玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動新世紀ガンダムX38話「私はD.O.M.E…かつてニュータイプと呼ばれた者」

サブタイトル長いよ。そして、ガロードのセリフのサブタイトルは「月が見えた!」で終わりなんだよな。


ついに宇宙大戦争がはじまったよ。
宇宙戦艦のデザインがガンダムの戦艦って言うよりもSFのスペースクルーザーっぽくていいな。フリーデン2はちょっとラーカイラムっぽいけど。


最終決戦前に生きろ!と命令するジャミルはありがちなんだが、戦後がないかもしれないというくらいの戦争になるかも知れんので、生き残らないとダメだな。
戦争が終わったらどうしたいか聞かれてガロードが「いろんな所に行っていろんな物を見たい」
ガロードならそういうだろうなあ。という感じ。
それでいて、このセリフもメタガンダムっぽいんだよね。
ガロードガンダムを知らない世代の中でも理想的な子と言う感じなんだろうけど。
その子がガンダムを見るという経験を積んだ上で、いろんな物を見るのが良いよ、と監督は言ってるんだろうか?普通だが、真理だな。
アニメは面白いしガンダム最高だが、いろんな物を見た方が自分の好みがよりハッキリするしガンダムの面白さも判ると。
オープニングテーマのROmantic ModeのResolutionの歌詞がこのときのティファの心情にマッチしまくっていてグッと来る。

いつだって本当はさがしつづけていた
まっすぐに見つめること こわがっていた


あなたがいるから 歩きだせる明日へ
どんなときもおそれないで


「同じ夢がある」その輝きの中へ
少しずつ近づいてゆく二度と迷わないで


あなたに出会ってわかり始めたすべて
熱く胸が動き出した


「同じ夢がある」そのまぶしさをいつも
はなさずに抱きしめている 二度とふりむかない

放送当時は、「なんだかアニソンらしくない、ノリのいい曲だなー」としか思わない厨房だったのだが。深い歌詞だった・・・。
しかも、ティファ自身がガンダムのメタファーなのかも知れんので、ガンダムというものがどこに向かうのかということを考える歌詞にもなっていて、興味ぶかぁい!





クラウダは重装甲で強いな。
と思ったら、フロスト兄弟TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
パワーアップしてからの化け物ガンダムはマジで化け物だな。
クラウダがビームに耐えるからと言って、鋏でちょん切ったり、首を引っこ抜いてから中にビームを打ち込んだり、時間がかかりそうな殺し方を・・・。
富野コンテではないのだが、宇宙空間での全面戦争は迫力があったぞ。放送短縮最終回間近だから力が入ってるのか?
というか、フロスト兄弟が大爆発だ。大暴走だ。
兄弟はガンダム以外のオリジナルアニメの怨念であり、オリジナルをやりたい高松信司監督の分身のように思えるんだけど。
監督の本音を一番の悪役に語らせるのはガンダム的な手法でグッドだ。


サテライトキャノンを脅しに使うのはグッドだ。
っていうか、サテライトキャノンで敵をやっつけたのって案外少ないんだよな。まとめて見るまでは勇者ロボっぽい感じで撃ちまくってると思ってたんだが。「最初の」ヤマトの波動砲みたいにここぞと言う所でしか撃ってないし、敵を殺すために発砲したのって最初の一発とエスタルド空爆基地を破壊したのくらいなんじゃないかと思う。
厨房の頃はソレがじれったいような感じで派手さがなかったんだと思うんだが、今見ると撃つ事の重みを自覚している感じで、いつも派手なビームを撃ちまくりのガンダムSEEDよりよっぽど上品だと思える。
上品なロボットアニメを上品だと思ってくれる人は少ないのだが。


勝手なことばかり言うフロスト兄弟をパンチでボコボコにするガロード燃え。νガンダムサザビーをボコにしたのもいいが、このボコボコもなかなか燃える。


ピンチにやってくるランスローカッコいい!


リーンの翼とそっくりな曲があるなあ。同じ人だけど。樋口康雄氏。


MWGビットモビルスーツはなんかキングゲイナーに似てるなあ。顔が。


そして、ドームに到達したティファの願いにより真実を知らしめるためにフリーデン一行、新地球連邦とコロニーのトップがドームに招かれる。フロスト兄弟も連れてこられそうだったのだが、分からず屋は招待役のビットモビルスーツを破壊してしまう。
こいつらは・・・。そんなに戦争をしたいのかよ!


