubeなどでも視聴可能とのこと。

また、8月23日土曜日から各地の映画館で催される3話までの先行上映会の舞台挨拶日程やチケット販売方法、販売グッズなども公式サイトを参照されたし。
https://www.g-reco.net/news/
https://www.g-reco.net/product.html

なお、今回は私の不備で「はじめたいキャピタルGの物語」は読み返していない。速報性を重視し、今回の配信動画について感想を述べる。


富野由悠季(実写)の「嫌でも続きを見たくなります」という不敵な宣言からアニメーションに切り替わる。


冒頭、成層圏を落下するG-セルフ(主人公ガンダム)(大気圏内飛行型リフター装備)(褐色に銀髪の少女ラライヤ・マンディ搭乗)と
それを追うカット・シー(軌道エレベーターを守護するキャピタルガードの白い大気圏飛行型モビルスーツ)(キャピタル・ガード養成学校の教官である紫髪にカチューシャの男デレンセン・サマター搭乗)および僚機の2機、
グリモア3機(海賊軍の坊主頭MS・これには飛行翼はついていないが大型の頭部からミノフスキーフライトの発光粒子を発していた)(海賊軍の黒髪の男カーヒル・セイント搭乗)の三つ巴。坊主頭のグリモアはカット・シーの先手を取ってG-セルフの背後に肉薄するが、G-セルフはリフターを背後に排除してカーヒルグリモアにぶつけて振り切ろうとする。カーヒルグリモアの左腕に装備されたハーケンをG-セルフの左足の装甲に引っかけて、そこから電流を流し、攻撃する。
攻撃を受けたラライヤは成層圏でコックピットハッチを開いて落下。落下したラライヤはデレンセンのカット・シーに、またG−セルフのリフターは僚機のカット・シーにピックアップされる。逆にG-セルフの本体は3機のグリモアに捕縛され、いずこかへ去る。
そして、サブ・タイトル「謎のモビルスーツ」と読み上げられる。

    • チェックポイント!

ここでグダちんのチェックポイントやさくら!
G-セルフからラライヤが放り出されるとき、一瞬やけどラライヤがかぶっていたマスクが出てくるんや。みんな気付いたかな?
これはいつものガンダムのフルフェイス型のヘルメットと違って、両目にグラスがついて口の部分に三角のマスクが付いている、いわゆるクラシックな飛行士のマスクなんや。スタジオジブリ出身の吉田健一さんのキャラクターデザインと相まってなんやら風の谷のナウシカみたいやなあ。モモンガみたいにスーツの両足と両脇の幕を広げてスカイダイビングみたいに滑空するラライヤは「親方、空から女の子が!」って感じや。
また、彼女を追うデレンセンもカーヒルパイロットスーツは着ているけどヘルメットは被っとらん。

そもそもG-セルフの装備は大気圏内飛行用なんや。つまり、ラライヤは最初から大気圏内での飛行やスカイダイビングを念頭に置いていたわけ。真空用の装備じゃない。それはカット・シーとグリモアも同じ。(グリモアが大気圏突入と再離脱が可能なミノフスキードライブを内蔵しているかは謎だが、宇宙海賊の拠点が宇宙にあるのなら、Vガンダムに登場したトムリアット以上の大気圏突入、離脱の性能を持つと考えるのが妥当)
HG 1/144 グリモア (ガンダムGのレコンギスタ)

HG 1/144 グリモア (ガンダムGのレコンギスタ)

公式サイトではラライヤは「突如、G−セルフに乗って地球に現れた」と書いてあるが、装備を考えると、この空中戦が始まったのは、おそらく宇宙から大気圏突入した、と言うよりは地球上からラライヤが何らかの事情で逃亡を図って飛行して成層圏まで上昇した所をカット・シーに追跡され、それを(宇宙空間、あるいは地上のどこかから発進した)海賊部隊のグリモア小隊にかすめ取られたという状況であろう。
ならば、地球上では酸欠で記憶を失う前のラライヤを知っている人物がいるかもしれない、ということでやっぱり続きが気になりますね!
キャピタルガードのカット・シーの警戒空域まで大気圏を飛行してきたと考えるなら、やはりこの時のG-セルフは宇宙から飛来したというよりは、地上から発進して宇宙エレベーターに取り付いて、そこから宇宙に上がろうとしたのかもしれない、という推理に成るが、どうなんだろう。

