玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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ベルリの殺人考察第3部第19話B ベルリたちの願いとジット団

 放送当時の感想
nuryouguda.hatenablog.com
 放送当時は1話につきだいたい1記事でしたが、この考察は長くなってきたので、今回は19話のBパートです。前回、かなり長く2万4千文字に渡って色々と書いたので、今回は1万1千文字程度の短さになった。(それでも長い)


目次
「はじめたいキャピタルGの物語」・「ガンダム Gのレコンギスタ」感想目次 - 玖足手帖-アニメブログ-
Gレコ2周目の感想目次 殺人考察&劇場版(パリ) - 玖足手帖-アニメブログ-


 前回の殺人考察
nuryouguda.hatenablog.com
nuryouguda.hatenablog.com
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  • 宇宙の大きさの授業

 Aパートの終わりでエネルギー論の話があって、アイーダさんがアメリア人の感覚を刷り込まれて教わって育てられたので、宇宙や世界のことを考えていない。みたいに批判される感じになって、ベルリともちょっと口論っぽくなってしまった。
 それを和解させるためか、宇宙の大きさを地球人に想像させるためか、クレッセント・シップの船首ブロックからメインブロックまでをG-アルケインで移動させて、そこに地球人を乗せて宇宙を体験させるという授業が始まる。


 Aパートでアイーダさんがノレドに「自分で感じたことじゃないってことだよ」と非難されたので、宇宙を体感させる授業になったのか。
 ノレドとマニィとラライヤはアルケインの右手に乗っている。ベルリとアイーダG-アルケインの頭に乗っている。誘導するのが厚い唇が印象的な副長なので、G-アルケインのコックピットに居る金星の宇宙服の人はエル・カインド艦長だろうか。
 しかし、副長はメガファウナからのワイヤーをノーマルスーツにつけているけど、他の人はアルケインに乗っかっているだけなので、結構度胸あるな。アルケインに網をつけて、そこにカラビナで命綱を接続するとかした方がいいような・・・。宇宙だから風が吹いて落ちたりはしないだろうけど。
(ところで、ここに居る金星のMSポリジットは最初からクレッセント・シップに積んであったのか、ビーナス・グロゥブに接近したので迎えに来たのか?)


 トップをねらえ!みたいに丁寧に宇宙での遠近感を教えてくれる。なんでクレッセント・シップの人はこんなに地球人の啓蒙教育や観光サービスに熱心なんだろう?金星に戻るだけだと暇すぎるから?レイハントン家の仲間たちへの敬意?

 「自分で考えてない」ってノレドたちに言われたアイーダさんは反省するように色々と考えるようになる。




 宇宙でジェスチャーするための光る塗料。握った運動エネルギーを光エネルギーに変えて発光する。子どもたちに見せたい理科の知識って感じ。

 宇宙では無線はオープン回線にしておかないと命取りという豆知識。いろいろと教えてくれる。


 まだアメリア人だけの感覚を刷り込まれたことを気にしているアイーダさん。



 子どもが親や育った地域の常識を信じてしまうのは現実の宗教戦争とかでもある、難しい問題。そういう問題についての話題で、ベルリが互いの育ての親は思想信条はともかく尊敬できる人物だ、と言うのは話題を逸しているのかもしれないのだが。前回のラストでレイハントン家の遺志を肯定的に受け止められるようになったベルリとアイーダだけど、育ての親のことも切り捨てるわけではない、という展開も必要だったか。(地球圏再会でまた親離れが描かれもするのだが)
 自分の土地の因縁を親や国から押し付けられるにしろ、それが全くの悪ではない、という多角的な描写。

 G-アルケインでの移動授業が終わって、メガファウナのデッキでオーシャン・リングについてアイーダとエル・カインド艦長が話していると・・・。ベルリが参加してくる。


艦長「我々がそのようなものを作ってまでここで暮らしてきたのも、地球が決定的に貴重な星だという証拠でもあるのです」
ベルリ「その地球ではキャピタル・タワーを取り合おうと宇宙艦隊がにらみ合っているんです」
艦長「経済的に豊かになってきたからでしょう」



ベルリ「そんな大人の理由はいいんです!ボクはそういう戦いを止めさせるためには、姉さんのような人にはヘルメス財団の偉い人に会わせたいしビーナス・リングとかオーシャン・リングと言った物を見てもらって…。宇宙にある海の夢といったものを見つけ出してほしいんです!」