そして、ドームの中で対面するそれぞれのトップ。うわ!超展開!
と、思ったがガンダムでもデギンとレビルが会見したりZガンダムでもグワダンや劇場で会見してたな。じゃあ、ガンダムらしい展開と言えば、そうなのか。しかし、神々しい。


イデオロギーを振りかざして醜く口論をはじめるザイデル総統とブラッドマン卿。この人たちの言い分もメタ・ガンダム的にアニメ会社とスポンサーの争いだと思って聞くと面白い。ドラマ的にももちろん整合性があって違う国のイデオロギーとかトップの利権のぶつかり合いという感じで面白い。
ここら辺も機動戦士ガンダムSEEDと比べちゃうなあ。SEEDのイデオロギーは在りそうなふりをしてペラッペラで意味不明だったからなあ。そういうほうが売れるんのね。
あと、ガンダムニュータイプ論に見ても面白い。
というか、ファーストガンダム世代の高松監督はこういう議論を若い頃にたくさんしてたんだろうなあ。というか、あの頃の若者は皆してたのだろう。未来の洞察力を期待されたと舞い上がりながら。


そんで、ニュータイプ(ガンダム)で儲けたい地球連邦(スポンサー)とニュータイプの栄光を手にしたいコロニー(サンライズ)に向かって
「黙れ!」
と一喝するジャミルカッコよすぎる。
かつてのライバル・ランスローとはじめて対面したときに、握手を交わすところもカッコよかった。ガロードとティファを守るために共闘する所もめちゃカッコよかった。
アムロとシャアにはどこか壁があって最後まで分かり合えなかったのだが、このXの二人はよっぽど素直だな。いい大人だ。いい30歳だ。
アムロとシャアよりもニュータイプの理想を考えているんじゃないかと思うのだが。
これは、トミノが大乗的な思考が在ってZ〜逆シャアを「地球人類はどのようにニュータイプになるのか、なれないものをどうするか」というテーゼで作ったのに対して、高松監督のXは小乗的な「ニュータイプを知った僕たち、ニュータイプになりたい僕たちはどうしたら良いか」という思考で作った風な対比がある。
「NTは神でもない、まして利用されるべき存在でもない。」というジャミル
「私たちはどこで道を誤ったのか」というランスロー。
ニュータイプを編み出した本人である富野由悠季にはできない、ニュータイプ現象に巻き込まれた側としての思考が興味深い。


と、言う訳でGXはVガンダムの続きで見ているが、むしろZガンダムとも対になってるよなあと思う。
ただ、戦後の書き方と言う観点で言えば、ZよりもXの方が戦後らしいな。
人間の半分が死んだ後でも人間は増えすぎたとか地球を汚すとか言いつづけて人減らしをしたがるジャミトフとかシャアはちょっと違うんじゃないかと思う。
ジオンに対する意趣返しからティターンズスペースノイドを弾圧したり、難民がキレて全人類を難民にしてしまおうという思想は面白いんだが。
一年戦争の「戦場は荒野」でのクレーターだらけの地上でガンダムとザクと言う巨人が黙示録的な戦闘を繰り広げた後の世界と言うにはZ以降のガンダムはどこか清潔すぎるんだな。
だから、Xは一年戦争ガンダムを受けて、と言う事で作られたんだろうなあ。
(とかいって、第7次宇宙戦争なわけだが・・・。テレビシリーズ7作目)





ガンダムX面白すぎる。ビデオを1話しか見なかった福田己津央はダメだな。ターンエーが一番好きというのは偉いが。
http://www.2log.net/home/char/archives/blog122.html
ガンダムXも正当なガンダムだ。俺が言うんだから、オレの中では間違いない。
つーか、福田はガキ臭いな。発言を見ると。ガキにはXは難しいよな。ボクもガンダムをたくさん見て、ガンダムエースも全部読んで、氷川竜介燃えになって初めてガンダムXの面白さがわかるようになったし。
福田はガンダム力が足りないって自分で認めてるしな。まあ、その程度で仕方ないな。
んで、ガキが作ったガンダムSEEDがジャリボーイどもに大ヒットして、子供の時にあの戦争を体験して大人になった高松監督が次の世代のために作ったガンダムXは駄作というレッテルを貼られてしまうんだから商売は難しいな。