みんな言ってるけど、このベルリ・ゼナム役の石井マークさんのサブタイトルの読み上げ、機動戦士Vガンダムのデビュー当時の坂口大助さんみたいですよね。

宇宙からフォトンバッテリーと言うエネルギーがもたらされるので、宇宙を胎盤として宇宙エレベーターをへその緒に見立てた「スペース・アンビルカルコード教」略してスコード教。教会の高い天井ののドームの中央に描かれるのはいくつかの彗星や小惑星の軌道を含む太陽系。その周りにインカ文明やメソポタミア文明みたいな石碑、その下の段に高層ビル、山岳などの地表の歴史風景画、その下にヒンドゥー、仏教、キリスト教を連想させる宗教画が並列に並んでいる。さまざまな旧世紀の宗教がごっちゃに、同格に並べられている所に「立派なオウム真理教」のような泊付を感じる。オウム真理教に対しては富野監督は非常に思う所があるので。
そして神父か司教か、という僧衣の人が「天こそ命の源と栄養を下さる」「心を天に開くのです」とスコード教の臍の緒思想を説く。
無敵超人ザンボット3で「乳離れ」というアーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」のようなことをテーマにして、その後のガンダムシリーズも「人類は地球や太陽系から巣立つべき」というSFモチーフを主題にしていた富野監督だが。宇宙世紀が終わって数千年(?)後のリギルドセンチュリー1014年の「Gのレコンギスタ」では乳離れどころか「人間は大地と言う子宮の中で、宇宙のへその緒から栄養を貰って停滞して生きていればいいのだ」と、宇宙世紀進歩主義の反動のような思想に成っている。これは富野監督が宇宙開発をテーマにすることがなくなり、ブレンパワードで銀河旅行を否定し∀ガンダムでは地球に回帰して、キングゲイナーリーンの翼は地球上の話というモチーフの変遷と合致する。ガンダム以外のSF作品でもワープなどを駆使して宇宙の果てまで冒険したり宇宙人を探す、と言うスター・トレック的なスペースオペラやそのような願望はいったん主流から外れ、精神世界やサイバー世界を舞台にしたSFや刑事ものや歴史ものが流行っている印象を持つ。宇宙戦艦ヤマトも一応昨年までにリメイクされたが…。
また、現実の宇宙開発もスペースシャトルが退役したり、月や火星への有人探査はアポロ計画のころに比べると全くと言っていいほど進まず、国際宇宙ステーションも「費用に対して実験で得られる経済効果が薄い」と言われている。今回のGのレコンギスタのテーマは宇宙エレベーターであるので、私も富野監督のインタビューが乗っている宇宙エレベーターの本を買って読んだが、「一本の継ぎ目のないカーボンナノチューブを10万キロにわたって生成する」とか「赤道上に宇宙エレベーターが固定されると全ての人工衛星は必ずエレベーターに衝突するので人工衛星と競合する」とかあまり現実的でないことが書いてあった。(宇宙エレベーターデブリを掃除するって言う案も書いてあったけど…)

それを取材したうえで富野監督がどういう世界観を作るのかは興味どころである。宇宙世紀が終わってスペースノイドニュータイプスペースコロニーを改造して太陽系外に脱出し、地球上の人口が大規模災害戦争資源の枯渇などで10億人以下まで減少して千年間地球にしがみついて宇宙からの御恵みを受けている情けない人類に成り果ててしまった。そこで、また富野監督がザンボット3ガンダムのような乳離れ、地球離れを目指すのか、あるいはそうでないのか。興味深い。


