玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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#Gレコ 第1話と最終回の戦闘の共通点

nuryouguda.hatenablog.com


 このトリーティの戦闘の記事を書いて気づいたんですが。デレンセン門下のベルリとマスクの最終決戦も、同門のトリーティの第1話の戦闘と同じ段取りだと気づきました。
 結論から言うと、相手の索敵範囲外からの急接近、牽制射撃、シールド対策、ライフル対策、格闘、部位破壊、必殺技という流れが共通しているね、っていうことです。
 以上。


 詳細は以下
 第1話のトリーティVS G-セルフ、ベルリVS G-セルフと、ラストバトルのG-セルフVSカバカーリーを見ていきます。



  • 急接近

・トリーティ






・ベルリ



 トリーティが作ってくれたスキで、下から、後ろから、相手の注意の外から急接近、という基本戦術が共通している。


・マスク
 マズラスターに対するトラクタービームをカバカーリーが穴の底から見て・・・。





 激昂しているように見えるが、G-セルフの視界の外の穴から急接近というルールは第1話のレクテンと共通している。
 また、TV版BDのオーディオ・コメンタリーで吉田健一さんが「ここで上手下手が逆転している」と指摘してらしたが、カバカーリーの方が上手になって主体的、強力に見えるのと同時に、別の意味もある。穴から見えたG-セルフに対してカバカーリーは正面から上昇しているのだが、上手下手を入れ替えることで「G-セルフの後ろからカバカーリーが出た」という錯覚効果を狙っているのだと思う。不意打ちを強調している。

  • 牽制射撃

・トリーティ


 小型溶接機が射撃武器として有効打にならなくても、牽制に使って距離を詰める。


・ベルリ



 大型溶接機自体を加速させて近距離で射撃させて、その間に本体も距離を詰める。


・マスク

 G-セルフは対して回避運動してないので狙いは外れているのだが、カバカーリーはビームとグレネードの弾速の違う弾を同じビームショットガンから発射している。寄生獣の後藤と戦う自衛隊隊長かよ。ベルリだから避けられたのか、あくまで牽制なので狙いは雑だったのか?
 ベルリも反射的にビームライフルを撃つけど、外す。


  • シールド対策

 トリーティ




 角材の連打とケリを高速コンボで決めるトリーティは初陣としては上手い格闘戦だが、G-セルフのシールドにほぼ受け切られる。
 そして打撃の反動で間合いが開いたところを射撃されて負け。


(宇宙でレクテンの脚部が損傷した程度では本質的なダメージにはならないはずだが、ベルリやデレンセンとルインに譲った感じで、トリーティはベルリのために角材を投げた後、登場しない)


・ベルリ

 質量の多いビッグアームとパワーウェルドで殴りつけて、シールドをベコベコにする。再度接近した後、ビッグアームで挟んでシールドを半壊させる。


・マスク

 ベルリのG-セルフの「伸びるビームサーベル」に何度も煮え湯を飲まされたマスクだが。意趣返しのように「伸びるビーム・セイバー」というサーベルよりも高出力で射程の長い剣で横薙ぎにして、無敵のコピペシールドを面ではなく端から叩いて吹き飛ばす。パワー!


 が、ベルリの方も反撃を開始して、牽制にトラックフィンを使う。



 僕はカバカーリーがヨーヨーを使うとバッテリーが減ってるベルリが詰むから背中のヨーヨーコンテナを破壊する、だと思っていたけど、違うらしい。富野由悠季の世界展での絵コンテによると背中はメインエンジンで、トラックフィンはフォトンエネルギーに反応して曲がってエンジンを破壊した、とのこと。カバカーリービームライフルの連射の中でトラックフィンを当てられるベルリの力量・・・。
 でも、エンジンが破壊されても、カバカーリーG-セルフと同様に全身にフォトンバッテリーを散りばめているので、動ける。


・ベルリ

 一度目の接近でライフルを向けられたら、ワイヤーの網を盾にして防御しつつ目くらまし。

 で、ケーブルを利用して上の位置を取って、再度接近。


 シールドを破壊しつつ、溶接機でビームライフル銃口を融解させて無力化。


・マスク

 むちゃくちゃかっこいいガチンコだが。

 頭突きでビビらせたところを、左手で強引に直接、ビームライフルを払って奪う。カバカーリー強い!(G-セルフはバッテリーが減ってたんだろうなあ)


  • 格闘

・ベルリ

 アイーダさんの渾身の「世界は四角くないんだからキック」を、レクテンを急速バックさせることで威力を減らす(絵コンテ指定、アニメではバーニアの描写は目立たず)というベルリの天才的格闘センスの速さ。


 ベルリが高速入力で左のビッグアームをパージ。(ビッグアームの基部はカットによって腰に固定されていたり、手に持っていたりする)
 んで、フリーになった左手で、G-セルフの角をつかむ。角があったらつかむよね、っていう。


