玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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オーバーマン キングゲイナー 2526 信じろ!君の幸せの青いオーバースキル!

↑のエントリの続きです
さーて、オーバーフリーズの理由となる絶望、オーバーフリーズの中で望むものを解説してきました。
やっと解凍編です。オーバーヒート!

えっと、本編で全然説明しないので、私がはしゃいだ変な使命感でやります。
正直眠い。
25話 氷の中で
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Brush/8398/king.htm#k25
26話 ゲイン・オーバー
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Brush/8398/king.htm#k26
前回までのあらすじ
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081215/1229273811
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081215/1229273812
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081219/1229624188
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081219/1229668284
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081220/1229706754
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20081231/1230716800
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20090101/1230753020



オーバーフリーズを溶かすため!ゲイン・ビジョウはプラネッタの「伝心」のオーバースキルを使った!
何を伝えたか?
→サラ

サラ『め〜っでしょ! あらららら〜』
殴ろうとするサラに、すかさずゲイナーが謝るシーン。


ゲイナーの告白を聞いて顔を真っ赤にして走るシーン。
ゲイナー『君に尽くすのが僕の喜びなんだ。喜びを分かち合えるなら
もっと深いキスをするしツンドラの中に素っ裸になって走れというなら…』
サラ『もう!』

サラの絶望は、ゲイナー君がカッコよくなってからゲイナー君を愛してると言ったら、ゲイナー君に「最初は鼻にも引っかけなかったくせに!」と、怒られた事。愛して、愛されようとした事を失敗した事。
愛される努力を捨てられた。
でも、想像してご覧。
サラが何もアプローチしなくてもゲイナー君に告白されたではないか。その時どうだった?本当に鼻にも引っかけなかったか?照れていたけど嬉しかったんじゃないか?
努力して無くても愛されてるだろ!おまえは!



→シンシア

サラとゲイナーと3人で撮った写真

シンシアは戦闘美少女で戦う道具で、人を傷つけるだけ、自分の意志が認められない事に絶望した。
でも、想像してご覧。
シンシアが戦闘少女だと知らなくても、ゲイナーとサラは友達になってくれたじゃないか。
友達になる努力ができないなんていうことは無い。
とっくに友達だろ!おまえは!


ちなみに、サラとシンシアの見たイメージは、ゲインの知るイメージではない。サラのことはヤーパンのピープル皆が知っている。
だが、シンシアについては、サラとゲイナーとシンシアの思い出。なら、凍っている3人がお互いに、お互いを融かす思い出を見せあった?あるいは凍ったシンシア自身の本当の心がコールドシンシアに自分の気持ちを伝えたのかもしれない。
人間って、オーバーフリーズを自分で解く力は持ってる。ただ、ちょっと忘れっぽいだけ。


→ゲイナー

■第1話。ゲインとともにシベ鉄に捕まったときのゲイナーのシーン。
ゲインにパンを渡すゲイナー。
ゲイン『俺に借りを返すんじゃなかったのか?』
2話。ゲインにパンチをくらって落ちるゲイナー。


ゲイン『お前さ、死んじゃいないよな
自分からは何もしない。それがドームポリスのピープルの習い性だものな? 』

ちなみに、この時のセリフは、上のサラに対するゲイナーの告白もだけど、オリジナルのセリフとは違っている。

心から君に尽くします! それが僕の喜びなんだから 喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます! サラ! 君がツンドラの中に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせる!

こちらが17話でのセリフ。これは単なる演出の回想シーンではなく、曖昧に物事を覚えている記憶だということ。


で、ゲイナーとゲインの牢獄でのやり取りは、もっと違う。
1話では

   ゲイナー「すみません」
   受け取ったパンを一口かじる。
   そこにまた、一人の男が放り込まれる。腹ばいのまま死人のようにピクリとも動こうとしない。
   彼の足元にはコップ一杯の水とパンのかけら。


   夕刻、再び牢屋。再びパンと水が支給される。
   看守「同じ様に分けるんだぞ」
   体を動かさずに男が呟く
   ゲイン「俺も食うからな」


   またまた牢屋。動かないゲインに、
   ゲイナー「僕、あなたのパン預かってます。食べます?」
   ゲイン「ああ(手だけ動かしパンを受け取る)」
   バケツ回収の為、再び看守が牢屋に入ってきた。
   突然その手を掴み、コップを持った手で看守の顔面を殴りつけるゲイン。


