玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST 8 どっこい元気な宇宙戦国時代

 前回
nuryouguda.hatenablog.com



 前回は首切り王や賛美歌の国が伊藤計劃虐殺器官に似ていたので、オタクとして結構長文を書いた。
 今回は発売日に本自体は買っていたものの、Gレコの記事を優先していたのと、さらざんまいとキンプリをやっていたので、クロスボーン・ガンダムが後回しになっていた。さっき読んだ。こういうのは機会損失なので良くない。
 しかし、前回ほど長文で云々する感じではない気がする。
機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST(8) (角川コミックス・エース)

 前回、派手に首切り王が独立宣言で「この世界は終わりだ」って宇宙世紀の衰退を宣言して略奪と虐殺を信奉する賛美歌の国を作った。
 そこで、ポストアポカリプスっぽい残酷描写とか、世界が崩壊していくさまを描いていくのかなーと思ったのだが、そういう暗い感じではなかった。


 というか、そもそも悪役の首切り王ヘッド・ハーベスターが今回はあんまり出てこない。略奪を信奉する世紀末的な賛美の民との戦闘が冒頭にあったが、そこは面白いロボットバトル、という感じでそこまで掘り下げられていない。


 むしろ、頭でっかちな伊藤計劃以降のSFっぽい感じではなく、元気な印象を受けた。
 もちろん、宇宙世紀が衰退していてモビルスーツもボロい感じで、生活もカツカツというダストの世界観はあるのだが。
 そういう世界の中でも、みんなそれなりに頑張って元気に生きているということの方に重点を置いて描かれているように見えた。宇宙世紀は宇宙戦国時代の混乱の中で滅ぶ、というのは富野由悠季の世界観でも既定路線だし、首切り王みたいなのが出てきてネオ・ザンスカールやネオ・コスモ・バビロニアなどが乱立して紛争が多発している。なので、滅びていく人類社会という退廃的なムードになるかと思ったが、そうではない。


 略奪を信奉する賛美の民(野盗)はともかく、主人公のアッシュ・キングは無敵運送を頑張って経営するし、カグヤ・シラトリもムーン・ムーンの内政の心配をするし、そのカグヤとタガナス・タヤカは宇宙と地球での食物の貿易をする。トビアとテテニス・ドゥガチの夫婦はやっと再会できた。2児の母親でアラフォーになったテテニスはかつての悲劇のヒロインというわけではなく、冷凍睡眠から覚めるとユーモラスなオッカサンという感じになった。息子のニコルくんの恋愛もコメディーっぽく流される。年下の姉となったベルナデットも年上の弟のニコルに張り合ってかわいい。16年間冷凍睡眠していたフォントもカーティス(トビア)に娘のベルナデットと健全な交際をするように脅されるギャグを久しぶりにくらう。また、地球連邦軍ティターンズの流れをくむキュクロープスの軍人になったフォントだが、ガンダムオタクぶりを出すというコミカルな一面(というか元々は彼はオタクなので、こっちのほうが地)を見せる。前回精神を破壊されそうになった主人公のアッシュ・キングも恋愛で赤面したり、ロリ少女に婚約者と呼ばれたり、愉快な展開がある。アッシュは精神崩壊寸前で総白髪になってしまったが「逆にイケてるんじゃないか」とか冗談を言ったりする。
 その少女の父親でサイド1の多層コロニーを治めている行政執行機関代行官のタルス・バンス王も豪放磊落で明るい人物だ。多層コロニーは普通のコロニーを魔改造して三重構造にして、軽くするために床を金属ではなく空気圧で膨らませた強化ビニールにしたりと、かなり歪なものだが、そこでも人は慣れて生きている様子。
 そういうわけで、世界の状況は破滅的だし戦況も芳しくないが、キャラクターは元気に生きようとしているし、それは暗く描こうと思えば暗く出来るけど、ユーモラスなマンガとして描かれている。
 SFとしてはピークを過ぎて滅びかけた宇宙文明なので、暗く描こうとしたら際限なく暗く出来るけど、基本的に雰囲気が元気で前向きだ。


 女子の方の主人公のレオ・テイルがMSパイロットとして独立してから、さらに新たな秘密として発覚した「父の遺産のミダス・タッチ・フラッシュの秘密コード」というのが出てきて、新展開になるのだが。それを狙う新しい敵方の傭兵集団も雰囲気は女子プロレスラーみたいでバカっぽくて明るい。傭兵も傭兵なりに敵だけど前向きに生き抜こうとしている。
 首切り王は「どうせみんな死ぬから、他人の命を奪って少しでも長生きしよう。どうせ死ぬけど」という破滅思想なのだが。
 みんながみんなそういう悪役のムードに飲み込まれるというわけではなく、なんとかまともに生きていきたいという人たちもちゃんと描かれるし、悪いやつも悪いやつなりに力を手に入れようとしてがんばっている。という、前向きで明るい雰囲気の萬画になっている。
 まあ、実際、一年戦争という90年近く前の戦争が原因で人類が滅ぶとしても、ガンダムのオタクが宇宙世紀は滅びるということを富野監督から教えられていたとしても、その物語の世界の中のキャラクターにしてみたら、その滅亡が何十年後かはわからないし知らんので、少しでもなんとかできそうなことがあれば、それに賭けて頑張る、という生き方をして、かんたんには絶望しきらない人間の生命力の元気のたくましさみたいなのを描いている。そういうのが長谷川裕一先生の萬画の「らしさ」だなあーって思う。


 というわけで、首切り王の思想は実に僕みたいな暗いオタクが好きそうな感じですが、そういう頭でっかちな破滅SFに行くことなく、元気で楽しい萬画になってるのが、すごいなーっておもいました。


 あと、もちろん、MS戦闘は毎回戦法に工夫があって楽しいです。もちろん人をぶっ殺しているわけですが。(割りと脱出させるようにアッシュは戦うけど)あんまり殺人とか暗いイメージではなく、ロボット異種格闘技戦という感じの楽しさは提供してくれていて、説教臭く前向きさを押し付ける話ではなく、ちゃんとガンダムとしてバトルの楽しさも描かれている。
 でも、出番が少なくても首切り王は怖い存在として描かれていて、緊張感もちゃんとある。
 なので、面白いマンガだなあーって思いました。ガンダムコミックと言えば、色々と設定がどうのこうのとか細かいオタク的な読み方をされがちですが、面白いマンガにしている、というのが一番偉い。パラレルでも面白ければそれでいいのよ。
 続きが気になるけど、買って読まないでダラダラしてる間に2,3ヶ月後の11月には出るのかなあ?

nuryouguda.hatenablog.com

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 最近は太っているので糖質制限ダイエットをしているので、昼ごはんはプロテインに置き換えていますので、プロテインやチキンソーセージがほしいです。


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