 ベルリが「宇宙にある海の夢」と言う前に深呼吸するのがいい。感動的な言い方の演技だし、ロマンチックな単語でもある。しかし、少しおかしいのは、ベルリはオーシャン・リングの海がどういうものか見てないし知らないのに、「海の夢」をアイーダに見つけ出してほしい、と言っている所。(脚本を書いた富野監督はわかっているので、筆が滑ったのかもしれんが)
 やはり、ベルリもわかってないのに憶測で言っているようだ。というか、ベルリは自分では争いを止める方法がわからないので、姉のアイーダさんに考えてほしい、と言っているわけで、主人公としては思考放棄かもしれない?ベルリは自分の役割は戦うことだと思っているのかな。
 「宇宙にある海の夢」というのも、よく意味がわからない言葉遣いだが。「宇宙に海を作ることが出来るほど発展してるヘルメス財団の本部の偉い人と会えば、地球圏の狭い領域での争いを止められるくらいの、新しい考え方がもらえるかもしれない」という感じなのだろうか。ベルリは理系なので、科学技術を持っている偉い人は思想的にも高度だと思ってしまうのだろうか。


 しかし、皮肉なのは実際に次回、オーシャン・リングに突入したベルリはそこにロマンを感じる暇もなく戦闘をしてしまうし、発展しているヘルメス財団の本部のビーナス・リングでもジット団のような反動分子がいて、結局、地球の問題を一気に解決するような新しい「宇宙にある海の夢の哲学」などはもらえない、ということ。(パーフェクトバックパックやマシーンなどはもらえる)
 アイーダは個人的にラ・グー総裁と話してムタチオンなどについて考えさせられるが。「宇宙に海を作ることが出来るほど発展してる金星のヘルメス財団の本部の高潔なラ・グー総裁なら、平和をもたらせる知恵を持っているのではないか」というベルリのオーシャン・リングもジット団も知らない時点の期待は裏切られてしまう。どこに行ってもリアルは地獄なのかもしれない。ラ・グーは長命で高潔だが、ジット団を止められないし、地球の争いをやめさせる「正解」は教えてくれない。なので、やはり悩みながら行くしか無いのだ。



 三人娘でつるんでいる。そして、オープンチャンネル無線で聞こえたベルリのアイーダへの思いを聞いて、ベルリがアイーダさんを姉だと受け入れることができたと、女子高生同士でよろこびあう。(「耐久力ある」っていうのはちょっとマッチョな言い方だけど)
 で、恋愛としては、アイーダさんが姉だと知って失恋したベルリなので、ノレド・ナグさんとしてはベルリにアプローチするチャンスなのがこのクレッセント・シップでの生活かもしれないんだが。傷心のベルリにつけ込むようなことはノレド・ナグさんはしない。また、ベルリと恋愛をしようとするよりは、キャピタル・アーミィから1人で乗り合わせてしまった同じ部活の友達のマニィが宇宙船の生活で孤立しないように、ラライヤと一緒に女子高生グループを作ってやる。そういう優しさがノレド・ナグさんにはあって、いいなあ。恋愛よりもマニィとの友情を優先してるのか、ベルリの傷心を利用するより、ベルリが立ち直るのを見守りたいのか。
 恋愛にガツガツして揉めがちな富野アニメ女子の伝統に比べると、ノレド・ナグさんは優しい。自分の恋愛欲求よりも、友達やベルリの心のケアの方を優先している。まあ、終盤はノレドもマニィも戦闘マシーンに乗ってしまうけど、それはまた別の話。


 ミノフスキー粒子ではなく、金星の磁気嵐のせいで聞き取りにくいのだと思うが、ジット団はクレッセント・シップに発見される前に出迎えに来たと無線で宣言してくる。



 メガファウナの甲板でジット団のマシーンたちを視認するベルリ達。先程までのG-アルケインを使った宇宙の授業は視聴者の子どもたちに宇宙の環境や技術を見せたいというシーンでもあるが、同時に「ジット団の襲来の時に、全員に違和感なくノーマルスーツを着せておく」という段取りのためのシーンでもあったんだなあ。こういうところのアイディアの圧縮がシーンのつなぎとして上手い。




 ジャイオーンは当初はラスボスかと思われていたし、金星のすごい技術でガンダム再現したように見えるし、なんか顔もすごいし、すごく高圧的で怖い感じ。
HG 1/144 ジャイオーン (Gのレコンギスタ)