ともあれ、そのような宇宙エレベーター(作中に登場する南米大陸アマゾン川流域にあるキャピタル・タワー)の周囲にはそれなりに平和で穏やかでファッショナブルである程度自由な市民生活が営まれている様子。アメリカ人っぽいカジュアルな服装の人も、イスラームのターバンやスカーフを付けた人、中央アジアっぽい服装の人などが平和的に混在している社会が成り立っているようだ。未来なのでインターナショナルなのはわかるが、旧世紀の民族衣装を着る文化が保存されている、というのは意外だ。鉄腕アトムとかの分かりやすい未来アニメだと、みんな未来っぽいスーツっぽい服装に統一されていましたし。そういう未来アニメではない、と言うのがある
発展はないが安定はしている。公式サイトやアニメ雑誌の情報によると、宇宙世紀からの技術を地上人が発展させることは宗教上のタブーとされている様子。
この、宇宙エレベーターと宗教の関係は山本寛監督の「フラクタル」を思い出させる。フラクタルスタジオジブリ的な冒険譚だし冒頭に少女が落下してくるところなどはラピュタ的でGレコと共通点があるのだが…。まあ、この話はよそう。

宇宙エレベーターキャピタル・タワーは3本のテザー・ケーブルの三角形をレールとして、球状のクラウンと呼ばれる縦方向に進む列車がミノフスキーフライトで上昇しているらしい。3本のテザー・ケーブルが1路線で、キャピタル・タワーには4つの発着場が円形に並んでいる。(そのため、テザー・ケーブルは合計12本)
作品内の人々にとってはキャピタル・タワーは神聖視されているものの、クラウンの発着自体は珍しくないのか、のんびりと観光気分でタワーを見物している人も多い。クラウンが発進する時は大きな鐘の音が鳴るが、それほど重大な感じではなく列車の発車のベルに近い。(鳥よけも兼ねている?)直径20mほどのクラウンの連結部分のチェックは駅員か空港の誘導員のような人が肉眼で行っているようで、スーパーテクノロジーと言うよりは「縦向けのシベリア鉄道」のような感じで、日常に溶け込んだ技術と言う演出だ。
中に乗っている人も、観光旅行客の親子、キャピタル・ガード養成校のクラス、セントフラワー学園の女学生などが相乗りしている。
設定によると直径20メートルで人間が乗る密閉型球形客車タイプのクラウンは6階建ての構造になっているらしい。
面白いな!と思ったのは、成層圏に出たことを喜んで記念撮影している観光客の親子連れ(チベット風の服装?)とキャピタル・タワーを上昇しながら授業を受けているキャピタルガード養成校の男子が同じフロアーで相乗りに成っている所。しかも、その直径20mの部屋はあまり区画分けされていない上に床は芝生である!植木もある。
なので、この相乗りとかいろんな階級や民族や立場や旅行目的の人が同じ車両に乗せられているってのは20世紀初頭の大陸鉄道が縦の宇宙エレベーターになったようなおおらかさを感じさせる。(また、キャピタルガード候補生たちが乗っていたフロアの一つ上には上流階級っぽい人たちが乗っていてワインを飲んでいる。2級客車と一級客車が同じクラウンの中にあるみたい。身分を客車のランクでしめすのもちょっと古めの大陸横断鉄道のような雰囲気)
床が芝生なのは、光さえあれば植物が宇宙空間で必要な酸素を供給してくれるからだろうか?(細かい計算に基づいた呼吸に必要な植物面積は知らない…。が、∀ガンダムでは太陽電池芝というナノマシンと一体化した植物があった。リギルドセンチュリー∀ガンダムの時代よりも前らしいが…)
酸素供給と、あと宇宙空間に近い密閉環境でノイローゼにならないように考えられたオーガニックな配慮に基づいたインテリアデザインなのであろう。危険がせまったらまず第一に「空気と水の球、チェック!」と言うのもエスエフ的。この「宇宙で人が物理的にも精神的にも窒息しないようなオーガニック的な考え方」というのは富野監督らしいものであるし、SF的にも面白い。文化的な意匠で文明レベルや性質をあらわすのはSF的。
しかも、そこで主人公、ベルリ・ゼナム君が初登場である!