 15年前、僕達はその戦争を体験した。ニュータイプという存在に触れた。そして大人になった今、僕達はもう一度それを見つめ直そう。次の世代へ、次の時代を託すためにも。
(最後の次回予告)

僕たちって、明らかにファースト世代・・・。
なのだが、放送当時、ファースト世代の人は20代半ば〜40手前だったと思うのだが、よっぽどガンダムが好きな人以外はスルーしてたんだろうな。めぐり合わせがつくづく悪かった。エヴァとか。テレビ朝日のアニメ削減経営転換とか。
まあ、ガンダムに付いて考えるガンダムと言うのは一般に対する受けが悪いし、はっきり言えば視聴者の快楽原則を刺激しにくいんだよなあ。

 参考:1990年以降のガンダムシリーズの平均視聴率 
  Ⅴガンダム (1993)  3.9%
  Gガンダム (1994)  4.0%
  ガンダムW (1995)  4.3%
  ガンダムX (1996)  2.7%
  ∀ガンダム (1999)  2.8% 
http://animeanime.jp/review/archives/2004/10/seed_destiny.html

ただ、ボクのように自覚的にガンダムにのめりこんだ人間にはすごくクルし、面白い。
今の僕なら、予告でナレーターが語る「僕たち」の気持ちが少しは想像できる。「だから、僕は・・・」も読んだし。
もう一度、ガンダムを見つめなおそう。次の世代へ、次の時代を託すためにも。
高松監督、すげえ。確信犯的にガンダムを潰したな。トミノがやろうとしてできなかった事を・・・。
それでも、ガンダムを再生させた富野のターンエーは凄いけどな!


さて、次回衝撃の最終回。
同時期のトミノによるニュータイプ否定萬画クロスボーン・ガンダムと、どちらが衝撃が大きいか!
などと楽しんで見られている自分が辛いなあ。リアルタイムでクロスボーンを見て、ガンダムXもちゃんと見ていたかった。全てのガンダムを見ていたかった。
やはり、ガンダムはリアルタイムが一番。
なのだが、∀ガンダムもいまいち富野信者になる前の放送だったしなあ・・・。
ガンダムSEEDもアレだし。
SEEDは世界観は優れているし、コロニーのデザインもう中世期よりもグッドなので、スターゲイザーに期待するか。
あと、機動戦士ガンダムユニコーンもまだ読んでないのだが。
面白いと良いなあ。
ガンダムエースに載ってた福井晴敏の新ガンダム宣言を読むと、高松信司監督がガンダムXでやった、自分にとってのガンダムの総括を福井が改めてやりたがっているように見える。
そこで、同じ事を何度もするなよ、と否定すると面白がれないし、高松信司福井晴敏富野由悠季は違う人間なので、作品も違うだろう。じゃあ、どうなるかな?と楽しみにしましょうか。

間違ってもいい。もう一度「可能性」を追求してみようではないか。ノスタルジーに浸ることなく、あの「可能性」の行き着く先を直視してみようではないか。
続編がすでに語っている?そうかもしれない。しかしそれらは、当時若者であった我々に幻想との決別を促すものだった。我々の答えはまだ出ていない。あのラストメッセージに託された「期待」は保留されたままだ。

うーん。僕的には期待というのは、「教えてください、富野です」に出てくる人のように地道にがんばる事かなあと思うんだけど。
まあ、ニートなんだけど。
福井はどうなるのかなあ。ガンダムXもクロスボーンもターンエーガンダムも幻想との決別だと思ってるのかなあ。

「我々には勝算がある。最強のスタッフが集まってくれたからだ。 今後、追々明かされるその陣容を知れば、勝算といった我々の言葉の意味を理解してもらえるだろう」

やっぱり、安彦良和カトキハジメというスタッフでファンの心をつかんで、Xのようにスルーされる事は何とか避けようという意気込みは感じられる。がんばれー。

本作はガンダム市場と言う限定された枠を飛び越え、社会に対し、未来に対し、ガンダム世代の「可能性」を伝える声となる。

はてさて、機動戦士ガンダムUCガンダム愛好家になった僕にとって、リアルタイムにどのように受け止められるのだろうか?
そんで、やっぱりムーンクライシスのミネバ様は黒歴史なんだろうなあ。
まあ、新訳Zでパラレル展開も全肯定されたしなあ。