玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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#アイの歌声を聴かせて 感想

 泣けると評判なので、丁度アマプラの期限が切れそうだったので見た。
 アイっていう名前の登場人物はいないのか。


 というのはお約束として、人型ロボットのシオンが開発者の娘の通っている学校に秘密実験として送り込まれて、開発者の娘のサトミと、その学友と何やかんやしたりするアニメ映画。
アイの歌声を聴かせて


 まあ、簡単に言ってしまえば「課題解決型ストーリー」で人間関係はほとんど岡田磨理の「あの花」とか「心が叫びたがっているんだ」でしたね。


 人工知能を持った人型ロボットが転校生としてやってきて、奇矯な振る舞いをしたりロボバレを防ごうとしてなんやかんやドタバタするけど、サトミ的には母親が出世のために作っているロボットなのでシオンを守ろうとする。
 それと並行して、同級生のイケメンと意地悪そうなギャルの恋とか、人型ロボットと組み手をしている柔道部員の試合とかの課題を解決する。


 課題を解決する過程で、「シオンはAIだけどいい奴」という風にキャラクターと観客の好感度が上がる。


 で、学校レベルの課題が解決したら、シオンが学校で秘密の実証実験をしているということが開発会社の男社会で開発者でサトミの母の足を引っ張りたい同僚にバレて強制回収されて、会社VS学生のシオン救出作戦という課題に移行する。


 というわけで、かなりシステマチックに課題がテンポよく提示されて、それを小気味良く解決していったり、スリル・ショック・サスペンス・アクションシーンがあったりして映画としての快感は高い。なぜなら人は課題が解決されると嬉しい本能があるから。


 また、人型ロボットと人工知能と機械に宿ったかもしれない心や機械の感情は全部違うんですけど、そういうSFファン的なツッコミ所もうまく作戦に組み込んでいて、それもまた課題解決欲求にこたえている。


 そういうわけで、僕みたいな中年にとっては「テンポよく課題を解決しているね」という感想で、別に泣けたりはしなかった。


 ディズニー的な感じで急に歌ったり、他のAIがトップをねらえ!みたいに応援したりするのも、まあ、盛り上げて感動させたいんだろうなーってシステマチックな構造が見えて、「うまく構成している」とは思うけど直球で感情は揺さぶられるほどではなかった。でも、若い視聴者は学生キャラクターたちに感情移入するから、岡田磨理アニメ的な個性を持った学生たちが頑張る姿に感動するのかもね。


 で、終盤に真面目な母子家庭少女サトミと幼馴染のコンピューターオタクのトウマの問題と恋心が解決されるというか、救出されたシオンが応援するとか、シオンとサトミとトウマは昔から出会っていた運命で感動的という形になる。ウェルメイドだとは思う。


  • 大河内一楼脚本と男性社会

 それはそうと、機動戦士ガンダム 水星の魔女の売上を上げた大河内一楼さんの脚本なんですけど。
 サトミの母親がサトミと服を共有するような友達親子だったり、東京よりも微妙に田舎というか、ロボット産業企業に住民のほとんどが勤めている町が舞台だったり、まあ、トヨタなんだろうな。


 それで、サトミの母親は男社会で出世したから同僚の男たちに失敗するのを期待されていて、それを見返すためにシオンを秘密裏にサトミのクラスに転入させて、AIだとばれなかったら成功という暴挙に近い実証実験をするのだが。
 (まあ、AIということは割と早めにバレて、サトミが母親のためにシオンを守ろうというミッションが発生するのだが)


 そんで、クラス名との課題解決パートが終わってシオンの好感度が上がって、シオン救出作戦を学生たちがする。
 それはなんとかなったけど、AIロボットを秘密裏に学校に転校させたということは車内で問題になるし、同僚に告発されそうになったけど、そのロボット産業会社星間エレクトロニクスの会長の男性(堀内賢雄さんの声)の鶴の一声で「次はもっと正式な手順で堂々と実験しなさい」と言われて、サトミの母親の課題も解決されて終わる。


 サトミの父親が離婚したのか死別したのか単に別居しているだけなのかはそれほどハッキリと描写されていないのだが。


 男社会で出世したので男たちに失敗を期待されているバリキャリのシングルマザーなんだけど、結局は男社会のトップの会長に承認されることで問題が解決するっていうのが、まあ、「結局女性も権力に庇護されたいんだろうね」という感じで少し冷めてしまった。Twitterでも「安倍晋三元総理大臣さんは日本の父」っていう女性アカウントが結構いるし。(僕はそういう女は嫌いだけど)


 士郎正宗作品とかだったら、気に食わない男のいる会社を辞めて独立してAIの技術や特許を海外に売り込んで南の島でバカンスしながら優雅に研究開発ライフってなりそうだけど。
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 それくらいぶっ飛んでしまったらサトミの転校問題が出たり視聴者が共感できなくなるので、地元の企業城下町の中での小さな幸せって感じになるのかなー。って。


 それに同僚には嫌われているけど会社のトップやご老公や海原雄山には認められるって言うのは別にキャリアウーマンだけでなく男性用サクセスストーリーでも定番ですからね。


 水星の魔女も親の介護をしながら自分たちの製品を社会に認めてもらうって感じでしたし。


 というわけで、定番の課題をスムーズにこなした構成の映画だなあとは思うけど、特に僕は感動しなかったかもしれない。
 それは僕が定番の映画をたくさん見ていて飽きているからなのか、中年になって感性がマヒしているからなのか。まあ、でも定番の作品は常に作られるものだし、若い子にはその時代時代の定番を初めて見るという体験が特別なものになるということもわかるし、それでいいんじゃないですかね。


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