この左側の旅行者の親子と、ベルリと、右側のキャピタルガード養成クラスの対比の絵はすごい。
一般人と宇宙飛行士が同じ貨物船に相乗りしているって言う文化交流のシべ鉄っぽさや旅行感覚がある。また科学技術を装備した宇宙飛行士が一般観光客と同じ車両で宇宙を目指しているって言うだけで宇宙エレベーターはロケットとは全く違う物なんだ、ってSF的な技術の説明を、理系の説明くささではなく劇空間として観客に提示しているのが実に富野的で上手い。
で、宇宙飛行士というかキャピタル・タワーの保守点検をするキャピタルガードを養成する、いわば科学的エリート集団なのに、教官が(何故か数メートルも伸びる)鞭で生徒を指導するって言う。このハイテクとアナクロニズムが同居した感じが実に面白い。そして、その鞭を笑ってかわすベルリの主人公らしい不敵な天才っぽさ!
Vガンダムウッソ・エヴィンがリガ・ミリティアのゲリラではなく正規軍に入って才能を認められたような感じだ。
ルイン・リー先輩にも「さすが2年飛び級のベルだ」とケンカの実力を褒められて主人公らしい。良い。
そこに、セントフラワー学園のチアガール部が乱入して「フレー!フレー!第一回宇宙実習!」と踊りまくるのだが。これがまた富野作品の第一話を見る視聴者の喜びとか期待感を駆り立てるような美少女ラインダンスで祝祭感覚がある。

    • チェックポイント

ここで、教官のデレンセン・サマターはキャピタルガードの銘が入った強化ダンボール箱に座っているのだが、C.P.GUARDの下に中国語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語でキャピタルガードと書いてある。
中国語では首府後衛となるらしい。
今回のサンライズGのレコンギスタでは小形プロデューサーによると中国語や英語など海外でも同時配信を試みているらしい。なので、ネーミングは翻訳も絡んでいるようだが。
そもそも、宇宙世紀の次の世紀まで英語以外の言語(文字)が残っていたというのは意外だ。∀ガンダムアメリア大陸と月が舞台だったが、∀ガンダムを含むMSの表示パネルの言語は英語だった。
ちなみに、G-セルフは中国語圏ではG-自我と訳されているらしい。公式らしい。selfってのも色んな意味を持つ言葉だが、自我なんだ…?
しかし、富野監督の事前インタビューによればキャピタルタワー周辺以外にはあまり人は住んでいないと言っていたしキャピタルガードは南米のキャピタルタワー専属なのだから、そんなに多国籍対応をする必要は無い気がするんだが?(北アメリア大陸やヨーロッパ大陸ゴンドワン)や日本にも一応人間が生息しているとは富野監督は言ってたので、荷物の運搬は世界的に行われているのかもしれないので箱には多言語が表記されているんだろうか???あるいは冒頭のスコード教の雑多な宗教と同じく多言語を使用することがキャピタルガードの一種のステータスなのかも?)箱の表記一つでも世界観のイメージが膨らみますね!

  • セントフラワー学園のチアガールたち

美少女動物園だ!

