玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

#富野由悠季の世界 美術編の感想 その1

 前回のあらすじ

nuryouguda.hatenablog.com

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 富野由悠季の世界展、兵庫会場で昨年12月に行ったのだが、逆襲のシャアの絵コンテの感想と、富野由悠季監督についての感想しか書いていなかった。
 美術館での展示なのだが、美術についての感想を書いていなかった。それで10ヶ月半経過した。事情があった…!事情が!


 具体的にはすぐ体を壊して寝たり起きたり。Gレコ劇場版の分析もすべきなんだけどねー。あと、富野由悠季の世界展の富野由悠季の概念的な部分の感想をいっしょうけんめい昨年末に書いたのに、4ブクマしかされず、元日に公開されたG40というガンダム40周年のガンプラ?のショートアニメに対しての雑な文句がめっちゃアクセスを集めてつらかった。
 頑張って書いた称賛の記事より、雑に書き飛ばした憎しみのほうがインターネットでは受ける。かなしい。


 まあ10ヶ月サボっていたけど、精神的にオタクはしつこいので昨年の記憶とメモを頼りに富野由悠季の世界展の美術についての感想を書いていきます。現在只今公開中の静岡展に行って記憶を呼び覚ましても良かったのだが、ソシャゲ(主にモバマスの大槻唯フェスと大槻唯ガチャ)に課金して30万円の借金があるので行かない。(兵庫展もチケットは知人に3枚も譲ってもらって3回行った・・・。合計20時間鑑賞した(うち、逆襲のシャアの絵コンテの速読みが3時間))
 コロナウィルスの流行で会期が伸びたりGレコの公開も延期されたりして、僕はサボりがちになってしまったのかもしれないが、体調は良かったり悪かったりする。


 ちなみに、色々文句を言ったけど、思い出すのが面倒なので、富野由悠季の世界展の図録の順番に書いていきます。このブログの読者さんもお手元の図録を参照してください。
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 展示を見ている時は、各絵師(イラストレーターだったりキャラデザイナーだったりポスターだったり)の筆致を比較するために順路を無視して何度も行ったり来たりしていましたが。(人にはぶつかっていないので、許して欲しい。開館入場して入り口で団子になるのも好きじゃないしね)

  • 第一部 宇宙へあこがれて
  • 第1章 富野由悠季をかたちづくったもの


●富野喜幸少年の絵画
 世界展でのトークイベントの富野監督への質問に僕は「影響を受けた芸術家は?」と質問して、富野監督は「当たり障りのないことしか言えません。ゴッホとクリムト」と短く答えた。せっかく美術館での展示イベントなので、美術について学芸員の人と話し合ってほしかったのだが、富野監督は監督であって美術の専門家ではないので上手いこと言えないという自己認識なのだろうか。まあ、美術は沼だしな。


 それはともかく、富野喜幸少年は一時期漫画家や画家を目指していたらしく、小中学生時代の絵が残されている。異様に物持ちの良い家庭。普通、中学生のイラスト、捨てる。
 前回の感想でも書いたが、少年時代の絵でもY.ToMiNoなどとサインを入れているので、自己顕示欲の強さが伺える。


 やはり、メカモノ、特にロケットが好きだったらしく、ロケットやオリジナル戦艦やオリジナル戦闘機のイラストが展示されておる。
 オリジナル戦闘機や架空の飛行場などの設計図や三面図など、静的な作品もある。
 しかし、富野ファンとして着目しておきたいのは、ペン画で、架空の戦艦や戦闘機であっても、「なにかしているところを描写」しているという特徴がある。
 ここで僕が宮崎駿の雑想ノートをちゃんと読んでいないので比較できないという申し訳無さがあるが。
 架空の潜水艦もデザインを見せると言うより、浮上中に排水している。架空の戦闘機のペン画も、ミサイルを分離させた瞬間や、海面に墜落する瞬間など、「動作と機能」を描いている。また、主題の戦闘機の背景で他の飛行機や戦艦から爆炎が上がっているエフェクトが描き込まれていたりする。自分が考えた戦闘機のデザインを見せるというより背景を含めた戦場の動的な広がりに描き手の意識がある。端的に言うとアクション志向。50年以上前の、富野喜幸中学1年生の頃の絵だが、現代の監督作のGのレコンギスタのMS描写の「メカの形から想像される機能と同時に、それらが作り出す戦場という状況を描く」という特徴につながっていると、富野ファンとしては思います。
 デザインはデザインだけの格好良さではなく、機能に結びつき、機能はアクションになり、アクションはフィールドを変化させる、という、ガンダムのアニメに通じるメカの置き方。絵画やデザイナーと言うよりやはりアニメ監督になるべくしてなったような嗜好がある。(富野監督がアニメ業界に入ったのはかなり偶然性が高いらしいが)
 富野喜幸少年が母を描いた水彩画も、ミシンで仕事をしている後ろ姿であるし、肖像と言うより動きである。
 風景画について、図録で「描いている途中に、好きな飛行機が飛んできたので描きこんだが、その時点で「風景画」ではなくなったと認識した」と富野監督の感想が添えてあるが。静物よりも動的な描写やドラマ性を好む性質が少年時代からあったのだろう。
 静的な架空の飛行場も、機能やはたらきを想像して描いてあったようでもある。