・マスク
 ビームライフル対策と前後するが、G-セルフのリングがあったらライフルを突っ込むよねっていう。


  • 部位破壊

・ベルリ


 そして溶接機を装甲が弱めの顔面センサーに突きつけるベルリ。でも1話のベルリは優しいからか、脅しだけで本当にG-セルフの顔は焼かない。(劇場版では女性の声だったから撃ちにくくなった、みたいなニュアンスが追加)


 G-セルフも抵抗するが不調。


・マスク

 ライフルごと突っ込んだ右腕でG-セルフのパーフェクトパックのリングだけでなく、要の右の翼ももぎ取る。G-セルフは飛行能力を喪失する。
 勝利を確信するマスク。

・ベルリ

 で、G-セルフをレクテンが角を掴んでホールドしていたが、クラウンのMMFの場にまで戻るときの加速の影響か、G-セルフがケリを入れてホールドを解除。(このG-セルフのキックの格闘の段取りが遅れて出撃したデレンセンのレクテンのモニターに映っている光景、ということでサラッと流すのがニクイ)


 で、ちょいベルリの溶接機と撃ち合いになるけど、アイーダさんはビームサーベルを持ち出す。

 デレンセンとルインもベルリと一緒に驚くので、ビームサーベルはなんかすごいらしい。溶接機の延長のライフルより。


 しかし、ベルリは果敢に惑いながらも、「スコード!」と叫びながら溶接機を加速させて撃ちに行く、が切り払い。ビームサーベルはすごい!

 それでも諦めないベルリはレクテンの最後に残った拳でパンチさせるのだが。G-セルフは謎の不調(レイハントンコード)でビームサーベルが消灯して、動きが止まって、デレンセンとルインに拿捕される。

 G-セルフがデレンセンとルインのレクテンのアームに掴まれて止まったせいで、ベルリのレクテンのパンチは、絵コンテによると「あれー?」という感じで外れて流れる。戦闘終了。
 


・マスク

 滝を落下しながら、カバカーリーがパーフェクトバックパックを破壊して、一旦ホールドが解ける。が、その時、ベルリはやられながらもビームサーベルを抜く予備動作をしている。ホールド解除からG-セルフビームサーベル発動になるのが第1話と共通している試合運び。(第1話より高速になっているが)
 カバカーリーとのラストバトルはベルリとマスクという、デレンセン門下の飛び級生と主席の同門対決。ほぼ同じ速度で高速入力しあって技をぶつけあのがすごくいい。


銃口!」と、大振りしたビームショットガンをカバカーリーG-セルフに向けなおそうとしたらG-セルフは左手で銃を押しのける。

※追記
 ベルリがG-セルフの角やカバカーリーのビームショットガンを、ルインが1話のG-セルフの脚やパーフェクトバックパックのリングをホールドしたがるのは、ベルリの初登場シーンで、ベルリがデレンセンの鞭を避けて腕をホールドしたのと通じるという指摘を受けた。
 キャピタル拳法はケーブルを傷つけないように相手を無力化するために、急速接近からのホールドが基本動作のようだ。



 G-セルフの左手が銃を押しのけた時に、すでにカバカーリーは蹴りの予備動作をしている。が、G-セルフの方もサーベルを右手で肩から抜き終わっている。両者が同時にそれぞれのマシーンの攻撃動作を入力して高速操作しているのが、「手加減なし」というガチ感覚でとてもかっこいい。



 2回ケリを入れて、G-セルフの左脚のフォトンバッテリーを爆発させる。
 が、ベルリはビームショットガンを左手でホールドした不安定な体勢なのに、右手で斬り上げてカバカーリーの左腕の脇を切断し、間髪入れずカバカーリーの右肩から斬り下ろして両腕を奪う。

 アイーダさんはベルリのレクテンに接近された時にサーベルを使えずビームライフルの銃把で雑に殴る感じだったが、ベルリは超至近距離でサーベルを抜いて二連撃で正確に一瞬で両腕を切り落とす。ベルリは敵を殺さないように腕とかを狙う戦いをしてきたが、それがラストバトルで「敵を至近距離で爆発させないで関節を正確に素早く切断する」ための練習になってたという。
 単にベルリが人殺しが嫌だからーっていうだけでなく、そういう部位破壊を狙っていた戦い方の経験値が、手加減なしのラストバトルでの必殺の二連撃を成功させる要因になってたかもーっていうのがバトル物としてとてもいい。説明はないけど。
 あと、振りかぶるのに少し時間がかかる長くて重いビームショットガンより、一瞬で切断するビームサーベルのほうがちょっぴり速いっていう、格ゲーの技発動硬直時間の競い合いみたいなところもある…。(ルインがゼロ距離でビームショットガンではなくビームセイバーを使っていたらまた違っていたかもしれないけど、右手のショットガンをホールドされていたので左手のセイバーが使いにくかったのか?ホールドされた上半身ではなく、下半身でバッテリーを潰すキックを優先したので。一瞬の判断のぶつけ合いだな)


