玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

当サイトはGoogleアドセンス、グーグルアナリティクス、Amazonアソシエイトを利用しています

伝説巨神イデオン24 潜入ゲリラを叩け

脚本 古賀あらた 絵コンテ 斧谷稔 演出 三浦将則 作画監督 坂本三郎
あらすじ
http://www.sepia.dti.ne.jp/stillness/ideon/story/television24.html
今回は、ゲリラ戦法だったからか?
人間ドラマが面白かったです。
まず、ギジェ・ザラル。
私設武装組織に入隊したギジェは、以前の貴族出身のエリート軍人の時とは違って、声の出し方にドスが効いているというか低くなっている。戦闘的に成ったようだ。服装も正規軍の白から、ミリタリー的なカーキ色の戦闘服になった。顔が分かりにくいヘルメットになったが。
ギジェがイデオンを乗っ取ろうと発案したのはナイスなのだが、上司のダミドに援軍を要請すると「メカに頼ろうとするのは現代人の悪い癖だ!」と怒られた。
未来の宇宙人の話なのに、「現代人の悪い癖」とか言ってるのを聞くと、逆に人間の普遍的な感じで面白い。
「世も末」って千年前から言ってますからね。


ギジェに乗っ取られたイデオンが、ギジェのなれない操作で、ボケーっと突っ立ったまま、背後のソロシップに背中からミサイルを打ち出すのは不気味で怖かった。
イデオンの奪還劇はワクワク。
しかし、うつ伏せになっていて動けないAメカがいつのまにか仰向けになってドッキングをしたのは、イデの不条理だなあ。



で、今回一番最高に感動したのは、やっぱり行きずりの恋のキッチ・キッチンとコスモの会話。
冒頭、キッチンが父親が勤めていた秘密補給基地の場所をソロシップに教え、そこへ向うソロシップの吹きさらしの甲板での二人だけの会話シーン。
「俺だって好きで戦っているんじゃない」「とにかく、一刻も早くあなたたちに出て行って欲しいんだから」
とか言って。
コスモが「しかし、君のお父さんが補給関係の軍人でなかったら」
「死んだ人の事は言わないで!
だから!・・・あなたたちに出て行って欲しいのよ」と、キッチン。
ここで、キッチンがコスモの言葉を遮りながら、キッチンの顔のアップにカットが変わるときのタイミングが絶妙すぎる!とてもハッとします。
それでいて、シーン全体の印象は静かだから、余計印象に残る。
絵コンテ 斧谷稔だなあ。映画だね。
このテンポが大好き。
セリフの字面だけではない感情が描かれてて、キッチンとの距離感が縮まらないもどかしいラブシーンとして、なかなかゾクゾクします。


軍人が「敵からみなの命を守る」という目的を忘れて、普段の管理業務を優先する官僚に成り下がって、異星人の侵略という事件に対しても日常業務の感覚で「ソロシップには武器弾薬を補給してはいけない」「この星は我々が防衛する」という、防衛計画で想定された作戦内の作戦しか起こらないと考えている思考硬直ぶりが素晴らしい。
イデとバッフクランの事を分かりやすい報告書にまとめて、落ち着いて合議をしようとしないソロシップ側にも問題はあるのだが。余裕がなさ過ぎる。
みんな、自分や自分の所属するクランの維持だけで必死。
こういう風に、異星人だけで無く、地球人同士でも、分かり合えないというのを本当に、丁寧にしつこく描いている。
だが、その中で植民星の基地のパーキンスン司令にキッチンが「キャナルは全滅しているんです。今はイデオンとソロシップに協力すべきです。」
「軍人も民間人も同じように殺されました!自分を守るのに、区別はいらないでしょう!」
と、ド正論をピシャリと言うのは爽快だし、また、立場に囚われずにニュートラルに物事を見ることができれば人は分かり合えるのではないか、というニュータイプ的な若者に対する希望も感じさせるのだが・・・。
キッチンは負けを認めずに硬直しているキャナルの軍隊よりも、孤立無援で戦いつづけているソロシップの人々のほうに惹かれはじめている。



次回、窮鼠猫を噛むか?