ベルリに片思いしているピンク髪のノレド・ナグ役は寿美菜子さん、黒髪パッツンでルイン・リー先輩の彼女のマニィ・アンバサダちゃん役は高垣彩陽さん。アイドル声優スフィア!
富野監督、萌え系が嫌いとか、そもそも「小さいころ松竹歌劇団のラインダンスが怖かった」とかエッセイに書いていたんだが。
個人的な女性への好みを脇に置いて、とりあえずアイドル的な物を描くぞ!と言った所か。でも、統治する象徴としてのアイドル的な女性キャラクターは富野監督は今までもたくさん描いていた。ミナバ・ザビやハマーン様、ベラ・ロナ、シャクティ・カリン、クィンシィ・イッサー、ディアナ様、ミィヤなど、作中ではっきりとアイドルと言われたものもいる。で、近年のAKB48ブームやあまちゃんなどのアイドルブームにも富野監督は関心があるらしい。メルマガとかによると。そもそも秋元康さんがZZのアニメじゃないし。
で、そんなチアガールのクイーンビー(は多分マニィ)とサイドキックスのアイドルたちはひとしきりベルリたち文武両道のエリートキャピタルガード候補生(ジョックス階級だね)を応援した後、教官のデレンセンに怒られて追われて、頭がキレるベルリ・ゼナムが女の子たちに「クラウンの管制室に逃げ込め!」って言ったせいでそこに行って、管制室で監視されているラライヤと出会う。「生徒じゃないよね?」「あんた誰?」
「ラライヤ・・・マンディ・・・?」
ガールミーツガール!
キャピタルガードの厳ついオジサンが「この子はキャピタルアーミーで監視している!」と言ったら、ノレド・ナグは「キャピタルアーミー?監視?なにそれ?」って出崎統の3回パンをマイルドにしたような3回に分けたアップでアーミーに反論する。ガールミーツガール!
(ちなみに、ここのアップにする所は中割が足りてないような気もしなくもないが放送版では動画が足されるかどうか、Flashでつなげるのか、そのままなのか謎。吉田健一さんのツイートによれば「今見せられる精いっぱい」とのことらしい。作業は現在進行形っぽい)
ここで出崎統っぽいカメラワークのインパクトを出してきて、ノレドがラライヤのお世話係に今後なる事の説得力にしている、って言うのが上手い!
その直後にアーミーにノレドが「クンタラが!」と差別用語と共にお腹を蹴られるのもノレドの怒りと共にラライヤを守ってあげたいって気持ちにつながるので、女の子を蹴るのは良くないけど、感情をつなげる演出の説得力としては上手い。
というか、今回のGのレコンギスタのテーマは「ボーイミーツロボット&ガール」だったらしいが。ノレドとベル、ルイン・リー先輩とマニィはすでに顔なじみだし、アイーダはAパートでは出てこない。なので、先にノレドとラライヤのガールミーツガールをやってるんですね。おぉ。百合的にもおいしい、そういう萌え要素の流行も拾って行こうって言う富野監督の意気込み的なものがあるのかな?
ベルリより先にノレドが「キャピタルアーミーってキャピタルガードとは違うんですか?」という疑問を大人たちにぶつけるってのも面白い。ノレドちゃんはアイーダに食われる噛ませ犬ヒロインやベルリの金魚の糞じゃないんだ!ちゃんと自意識を持って行動していくんだ!というのが垣間見れてうれしい。
また、彼女たちチアガールの「セントフラワー学園のとなりのキャピタルガード養成学校の宇宙実習を応援しつつ、未来の亭主探しをするのは伝統」「その応援旅行のための旅行切符の積み立ても入学からやってる」って、アメリカンハイスクールのプロムを宇宙スケールでやってるみたいですね。
アメリカン人はハイスクール時代の彼女と結婚して、何となく離婚する人も多いらしい。リギルドセンチュリーではどうなってるか知らないけど)
結婚制度も学園生活と地続きなんだ!と言う未来世界の独自の文化を作ることで世界観に奥行を生んでいるし、女の子たちも単なる処女的なアイドルや美少女動物園ではなく、したたかに男を品定めしているメスって感じの生っぽさが良い。チアガールたちを追いかけていく男子たちも女の尻を素直に追いかける、微妙に古いタイプの洋画に出てくるアメリカ人男性のようなメンタリティだ。
また、チアガールの中でも女の子の中の階級があるみたいで、一番美人で清楚黒髪姫カットで巨乳でリーダー格のマニィ・アンバサダちゃんの彼氏がキャピタルガード養成訓練生の主席のルイン・リー先輩で、跳ねっ返りの性格で可愛いけどチビのノレドちゃんは訓練生の中でも異色の2階級飛び級(年下かもしれないがセントフラワー学園が高校で養成校が高校の後の専門学校なら同年齢)のベルリという暗黙の了解がすでに女の子たちの中で出来ているみたい。
ジョックスのキングにはチアガールのクイーンビーがお似合いで、ちょっと変わった女の子にはちょっと変わった男子、って言うこの、クラス内とかサークル内の空気が面白いな。
ベルリの同級生の男子もベルリに「運行長官の息子だからってクンタラの娘をつれこむ権利はないんだぜ」ってノレドについて言っていたし。男子もベルリとノレドの関係は公認しているみたい。クンタラの娘は上流階級に連れ込まれるようなもの、っていう認識があるのかもな。
でも、そのベルリとノレド、ルインとマニィの彼氏彼女の事情に、アイーダやラライヤとかクリム・ニックみたいな宇宙からの奴らが絡んできて人間関係が恋愛も含めて変わっていくんだろうなーって言うのがほんと楽しみ。

