玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ブレンパワード第7話「拒否反応」

脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:斧谷稔 演出:原田奈奈 作画監督:瀬尾康博

トミノがんばるなあ。


よくわからないタイトルである。
何が、何を拒否しているのか。
エッガの末路はグランチャーがエッガの激しいオーガニック・エナジィを取り込もうとしすぎて融合しそうになったのだから、拒否反応の逆だよね。
おそらく、双子のブレンチャイルドがグランチャーが嫌いだということなのだろう。それを一瞬ヒギンズが「自分が嫌われた?」と勘違いするという描写があるのはすばらしく性格が正確。
ここら辺で新しいロボットが出てくるというのは、新世紀エヴァンゲリオンでアスカが登場したようなてこ入れかもしれないが、ガンキャノンが出てきたのも8話からだ。


双子のブレンがかわいすぎてたまらない。いくじなしのナンガブレンも。
それで、小説を読むとアンチボディと人の関係は馬と騎手に似ていると書いてあった。僕はむしろ、象と象使いに似ていると思った。この間、NHKの動物番組を見ていると、「象は人に力を貸す、その代わり人は象の一生を守る」とあった。
ブレンパワードはかわいいな。
ブレンチャイルドが全然違うのはあれですか?てこ入れだから?
未だにラッセブレンとユウブレンの違いがわからない。オレンジのラインが入っているほうがユウブレンのようだが。
それくらい今までのブレンは同じ体格だったのに。ブレンチャイルドは違う。
ブレンパワードよりも小柄らしいのだが、鋭角化しているしパーツもでかいので強そうだ。
性能はあんまり変わらないようだが。
それにしても似てない双子だ。
リバイバルの時のカナンとヒギンズに影響されたのだろうか?
ヒメ・ブレンが生まれてからの1年間に何か環境変化があったのだろうか?


いのまたむつみの超美人絵のカナンがブレンのコックピットでブレンの内臓をなでさすってあげながら操縦するのはすばらしくエロチックで気持ちよかった。
ブレンパワードの作画は、紙芝居で低調だという評価がよく固まっている印象がある。重田敦司さんも「スケジュールの都合で1カットにつき原画1枚に修正」とホームページで書いてらしたのだが・・・。
ブレンパワードは確かに、神作画が売りのアニメではないようだ。しかし、印象に突き刺さる絵が、魂のこもった絵はすごい!
それを見るのは幸せになる。
だから、客観的に見終わってから考えるとぜんぜん動いてないんだが、見ているときは大迫力の超美麗だと思うというのは僕が好きだから?トミノのコンテのリズムに踊らされている?トミノの踊りはイエスだね!


で、それが端的に現れるのが、今回ラストの伊佐未勇がジョナサンに「ジョナサン・グレーン!姉さんと親父とお袋に伝えるんだ!オルファンに従う事は絶対に正義じゃない!オルファンで人類を抹殺する事も、地球を死の星にする事も、絶対にさせない!」とかっこよすぎる叫びをたたきつけるところで、勇の顔が2枚の原画で交互に振動というか、あからさまに顔が変わりすぎるカット。
グレンラガン作画崩壊事件などは目じゃない。はっきり言って変である。ちょっとアニメに詳しいおたくならブレンは糞作画だと一刀両断のレビューを描くだろうし、アニメに詳しくない人が見ても変だよな。
でも、僕はトミノ大好きマンなので、「うおお!勇の叫びは大迫力だな!」とわざわざ感動する。


で、今日は基本的に同じ場所で1つの戦闘をこなすだけの話なのだが、その分描写が濃くてブレンやオルファンやグランチャーの設定が描かれていましたね。


「ジョナサン・グレーン!姉さんと親父とお袋に伝えるんだ!オルファンに従う事は絶対に正義じゃない!オルファンで人類を抹殺する事も、地球を死の星にする事も、絶対にさせない!」
とか。
はたして、本当にオルファンが浮上するとサードインパクトが起こるのか?みんな憶測を信じてるけど。
それにしても、この勇は主人公らしくて素敵過ぎる。勇は生まれた命を大事にする子だからかっこいいな。