 アポロ計画以前の、小中学生の頃の月旅行に関する自由研究もロケットの運用機能などを考えていた感じで、それはGレコの航宙船のデザインとかにも通じるものがある。


※追記



 高校生時代の作品は水彩画が中心に展示されている。
 「芥子」という富野監督がしばしば使う俳号がすでにサインされている。やはり自己顕示欲や自己愛が強い。現代だと絶対中二病になって黒歴史ノートを書いていたタイプ。(僕もだけど)(ていうか富野監督は黒歴史アニメの産みの親なので)
 富野少年の水彩画は下手ではない。技術がないわけでもないし、(僕の時代の)普通の学生が美術の授業で習う程度以上の絵の勉強をしていたようにも見える。が、プロになれるかと言うと、そこまでではない、という微妙なライン。一応(本人は裏口入学と言っているが)日大芸術学部に入学している。大学では映像学科に行ったので絵画の勉強は中断されている。しかし、フォトコラージュという、写真と文章とレタリングを使った作品を作っている。また、学生運動(反核)でのポスターの図案などもやっている。Gレコではフォトショップでキャピタル・タワーなどの原案デザインを描いたりしていた監督だが、学生時代にパソコンがあったらアドビのイラストレーターなどを使っていたように思える。


 富野喜幸氏が日本大学藝術学部で絵画を本格的に勉強した場合、プロになれたかどうかは歴史のifなのでわからないのだが。逆襲のシャアやGレコのアクションの魅力的な殺陣や、あるいはキャラクターの視線などの芝居を見ると静止した絵よりも動作を描く方向に才能があったのだと思う。富野監督は謙遜するけど、ガンダムを当てたし、喜寿を過ぎても仕事があるので才能自体は確実にある。


 ていうか、冒頭で富野少年の絵が展示されているが、そのあと、安彦良和先生や中村光毅さん〜永野護、いのまたむつみ〜あきまん〜〜〜などなどの実力派の絵描きの作品も展示されていて見比べられる展示である。凡庸な精神では自分の少年時代の未熟な絵をプロイラストレーターの作品と並べられるのには耐えられないだろう。でも、そういう美術マンとの関係も含めて富野由悠季の世界ということだろう。それに少年時代の絵はサンライズ所蔵のものではなく、富野監督か実家に所蔵されていたものだろうし、出してきたのは監督ご自身だと思うので覚悟はしてきているのだろう。
 しかも常設展ではアニメ業界ではないガチの芸術家とも比べられるんですよねー。

 

 富野監督が大学生時代に撮影した8mmカメラでの「二つの場所」という作品。なんとなく呪いっぽい動物の骨とか流血とかショッキングな絵があるが、芝居としてはモタモタしていたような印象。セリフが聞こえないので意味はわからない。


●虫プロでのアトム
 鉄腕アトムの絵コンテと作画指示がある。手塚治虫先生の漫画は富野監督が唯一好きだったという漫画ということもあるし、手塚治虫先生の絵が高度に記号化されているので、富野コンテでも割と似せて描いている。
 また、アトムはバンクシステム(過去の素材を銀行のように出し入れして新作に流用すること)が多用されたからか、古い作品なのに保存状態がいいと言うか、絵コンテや作画に対して細かく番号が振られていて結果的に資料的になっている。今回の展示ではあまり分量は多くないのですが。