  • ベルリの授業とクラウンの運行状況

シドニアの騎士の序盤かよ!同じアニメイズム枠だし!というわけで教官の授業に主人公が「わかりきったことを」とか言いながら教官に「教科書通りで良いから言えよ」と促されてミノフスキーマグネットレイフィールド宇宙エレベーターの仕組みと「宇宙世紀時代の」宇宙デブリが解決されたことなどを説明する。
ミノフスキー粒子を撒かれたらレーダーが無効になるって言うのを1話で説明するガンダム!しかも授業形式!なんてわかりやすいんだー!泣ける!
「動体視力が宇宙での必殺兵器なんだ!」って、モビルスーツの概念を作中で説明したのも地味に珍しいよな。
うわー!富野アニメの1話なのになんて丁寧な説明なんだー!感動!
あと、やっぱり他の乗客との対比が面白い。宇宙実習に向かう養成学校の教官は鞭で生徒をビシバシ叩くような半分軍人だし、宇宙服のチェックなどを厳密にしていて、手袋をはめるだけでも海軍式の号令をかけて真剣なのに、その隣で観光客の子供が泣き出す日常観と隣り合わせで好対照って言うのが面白い。
また、6階建てのクラウンだが、最上階に制御用運転席があって、そこにラライヤがいるんだけど、運転フロアのすぐ下にセントフラワー学園の女子たちが押し込められた部屋があって、その下にベルリたちの乗客フロアーで、デレンセン大尉が上と下を行ったり来たりすることでともすれば狭苦しい描写になりがちな宇宙船(宇宙エレベーター)の内部に立体感を出そうとしている。地続きで、同じ乗物に乗っているんだよ!っていうのが説明セリフではなく一目でわからせようとする所も富野アニメらしい情報圧縮だ。(なので、セリフでミノフスキーマグネットフィールドとか宇宙エレベーターの時点の仕組みなどを説明したのは、それだけ富野監督なりの考えがあってのことだろうなと)
また、チアガール部が簡単に乱入できるし、他の観光客っぽい乗客も多く、宇宙実習の訓練生だけで宇宙エレベーターのクラウンを貸切運転できないっていう貧乏臭さが、宇宙世紀で一回滅んだあとに宇宙エレベーターにすがっている人類の経済の実情を表してる感じで、これも世界観を表していてナイス。宇宙エレベーターは日常に溶け込んでいるけど、学生が乗るには3年くらいのバイト代の旅券が必要だし、その程度には貴重で便も少ないのだろうと連想できる。また運行管理局としても一般観光客を載せないと運用費用がまかなえないのかもしれない。
うーん。この経済感覚や機材の扱い方から、その時代の地球の人口や環境、つまり架空の未来の世界観の見せ方につなげていくって言うSFマインドはすごいぞ!
キャピタルタワーのキャピタルは資産ですし。富野監督は宇宙エレベーターの本でも「金融ビジネスみたいなものをリアルだと思い込んでいる大人たちにもう一度現実を考え直させたい」みたいなことを言ってるし。
機動戦士ガンダムはロボット戦争アニメに「兵站と補給」の描写を付け加えたことで格段にリアルっぽさをアップさせたが、Gのレコンギスタはそこに「資産価値」とか「運用コスト」とか「その周りの経済圏・生活」を加えて新たな世界観を構築しようとしているのかもしれないと言うわけで良いのです。