   気絶した看守から拳銃を奪い、悠然と牢屋を出て行くゲイン
   ゲイン「俺は出て行くが、来るかい?」
   誰一人ついてこない牢屋を振り返り、
   ゲイン「不平不満はあっても自分からは何もしない。それがドームポリスのピープルの習性だもんな」
   言い終わると同時に牢屋の扉が開く。出てきたのはゲイナー一人だけだ。
   ゲイン「いいのかい?」
   ゲイナー「僕、ここにいる人間じゃありませんから」
   ゲイン「俺はゲインだ」
   ゲイナー「僕、ゲイナーです!」
   二人は出口へと走り出す。
http://f1.aaa.livedoor.jp/~beating/kinggainer/kg%20index/KingGainer1.html

ゲインは「習い性」ではなく「習性」と言っているし、「お前さ、死んじゃいないよな」とは一言も言ってない。
これはゲインのうろ覚えの記憶であり、ゲイナーに対する第一印象の記憶。ゲインは、牢獄の中でゲイナーと始めて出会ったとき、ゲイナーがゲインのためにパンを取っておいてくれたこと、その程度の親切で「お前は他のドームポリスのピープルとは違って、死んでない」と認定していたんだ。
「借りを返すんだろ?」「奴がコンビ解消を言い出したんだ」と殴ったのも、ゲインが既にその時からゲイナーを男と見込んでいたから。(バナージ・リンクスがリディ・マーセナスに言ったように、それはハッキリと口には出さないが)
ゲイナーが英雄的自己犠牲をしようとした時に茶々を入れたのも、英雄になる危険性を知っているから。ゲイナーが英雄だと認めているから。
ゲイナーよ、お前はそんな化け物に成らなくっても、男だぜ。
これは、「がんばらなくてもいいよ」っていう、母親的な庇護や全肯定とはちょっと違う。
むしろ、「要は努力が足りないんでしょ?自己責任でサバイブしなければ!でも、どこまで努力したら幸せになれるんだ!」って擦り切れるまで頑張って鬱病になって絶望している少年少女たちに
「努力は足りてる。お前さんはよくやってるよ」と言いたい。
「ぼくの、わたしのこれまでの人生はクソだ。今が幸せじゃないから、それに通じる過去も全部失敗」と嘆く少年少女に
「いや、楽しそうなこともあったじゃん」って思い出させたい。
「男に成らなければこの先生きのこれない!」というゲイナーに「お前は死んでないだろうが!」という声が聞こえるんなら、生きてる!
そんで、ゲインたちヤーパンの皆はゲイナーを立ち直らせなきゃ自分たちに明日は無いって、ゲイナーを頼りにしまくり。


つまり、「ゲイン・オーバー」と言いながら、実はゲインにはとっくに認められて、ゲインを超える力は既にゲイナー君は持っていたんだって!
だから、「燃やせ!オーバースキル」でもなく、「手に入れろ!オーバースキル」でもなく
「信じろ!君のオーバースキル!」
なんです!
愛と勇気は口だけの言葉、ただ、そこにあるだけ。
それを自分で信じられれば力!
自分で自分を信じるためには、一人だけでは嫌だ、お前だけでも無理だ!
「信じろ、君のオーバースキル!」と言ってくれる人が居てくれてこそ!

シャキーン(`・ω・´)復活!


オーバーフリーズを自分の心のオーバーヒートで溶かすことの出来たキングゲイナーがオーバーデビルを倒したのは言うまでもありません。


蛇足ながら言うと、人間って自分の価値観や自分の視線に縛られてて、今の自分の事で精一杯だから、不幸に見舞われたらそれだけしか見えなくなる。
しかもその気持ちは他人とは共有できなくて違うから一人ぼっちのように感じて絶望する。
でも、価値観が違うって言うことは、悩みを聞いてもらえないって言うだけじゃない。君にとっての絶望に満ちた人生が、他の誰かにとっては生き生きした人生に見える事だってある。
僕が自動思考で勝手に絶望してる時に、脳内妹に「そんなの軽い軽い」って言われて我に返るとか、そういう人格障害認知療法
ただ、絶望する気持ちが間違ってるとか、「この程度で絶望する自分の価値観が間違ってる」っていう事でもない。ただ、人間って忘れっぽくて一人で世界に向かい合って細かい事を忘れると絶望するのと同じで、一人で自分の辛さを受け止めると自分が持っている細かい思い出や大事なものも吹き飛んで忘れてしまう。それはそういうものなんだよ。
ゲインのような強い男だって、相棒のゲイナーがいなかったらエリアルやアスハムと一緒に自殺してしまったかもしれん。
だから、自身を無くした時は互いに忘れてしまいがちな「細かい事」「自分では大した事だと思ってない成功体験」を思い出させ合うようにしていこう。
っていう。
僕も一人でブログを書いてると「睡眠時間を削って、何を書いてるんだクソか」って思うんだけど友人に「グダちんの妹は良い事を言うねー」とかはてブで「見事な洞察。眼福」とか結われると。えへへへ。うれしいですー。そして睡眠時間が死ぬ。いや、昼間にボンヤリしてる時に書けという話だが・・・(笑)