●フリーコンテマン時代
 1970年の「シートン動物記」は若さがあったのか、現在のGレコの絵コンテよりもかなり描き込みが緻密。(もちろんトップアニメーター出身の今敏とかほどではない)20世紀初頭のアメリカが舞台で、題材が動物の動きなので、背景と動きの指示としても絵コンテの指定が緻密にならざるを得なかったのだろう。シートン動物記のアニメの現物は殆ど見てないし、展示されていた映像も小さかったのでよくわからないが、記号絵ではない動物を描くのは大変だったろうなあと思う。(資料集めが大変だったらしい)


 1979年のガンダムをやる頃に描いた「赤毛のアン」では絵コンテの時の富野絵がほぼ完成している。キャラクターの表情はわかるのだが、そんなに緻密ではない、しかし温かみがあるような若干等身の低い、そんな絵コンテの富野絵。
 その富野絵コンテに修正を入れる高畑勲監督の絵コンテはもっとまるちょん顔である。高畑勲監督はマルチョン絵コンテでよく世界名作劇場とかジブリ作品を作ったものだ。
 他にも名作劇場とかフリーコンテマン時代のコンテを見たい気もするけど、そうすると物量が偏るし、現存してるのも少なそう。シートン動物記が一本見れただけでも歴史的な価値はある。


●漫画家を目指して迷走
 1973年「少年の情婦」という描きかけのマンガ原稿。タイトルの題材も雰囲気も妙に陰湿な感じがする。まあ、この時代はまだ漫画の絵の文法が完成していないのだが。あんまり上手くはないよね…。しかし、絵コンテで食っていくことに不安を覚えて漫画家を中途半端に目指して、描きかけで投げ出したマンガ原稿という黒歴史を富野由悠季の世界展にお出しする度胸はすごいな。富野監督自身も自分の作品史として格好良く大ヒットしたガンダムみたいなものばかりではなく、みっともない事もやった、というのを見せることが重要だと思ったのか?
 「少年の情婦」をリメイクしたような「二番目の国へ」は多少ペン入れが進んでいるが。原子爆弾と工場で働くおっさんが描かれているのだが、どういう話なのか全くわからない。絵柄と画力的にはガロでギリギリという感じ。おっさんが女性に向ける視線がなんとなくしつこくて気持ち悪い。ビル街のペン入れは頑張った感じがある。


  • 第2章 それでも生きていかねばならない

 筋肉少女帯かよ!


●海のトリトン
 1972年作品。16話の絵コンテが図録に。やはり丁寧な絵ではない。トリトンをかっこよく描こうという気持ちは伝わる。しかし、富野絵コンテの絵柄は等身が低いのでかわいい印象。


●勇者ライディーン
 1975年頃のオープニングとエンディングの絵コンテについて。オープニングは歌詞に合わせたアクション。エンディングは止め絵が主体なので富野絵コンテにしては鉛筆の影タッチなど描き込みが細かい。ひびき洸をかっこよく描こうとしている気持ちが伝わる。


●無敵超人ザンボット3
 前2作と同じく企画書の概念的な展示が多く、絵は少ない。セル画は主線が劣化して茶色くなっているなあという印象で、あんまりきれいに見えない。
 安彦良和先生のロマンアルバムポスターの神勝平の油絵イラストはガンダムと同時期だったからか、キャラクターグッズと言うより絵画的な完成度が高い。安彦良和展にも10年くらい前に行ったことがある。安彦良和先生についてはガンダムの項目でまとめて書く。


  • 第2部 人は変わってゆくのか?
  • 第1章 君は生き延びることができるか?


●機動戦士ガンダム
 安彦良和先生のキャラデザイン原案、大河原邦男先生のメカデザイン原案、ともにマーカー(?)でざっくりした彩色がされているが、本編とはかなり違っていたり。(これはZガンダムも)
 玩具用のガンダムのデザインはプレゼンテーションを兼ねていたのか、腕の部分が別紙になって貼り付けられててペラペラめくれる感じになっている。アナログー。


 数年前に大河原邦男展にも行ったのだが、ザクとグフの初期案の部分的なディテールがグフの決定稿やゲルググやギャンに移植されたりしていて、その試行錯誤を見るのもたのしい。(具体的に書き出すと疲れるのでやらない)