カナン(回想) 「オルファンという存在が分かってくればグランチャーはオルファンの子供で、あたしたち人間はその二つを繋ぐ神経細胞・・・」
勇(回想) 「オルファンは地球上の生物のエネルギーを全て吸収するものなんだろう!?」
カナン(回想) 「それでいいじゃない?地球を食い尽くした人類のエナジーを全て取り込むのがオルファン。そして、新しい星を目指してオルファンは銀河旅行をする・・・」
勇(回想) 「良いのかよ?それで!」

ここら辺は、Vガンダムニュータイプが進化したサイキッカーたちがエンジェル・ハイロゥやダンディ・ライオンで外宇宙にエクソダスしたことに対する自己否定になっていて衝撃的だ。
どこまでも進歩して移動することが正しいのか?ここで生まれた意味があるんじゃないのか?と、ニュータイプという概念を生み出した御大自身がうつ病を越えて自分を見つめなおしている感じですごい。信者としては興奮する。
人類が失敗したからつぶして、また新しく作って、それでまたつぶして、それを繰り返す神が正しいのか?
というのはイデオンに対する自己否定なのかも知れん。イデオンはまだ見てないけど。
逆襲のギガンティスは読んだ。長谷川裕一先生もトミノに影響を与えた一人なのかもしれない。



んで、と、同時に、それまではすかしていた敵の中ボスライバル的な存在だったジョナサンが完膚なきまでに叩きのめされた場面でもあるわけで、それが9話の暴走につながるんだろうな。
ライバルは主人公の素晴らしさ強さを褒めるために主人公にボコられないといけないらしいのだが、ここでボコられても退場できなかったジョナサンはどうなるのか?
ジェリドのようなどうでもいいキャラになるのか?


ほかの描写を見ると、コモドとナンガにフラグが立った。脇役なのに丁寧に人間関係を構築して言っているのが好ましい。他にも、カナンがノヴィス・ノアに居場所を見つけたりとか。ジョナサンも勇もだが。
エヴァンゲリオンに対する回答として、ブレンパワードが作られたというのだが、トミノはやはり、こういうところでもうまい。エヴァもトラウマ物語で、ダメ人間の僕は割と共感できた中学生だったんですけど、今になって思うとエヴァンゲリオンのトラウマ描写は各個のキャラクターのトラウマでしかなくて、それが物語の中で交わることがなかったように思う。だから、物語というよりはカルテの陳列なんだよな、トミノの言うように。エヴァのストーリーも設定(聖書は死海文書とか特撮パロとか)に沿って流れていったら人類が滅びたという感じ。こういう人はこうなるしかないよな、みたいな感じで。
その反面、ブレンはトラウマ持ち同士がケミストリーを起こしまくるのでカタルシスがある気がする。


そうそう、プレートからブレンバーやソードエクステンションをリバイバルさせるという描写があったので、ブレンバーはブレンパワードとセットになっているのかと思ったのだが、輸送機のウェッジがラストでたくさんのブレンバーを運んでいたので、ブレンバーはプレートから複数取り出せるようだ。
ユウ・ブレンがケイディ・グランチャーを屠った時に使ったソード・エクステンションはその時に喪失されたようだったのだが、その次の回からブレンバーを使ってたのが気になっていた。
その疑問がちゃんと答えられているのは丁寧で嬉しい。
そういえば、ノヴィス・ノアでブレンパワードはリバイバルしていない色のオーガニックプレートの上で待機しているのは、プレートからブレンバーを取り出したりできるからだろうか?それともプレートの上だと回復しやすいとか?
プレートもブレンと同じくらい不思議だなあ。

つか、ブレンパワードは面白いなあ。全台詞集をhttp://damegano.web.infoseek.co.jp/brain07.html読んでいると、いろいろとシーンのつながりや台詞のつながりが論理的な文章としてはつながっていないとわかるのだが、見てるときはわからないなりに興奮して面白いのでよい。
んで、見終わった後にあれはどうなんだと考えると5年も10年でも底知れない意味が感じられる予感がする。