 裏切る直前のフラミニアさんがジャイオーンに一瞬手を振ってから移動するの上手い。



 そこに、皇子として責任感が強くなって、戦士としても能力をアイーダさんに認められているベルリが突っかかっていく。

 みんな驚く。

 すごく主人公っぽいし、エル・カインド艦長が天馬博士っぽくもあるので、富野喜幸さんが演出で参加した鉄腕アトムみたいなヒーロー性のあるポーズでみんなを守ろうとするベルリだが

 キア・ムベッキ隊長の成人男性のパワーの乗ったヤクザキックで吹っ飛ばされる。ベルリはクリム・ニックやマスクには喧嘩で勝てたしデレンセンの鞭も避けたけど、キア・ムベッキ隊長よりは弱い。
 それでも、ベルリは主人公として丸腰でも敵に向かっていく勇気と責任感がある。政治的な考える事はアイーダさんに任せようとしているが、こと戦闘については「自分がみんなを守らなければ」という気持ちがベルリは先走っているようで、一人で抱え込む癖がある。天才だから、これまでも勝ってきたから、なんとかなるという生存バイアスもあるのかも。(ガイトラッシュ終戦の後にラライヤに説教されるが)
 公務員志望の学生だったベルリだが、戦士として才能を認められ皇子であることも知り、また人を何人も殺したという罪悪感から、後半のベルリは一人で突出しがちになる。



 ベルリを助けようとしたノレドもリジットのライフルで押しのけられるので、「悪人!」というジット団の第一印象が固まる。


 ジット団という名前も秘密結社っぽくて悪そうだし、悪人だという印象が固まっているけど、細かいところでジャスティマやリジットがノレドとベルリが漂流しないように戻してあげるのもある。(本当に悪い時の富野だったらノレドはノーマルスーツの中がミンチになってただろうし)
 ジット団も21話まで見たら単純な悪役ともいい難い印象になるが、第一印象で「悪人だ!」と強く見せることで、その印象が崩れていく過程を面白くしている。

  • 乗り込むキア隊長

 クレッセント・シップに入室を許可されると、素早く副長に脅しをかけつつ銃もちらつかせる。キア・ムベッキの動きは速い。


 (後々考えると、このレトロフューチャー感のある銃が本物かも怪しいのだが)

 流れるように名刺を出す。ジット団のキア隊長だけど、肩書はジット・ラボラトリィの技術保全局長。すごくかっこつけてるな・・・。



 ジャスティマに押されたベルリとノレドを受け止めるみんな。ジャスティマは助けてくれたのかもしれないけど、悪いメカに翻弄された主人公を仲間たちが助けるって感じにするので、やっぱりジット団が悪いという印象を強めてくる。


 プラネテスぽさ。エアロックは順番に・・・とケルベスが言ったがメガファウナのデッキは開いている。


 あえて照明をつけなかったり、さっきまでオープン回線だった無線を切って接触回線で密談したり、急襲してきた敵への緊迫感を高めていく。

 キア隊長に蹴り飛ばされたのにめげず、メガファウナの中を泳いで後部デッキのG-セルフの確認に向かったベルリ。やはり勇敢だ。G-セルフは自分の専用マシーンで第一に確認すべきという責任感を持っている。


 なんとフラミニア先生はジット団のスパイで(この時点で明言はされてない)、ヤーンと一緒にG-セルフを動かしてメガファウナを内部から制圧しようとしていた。怖い。

 しかし、ハッパさんがレイハントンコードをもとに戻していたので動かせない。さすがハッパさん。

 G-セルフは自分たちだけのものだと主張するベルリ。





 フラミニア先生は顔が俯瞰から煽りになって、激昂を強調している。そして、ショッキングな音楽でベルリに睡眠薬を注射する。
 前回の全体主義論とも関係するけど、金星まで宇宙全部が統一規格になっているユニバーサルスタンダードは全体主義で、それに反発するG-セルフは反体制派?しかし、レイハントン家は宇宙世紀の技術を保存して教えないしヘルメス財団にも関係する王家だったので、むしろ特権階級か?(地球圏でフラミニアさんからG-セルフがそういうものだとマスクが聞かされて「独裁者」だと思ったりしたのだろうか?)