 やっぱり富野アニメは基本的に剣豪っぽさがある。


 ここまでだけだと必殺のビームサーベルを使いこなしたベルリがカバカーリーに勝つという感じだが。


 マスク執念のビームショットガンで、コックピットは撃ちぬけなかったがG-セルフの残りの右足のバッテリーも爆破して歩行能力も奪い、G-セルフを行動不能にする。
 ビームサーベルは必殺技だが、ビームショットガンも必殺!
 あと、ベルリは第16話「ベルリの戦争」でガヴァンのザックス兵団の電撃ネットに絡め取られた時に、「ネットにビームライフルを固定してフルオートで撃ちまくって牽制しつつ、腕をフリーにしてサーベルを抜いてネットを破る」というエグい技を使っていたのだが。マスクもその時のベルリと同じかそれ以上に「持ってないライフルのフルオート射撃」の技が使えるってことなんだなー。まあ、MSサイズのライフルってぶっちゃけ戦車くらいでかいので、AIコンピューターやフォトン・アイセンサーもついてるだろうし、持ってなくても自動ロックオンからのフルオート射撃はできるか。アムロ・レイ逆襲のシャアで置きバズーカしてたからな。アムロはワイヤーで制御してたけど、Gレコは繋がってなくても撃てるので未来っぽさがある。
 



 両者着水で戦闘終了。残った武装の頭部高速レールガンとビームサーベルはあるものの、移動できなくなったG-セルフより、腕がなくても脚があるし胸にもビーム砲があるカバカーリーの方が継戦できそうだが、

 左胸もえぐられているみたいだし、着水したときのショックで操作不能になったのだろうか。

  • オタクの好きな富野アニメ

 長々と戦闘を分析する文章を書いてきたのだが、何がいいたいのかというと、
「これ、オタクが好きなやつじゃん!」
 です!


 第1話で敵だったロボットに乗る主人公、
 第1話で自分がした作戦と似たような攻撃を受ける主人公、
 第1話で味方だった先輩との同門対決、
 第1話で不調だったビームサーベルをものすごく使いこなせるようになった主人公
 そして、G系の設計図からレプリカ製作され(金星で改めて再調整され)た白いガンダムG-セルフと、金星の研究機関Git団が受け継いでいた技術で蘇った黒いガンダムカバカーリーという同系対決!


 ああああ〜〜〜〜。
 オタクの好きなやつじゃあああ〜〜〜。


 そもそも、トリーティの初陣から、ラストバトルまでデレンセン門下の戦い方が一貫しているのも良い。敵との距離やスピードによって武器の使い方が変わるとか、最終的にゼロ距離の格闘戦で決着とか、そもそもこのラストバトルが、カバカーリーがジャンプしてからたった50秒で終わるというヒリヒリした迫真の戦いぶりとか!


 オタクの好きなやつなんだ…。



 まあ、速すぎるので初見ではよくわからんし、僕も5,6年かけてやっと今回の事に気づいたので。でも、ロボットバトルっていう荒唐無稽なアニメなのに、一貫して牽制と接近と相手の防御や武装の無力化の速さ競争と、必殺技、という戦術の一貫性をやってるのはミリタリーのオタクとか総合格闘技のオタクとかも好きなやつだと思う。


 しかも、これが速い!バトル漫画のドラゴンボールのピッコロ役や進撃の巨人のアルミン役のような説明役がいないというのは不親切かもしれないのだが。それでよくわからんと思われて視聴をやめた人もいるそうだが。


 僕はオタクなので、こういうのが好きです。初見でも技の内容はよくわからなくても「真剣勝負感」は伝わってきたので。


gendai.ismedia.jp



 富野監督は政治とか技術とか哲学とか、色々と考えていらっしゃって、それが正しいかはともかく、考えているだけでもえらいし勉強家だと思う。
 でも、富野アニメは哲学とかの要素もあるけど、基本的にロボットバトルが面白いアニメだし、それだけで十分価値があると思います。


 牽制攻撃にも色々とあって、MSの接近のためだけでなく、防御のためのアサルトパックの長距離射撃とかあるし、Gレコは戦術が色々と豊富なので楽しい…。


 劇場版第一部は人間ドラマの改変が多くて、戦闘シーンの改変は少なかった気がする。(カーヒルのラストとか、ニュアンスが変わっているけど、殺陣の絵自体は大して変わっていなかったような?)(音速越えおじさんはデレンセン大尉に状況説明を喋らせるきっかけのためだった感じ。デレンセンの降下高速戦闘が見れたのは良いけど)
 第2部以降はバトルもヒートアップしていくけど、TV版からバトルシーンもリテイクされる部分があるんですかねー?

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