また、ベルリが初めて作業実習用のレクテンに乗るために宇宙遊泳してコックピットまでたどり着いて、乗り込んで起動させて腕を動かしただけですごい!と思わせていて、宇宙を見せるんだー!という、少年時代から宇宙旅行オタクだった富野監督のらしさと意気込みが見えていて「本気」が伝わる。
それと、ベルリが宇宙に出る直前に低重力状態になっているのも宇宙エレベーターの「高度で慣性引力が変わる」と言うのを見せてて面白いし、それを見せるためにベルリとルインの4人班が天井までジャンプして「ファイトー!」って叫ぶ体育会系のノリが「訓練生」って感じで実に良い。
未来少年コナンみたいな荒々しい男を感じさせる四股を踏むんだけど、よく考えたら宇宙飛行士ってものすごく体力的にも訓練を積んでいるから体育会系のノリの方が近いかもな。年齢順で順番を決めるのも体育会系だ。そこら辺、近年のロボットアニメの主人公は繊細さとか神経質っぽい所を強調してて忘れていたかもしれない。(まあ、主にアムロカミーユのせいでもあるんだが。あとシンジ君)(ゼーガペインのキョウは体育会系だったけど1周目は繊細な性格だったし哲学知識もある高校生だったんだよな)でも、クラスメイトにはメガネ男子もいるので、現代の宇宙飛行士よりは易しいのかなあ?
しかも、ベルリは訓練挙動をする所をちゃんと女子が見てくれているか確認しているので、モテたいぜ!って気持ちを持っているし、自分の才能を示すことをセックスアピールとして(意識的かどうかはともかく)やっていく青年の気概を持っているみたいで、健やかな男子って感じですね。チアガールたちも下心はあるけど、主人公のベルリにもあるって言う。ザンボット3の勝平とブスペアみたいなことにならないといいけど…。

  • あれが噂の宇宙海賊!

噂の破嵐万丈のように登場する宇宙海賊のG-セルフ(宇宙飛行バックパック装備)!
レクテンの両手を上げただけですごい!と思わせてから、一気に別次元の機動を見せるGの登場!テンションが一気に上がる!
しかし、襲撃を受けてもベルリは焦らず「来るのかよ!」「うまっ!」って笑う。

やっぱりこの顔はドラゴンボール孫悟空とかワンピースのルフィですね!
戦うことが楽しいぜー!っていう、主人公です。こんな好戦的な富野主人公って神勝平以来かな?
富野監督も冒険話って規定しているんだが。コスモやカミーユジュドーやウッソも序盤は自分の才能を周りに誇示することで楽しむような無邪気で好戦的な所があったんだが、そういう風にマシーンを動かすと大抵富野アニメでは酷い目に遭います。
酷い目に合うんだろうか…?
レクテンはG-セルフが接近しただけで謎のオーラ力かフォトン力の干渉(?)を受けてオーバーマンにやられたシルエットマシンみたいに停止してしまった。
「何よ!」と言うベルリ。そして上昇するクラウンの管制室の上に仁王立ちになり、高出力ビームライフルを撃つG。
やっぱりガンダムはすごいんだ!
まてよ、このガンダムを感じさせて発見させるためにわざわざキャピタルアーミーはエレベーターにラライヤを乗せていたのか?そう考えると、やっぱりGは特別!ガンダムはすごい!
って思って、やっぱりガンダムガンダムがすごいのがかっこいいアニメなんだよな!!!!
ってワクワクしますよ―――!
そんな冒険。
富野監督曰く。
「悪い敵をやっつけるwww」「んですけど、嘘です」「良い敵もやっつける!かもしれない(笑)」
と、満面の笑みで怖いことを言う。
トミノ
でも、富野監督は「主人公のベルリ、アイーダもそういう敵というものがどういうものかよくわかってないんだけども、そういうことがみんな自分たちの中の良い経験として積み重なっていって、最終回の話にもってくような冒険話になってます。」と言うので、戦いが修羅の連続でトラウマや後悔になっていく黒富野ではないのかもしれない。
ある意味、ファーストガンダムランバ・ラルククルス・ドアンも「良い敵をやっつける」と言えたかもしれない。なので、そういう人間関係と人生経験のシミュレーションをアニメでやる、ということでお子たちに見せていいアニメの原点回帰と言えるのかもしれない!俺はもう子供ではないのですが!!!