 ベルリも伝説のモビルスーツガンダムを知っていたようだ。ヤァンとフラミニアの間に男女の感情があったのかどうかはふわっと描かれている。

  • 互いに怖れあう故に争う




 金星の技術は、エル・カインド艦長の授業などから、地球よりも遥かにすごいということが19話を通じてアイーダさんたちに実感させられていた。なので、その金星の高性能っぽいG系のマシーンで襲ってきたジット団をアイーダさんは恐れる。
 しかし、逆に(ここまでは平和なビーナス・グロゥブで暮らしていた)ジット団のチッカラ・デュアルから見ると戦争を十年以上も続けていると情報で聞いている地球人は戦争好きに見えるし、チッカラの方も警戒している。
 Gレコの構図で顕著だけど、地球人は技術が足りないが実戦経験が豊富で、金星人は技術はあるが実戦経験がない。このアンバランスで、互いに異質なものだと思って怖れあって一触即発となる。

  • 眠らされるベルリ



 戦闘でストレスを負ったベルリがしばしば「寝逃げ」していることに言及してきた。第14話でドレット艦隊もモランを3人ほど殺した後と、第16話でアイーダさんが姉だと知って暴走してがヴァン隊と戦って一人殺した後も次の回の登場シーンで寝逃げしていた。
 なので、ベルリのストレスとその回復のための睡眠は重要なのだが。今回はジット団が来るまではベルリはストレスが少なくて、宇宙での仕事や授業でキャピタル・ガード候補生時代のような安定感を取り戻し、姉としてのアイーダさんの希望を戦争を止めるために助けようという前向きさを持った。
 それくらいメンタルは好調だったが、ジット団が来ると、すごいマシーンの持ち主だけど立ち向かうぞ!という意気ごみで突撃してキア隊長にヤクザキックを食らい、G-セルフを守るぞ!という意気ごみでフラミニアを止めようとして、睡眠薬を食らった。
 2クール目に入ってベルリの累積ストレスがたまっていて寝逃げの頻度も高まっていたが、今回は趣向を変えて、敵によって強制的に寝逃げさせられる。ベルリは戦って、ストレスを食らって、寝て回復して、それでまた突出してストレスを食らう、というサイクルに陥っている。


 ここでメガファウナのクルーが集まって寝ているが、ベルリの枕元にアイーダさんがいて、横にノレドがいて、足元にマニィが居るので、女の子たちがベルリを気にかけている、という今回を通じてあるニュアンスはあるみたいだ。
 しかし、ラライヤがいないのはどういうことだろうか?(次回冒頭は普通にメガファウナの待機室に居る)フラミニアを慕っていたラライヤなので、1人になりたかったのか、トワサンガ人としてジット団に尋問を受けていたのか?

  • 自分で考えるジット団

 前回の考察でも書いたのだが、ジット団はビーナス・グロゥブのロザリオ・テンに支配された全体主義から抜けて自分たちで行動しようとしているグループ。




 ヘルメス財団の一員でスコード教の信者でもあるようなエル・カインド艦長は、そういう全体主義の総裁の承認を受けていない行動は罰当たりだと宗教的に批判する。
 思考停止した伝統宗教による全体主義組織の中で生まれた、科学技術を研究して自分の意志で行動して改革していこうというリベラル過激集団がジット団のようだが。

 自分の意志で行動することはGレコでは推奨されているムードだけど、そういう風な思想を持っている敵も出てくる。
 しかし、キア・ムベッキ隊長はとっても格好つけているなあ。自由意志で行動するのは本能的に楽しいから調子に乗っているのかもしれない。彼なりに数年間温めてきたレコンギスタ計画のスタートなので。
 だが、たくさん勉強して自分の意志で考えていて自分の思想は正しいと思いこんでいる所が彼の落とし穴に、次回、なってしまう。
 なので、Gのレコの価値観の見せ方は一筋縄ではいかないのだ。
 キア・ムベッキたちジット団は自分で考えていると思っているけど、ピアニ・カルータの説をなぞっているだけかもしれないので。自由意志はどれだけ「良いもの」なのか、という伝説巨神イデオンのようなテーマ性もある。


 今回の冒頭では上手から下手にスムーズに航行していたイメージのクレッセント・シップだが、ラストでは下手から上手に向かうので、「ビーナス・グロゥブに行けば宇宙の海の夢が見られる」という希望的観測から逆転して、困難が待ち受けているような印象になる。どうなることやら。

  • 次回

 強制寝逃げでリフレッシュしたベルリ。

「ボクは天才かもしれない」と調子に乗るようだ。キア・ムベッキ隊長も調子に乗っているが、その二人のバトルは・・・。
 つづく。
nuryouguda.hatenablog.com
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  • 目次

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Gレコ2周目の感想目次 殺人考察&劇場版(パリ) - 玖足手帖-アニメブログ-

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 全く労働する意欲がないわけではないんですが、このGレコの考察の間は執筆に専念したい。程よく働きながら執筆もできる、というバランスが取れたらいいのですが。


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