『劇場版 進撃の巨人 後編~自由の翼~』を見た。マッドマックス 怒りのデスロードや攻殻機動隊など多くの映画があるが、荒木哲郎監督は富野監督のことが好きな仲間だしGのレコンギスタの10話が素晴らしかったので、見た。
冒頭では前編のダイジェストもすごく自然な感じで挿入されていたので全編を見てなくても問題ない。むしろ前編のクライマックスシーンは後編の冒頭でも繰り返されてた…。
- 迫力がすごい
劇場の大スクリーンで見るのがすごく良かった。巨人の巨大感を感じたかったので、前の方で見上げるように見た。すごい迫力だった。
テレビ版の再編集だから絵がへぼいということは全然なくてむしろ威圧された。
というか、テレビ版のころから劇場に耐えるくらいの高クオリティーの作画だったってことか?
マジで巨人が目の前に存在するようなド迫力が感じられた。
立体起動装置で飛翔するキャラクターに寄り添うようなカメラワークも爽快だった。
しかし、やはり映像よりも音響効果が凄かった。映画館の立体音響装置で巨人の足音や破壊音が腹の底を揺さぶってきてめっちゃすごかった。この体験のために映画館に行っても良いくらい。実際ユニバーサルスタジオジャパンでも進撃の巨人theRealをやってるし、そういうアミューズメント感覚でも全然楽しめる。
巨人と巨人が格闘技戦をするのが後編の見どころだが、互いの肉を斬り合い骨を砕き合う巨人と人類の暴力に伴う破壊音がものすごかった。エレン巨人は殴るたびに自分の手首がぶっ飛ぶ勢いで殴るのだが、その音がすごい。
そして、巨人以上にリヴァイがエレンに暴行する時の音が凄かった。やべえ・・・やべえよ・・・。
以下ネタバレ
劇場版「進撃の巨人」後編?自由の翼?エンディングテーマ the DOGS produced by 澤野弘之
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また、アクションシーンの動の迫力もさることながら、マッドハウスのカイジを参考にした感じの作画で顔に縦線が入って目をぎらぎらさせるキャラの特徴的な目力のシーンの迫力もすごかった。ぶっちゃけ、巨人よりもエレンを睨み付けるミカサの方が怖かったし。牢獄や裁判の時のエレンの顔もすごかったし、雌型の巨人を見下ろしたり死んだ部下を見るリヴァイの顔もものすごかった。
- 編集がすごい
テレビの再編集版なんだが、再編集ということがほとんど意識できないくらい映画になっていたのがすごい!一応前期は全部見たのだが。
映画後編だとリヴァイ班のエレンとの出会いと別れが一気に描かれるので、その過程がすごくまとまっていて良かった。もう、ペトラが出た時点で泣けた。
また、前編ではほぼ訓練兵団時代のシーンはカットされていたのだが、冒頭の夢のシーンでアニの訓練兵団時代を思い出すエレンのカットが挿入されていることで、全体としてアニとの闘いというテーマがストーリーの骨になっていて、漫然とした印象が無かった。
アニとの幾たびもの闘いのエスカレーションがサスペンスドラマとアクションを交えて描かれる。それと並行してリヴァイ班と仲間になっていくエレンの人間ドラマが起承転結で裁判、調査兵団出発、女型の巨人との遭遇、巨大樹の森での激闘、帰還、護送と対決という作戦に順じて描かれていてすごく分かりやすかった。エレン以外の仲間たちも調査兵団に入団する過程がきちんと描かれていてドラマに厚い人情味があった。
分かりやすいけどツギハギ感は薄く、ちゃんと映画としてまとまっていた。カットされたシーンもあるけど、全体としてテンポのメリハリが効いていた。
矢継ぎ早に繰り出される戦闘シーンや大胆にカットされたシチュエーションもあるが、心情を深めるところではじっくりと時間をかけて表情を見せていく演出もあって映画らしさが出ていた。
荒木哲郎監督は富野監督に憧れていたということで、この進撃の巨人劇場版はある意味劇場版機動戦士ガンダムを真似たようなところがあるのかもしれない。
しかし、僕は富野信者でありながら富野監督の映画と進撃の巨人を比べて考察しようと思って見たにもかかわらず、あんまりそういうことが思い浮かばないほど素直に楽しめてしまった。面白かったです。テレビ版を見てて原作もだいたい前半は読んでたんですが。映画は映画で迫力とスピード感があってすごい。
しかも、前編で割と普通に活躍していたマルコが後編の序盤であっさり死んでいたのが、すごいイデオン発動篇のギジェの扱いみたいだった。誰もが劇的に死ねるわけではないって言うジャンの言葉が…。
マルコの死に方をすごくアッサリにしておくのに、終盤でアルミンが「あれはマルコの立体機動装置だ!」って言うことで逆にマルコの死に重みを与える演出がすさまじかった。
実験用巨人の殺害の捜査はアニメ版でもそれなりに時間を使ってやっていたが、映画ではほとんど一瞬だった。そんな風にめっちゃカットしているが、ラストのアルミンとアニの対話でカットした分の重みを一気に叩きつけて心情を盛り上げた上で最終ガチンコバトルに突入して、映画を鑑賞したという満足感が得られた。心情を伴った上でのアクションが良い。その心情描写はダラダラと説明セリフを入れたり、新規作画を強調するのではなく、あくまでテレビ版を編集するという基本スタンスで切り捨てたシーンも多い分、ものすごいスピード感があって一本の映画にまとまっていた。
進撃の巨人劇場版は富野由悠季監督に原作が批判されたり、荒木哲郎監督が富野由悠季監督の元でガンダム Gのレコンギスタの1スタッフとして修業しなおした上での作品なので、富野ファンとしても興味深い。
しかし、それ以上に一本のアクションあり涙あり笑いありのスペクタクル映画としてきちんと作られていたと思う。
そんな風に一本の映画になっているんだが、エンドロールでガンダムXみたいに次回予告をやってて、来年のアニメ2期の革新的なネタバレをやってて驚いた。これは来年も楽しみですね!