  • 日付が変わってしまった。

うーん。
細かい感想は今回ではなく、テレビ放送開始の時にやろうと思ったんですが。なんか勢いでシーンごとに感想を書いてしまった!このなんだかわからないけど活気づいてしまってウワーってお祭り気分になってしまうのがやっぱり富野新作なんだよなあ。
うーん。富野監督のインタビュー動画も非常に感じ入る部分があるんだが、なんかアニメAパートの話をしただけで6時間かかってクソ疲れたので、寝ます。
富野監督のインタビューについては、
https://dargol.blog3.fc2.com/blog-entry-4340.html
こちらの文字起こしを参照されたし。
親と子の関係についてはねー私も家庭が崩壊しているし未だに仕事もしないで自立してないで福祉に寄生しているクズの精神障碍者パニック障害人格障害なので、「子どもに自立してほしい」っていう富野監督のお言葉は耳が痛いんですが。つらい。
働いて自立して家を出ようとしたら母親が精神を病んで自殺したので私はさらに病んだ。本当は僕が先に自殺したかったし生まれるべきではなかったのかもしれない。
でも、富野アニメを見ると何か血沸き肉躍る喜びがあるので生きてしまっている…。
就職したくないけど、Gレコのグッズに課金するために仕事に就きたいですね!
でも、就職する前に、放送前にダイターン3エルガイムとベルばらとウテナを見終わりたいです…。こんなペースで長文ブログを描いていたら間に合わないぞ!オレ!
思いが溢れるんですよ!富野には!

アニメスタイル005 (メディアパルムック)

アニメスタイル005 (メディアパルムック)

荒木哲郎監督はギャラクシーエンジェルのころからアニメージュアニメスタイルのインタビューで「富野監督みたいになりたくて業界に入ったんですよ!」と言っていたが、去年は富野監督に「進撃の巨人は読みたくもないし評価もしたくない」って言われた上で、
Gのレコンギスタの第10話の絵コンテ、演出担当!
そして、先行上映会で販売される特典ディスクにも荒木哲郎監督のインタビューがあるらしい!

映像には、富野総監督やキャラクターデザインを担当した吉田健一氏をはじめ、菅野祐悟氏(音楽)、荒木哲郎氏(第10話絵コンテ・演出)などのスタッフ、ベルリ・ゼナム役の石井マークアイーダ・スルガン役の嶋村侑ルイン・リー役の佐藤拓也などのキャストも登場。
『ガンダム Gのレコンギスタ』劇場限定Blu-ray『富野由悠季から君へ』発売決定 | マイナビニュース

マッドハウス出身なのに富野監督になりたがっていたという荒木監督が富野本人と仕事をするにつれてどうなっていくのか、アニメファンとしても気になる所ですがどうなんでしょうかね!進撃の巨人の劇場版もありますが。どうなんでしょうかね!
そんなわけでスタッフワークもワクワクするアニメなんです。




nuryouguda.hatenablog.com
あんまり大した事書いてないです