うーん。
宇野常寛氏の事はあまり読んでないでネット上の聞きかじり又聞きだけど、ゼロ年代の想像力の「小さな社会」とか「疑似家族」とか「小さな成熟をした個人の緩やかな連帯」に近いんだろうか?
2003年の富野アニメが2007年に論壇に理解され、2009年に僕程度のブログで解説されてる?富野由悠季作品の濃さは、溶かすのに数年かかる。
まったく!大好きだ。


ただ、宇野氏の印象と、キングゲイナーの印象はまたちょっと違うんだよなー。
宇野氏の言う「終わりある日常の中にある豊かな物語を生きろ」という、「木更津キャッツアイ」「ウォーターボーイズ」的な生き方の推奨ではないっしょ。
キンゲは続く気満々だし。ヤーパンに行ったら行ったでガンガン畑を耕して、野菜を作ったらつくったで販売ルートを作らなきゃ。あと、シンシアにするかサラにするか、それとももっと違う女の子と付き合うか、それとも振られるか?人生ゲームはまだまだ終わらん!
あと、木更津キャッツアイウォーターボーイズは僕も好きで見てたけど、同世代の横のつながりを重視してる感じ(いや、兄貴的キャラや親はちゃんと出てるんだけど)で、キンゲはもっと縦横無尽に、余裕で親子3代の因縁とか太古からの大きな物語のアンビエントな精神的影響もあり。
若者には大きな物語は作用して無くても、親世代やその上の地縁とか戦争の影響とかはまだ在るわけだし。それが家庭の雰囲気になって若者の精神を決めたりはするよ。
同時に、大きな物語の感受性はまた個々人で違うのでタコツボの形も違うっていうのもキンゲ
で、複数のタコツボを軽やかに移動しながら自己承認を得る、という宇野メソッド

あるところで失敗しても他のところですぐ再チャレンジできるくらい数的な意味で【厚み】があることです。そのためにウェブというリソース(情報資源)をどう活用するか、みたいなことを今、同世代の書き手、具体的には荻上チキさんや濱野智史さんたちと考えているところです

というよりは、もっとこだわってるし、シンシアやサラは一つの事につまづいていきなり絶望しちゃったりしてるし。再チャレンジしたらいいけど、再チャレンジ前提で生きてないし。
もう、そこらへんがすっごいぐちゃぐちゃ。
宇野氏は「承認はコミュニケーションで補填」っていうけどゲイナー君はチュウされてもうれしくないし。でも、最後はサラと手を繋ぐし。やっぱり女はすき。矛盾だらけ。
「コミュニケーションしたら問題が解決する」か?っていうと、そこらへんも割とテキトーで場当たり臭い。


あと、ゲイナー君は大きな物語でも余裕で成功を収めてるしな。


つか

「家族は、唯一の【リセットできないコミュニティ】ですから。他のものが入れ替え可能だからこそ、入れ替え不可能な家族というのが重要になってくるのは間違いない。
それに、【家族】を考えると言うことは、必然的に【決断主義】を支えている排他の論理と、その論理の源である母権的社会としての現代社会への考察にも繋がります。
ゼロ年代の想像力』では、それを【母性のディストピア】という言い方で表現しているのですが、そのあたりを深めて考えていくことが、僕の次の課題ですね」
http://mopix.moura.jp/?p=1153

ゲイナー君って母性のディストピアの真っ只中だしな。親殺されてるし。親を殺した社会を作ったミイヤって言う母系社会を恨んでるし。彼女が母親っぽいそぶりを見せたらキレるし。母性に認められないから、排他の論理になる前に自分を投げ出したがってるし。
オーバーデビルが母性的にゲイナーを肯定したら決断主義的魔王になったっていうのは近いけど。魔王になっても男に成りたがってたし。
うーん。宇野氏の本を読まずに意見を言うのはアレかも知れんが、クソ忙しいからパス。
富野作品じゃないし。(そんなりゆう)



オーバーデビルにまつわる絶望の物語は、ここらへんで終わり。
ただ、絶望しないための「小さな物語」の集団について、ちょっと書く予定。
簡単に言うと、「入れ替え可能で意味はないけど、とにかく頑張って走る」
大きな物語としては「祟り神を祭って守り神にする」
です!
オーバーヒート!
んがぐぐ
つか、やっぱり1エントリ書こうとしたら徹夜ですよ。冬休み。イミフすぎる。もう、めんどいから読み返さないで仮眠します。