 富野監督によるMSの原案は宇宙の戦士のパワードスーツとストーム・トルーパーの影響も受けつつ、本編のMSよりも小さくてATより少し大きいオーバーマンくらいのやつなんだが、本編のモビルスーツよりもいろいろな機能がついていて、富野監督が新しいメカニックを生み出そうとしていた気概は伝わる。(あんまりかっこよくないけど)戦車より投射面積が大きいのが人型ロボット兵器の弱点と言われるけど、富野案のプロトタイプモビルスーツは「前面絶対装甲」を持つ。ATフィールドだよ!地球連邦軍の戦車には負けない!(TV版のオデッサ作戦ではボロ負けしましたが)
 でもモビルスーツが結果的に戦闘機を縦にしたのと同じくらいの18mになったのは良かったと思う。
 飛行機に成るZガンダムとか、Vガンダムやクロスボーン・ガンダムやGレコでコア・ファイターが効果的に使われているし、それくらいの大きさは必要。
 逆襲のシャアでの戦闘のビームやミサイルの搭載量とか、派手な決戦兵器要素と量産兵器要素のバランスとしてもモビルスーツはパワードスーツより大きくなって良かったと思う。(まあ、大きさに合わせて戦闘の段取りを組んだだけかもだが)
 大きすぎるとイデオンに成る。イデオンはイデオンでモビルスーツとはまた違う運用なんだよなあ。オーバーマンはアーマード・トルーパーよりは大きい。


 で、美術品としてのガンダム画稿だが。やっぱり、まず、設定画の段階で安彦良和先生の描くガンダムの線がきれい。きれいすぎる。鉛筆で迷いなく、あのガンダムの直線に見せかけて若干曲面になっている色気のある輪郭線を描いていて、本当に上手い。
 大河原邦男先生の設定画もいいんだけど、安彦良和先生の線はずば抜けている。


 また、この時代のメカ設定は太めの鉛筆で勢いよく線が引かれていて、とても美しい。メカだけど微妙な太細があって、色気がある。設定画に色気が必要かは議論があるかも。後年は大河原邦男先生も鉛筆ではなくペン入れして決定稿にしていくのだが。どうも線が整理されていくと、緻密なデザインには成るんだが迫力が減っているような気がする。(特に連邦のモビルスーツはどんどん線が細い印象になっている。プラモデルの方向性もあるのかもしれないけど)まあ、設定画は設定画であって、本編はアニメーターが描くのだけども。


 富野由悠季の世界展で、主役は富野由悠季なのだが。そして、ロボットものアニメという特定のジャンルなのだが。40年以上にも及ぶアニメ業界の変化や、そこに参加していた多くの才能のある絵かきの線や色使いを見比べられる展示であるので、それはとても楽しい企画だなあと。


 安彦良和先生のキャラクターデザイナーやアニメーターとしての良さはこのブログでは書ききれないので、庵野秀明さんがまとめた原画集を買いましょう。
安彦良和アニメーション原画集「機動戦士ガンダム」


 スペース・コロニーや宇宙要塞ソロモン、ア・バオア・クー、後半のジオン軍メカのラフデザインが富野監督によるものというのも有名な話だが、原案と決定稿を見比べると、「富野監督はよくこんな変な形のものを思いつくなあ」というのと「大河原邦男先生はよくこんな変な形のものをきれいにまとめたなあ」というのと「きれいにデザインされているしアニメーターは多くの人が描いているけど、富野監督のデザインの芯は印象に残るなあ」とか、そういう気持ち。


 油絵が充実してくるのもガンダムから。安彦良和先生のLPジャケットシリーズから劇場版三部作のポスターですけど。
 この時期の安彦先生は(時間がなかったのか)あんまり色の数を使ってないんだよね。「戦場で」は白と銀と赤と茶で戦場に佇むアムロを描いている。劇場版ポスターも青がメインで白で光沢を出して、差し色に赤と緑を使って、彫刻のような印象すらある。色数は少ないのだが、上品な印象であの時代にアニメをもう1段階高い文化に押し上げた感がある。
劇場版 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編(セル版)

 その後、安彦良和先生は漫画家となり、また違った表現を身に着け、21世紀に入ってからのガンダムエースの表紙など70代にして画力が向上していくのですごい。


 対象的に大河原邦男先生の劇場版ポスターはガンダムのリアルタイプカラーとか(プラモデルの影響か?)オリジナルのディテールアップの模様などが良い。ガンダムの世界観を広げている。
HGUC 1/144 機動戦士ガンダム 21st CENTURY REAL TYPE VER. 21世紀版リアルタイプカラー

 やっぱり第三部「めぐりあい宇宙」のジオングの爆光を背にしたガンダムのラストシューティングはもともとの構図が強いこともあり、歴史的なポスターだ。

 美術館の展示なのだが、画材が明記されていないのが少し残念。アニメのポスターは芸術品ではないのでレギュレーションがゆるいと言うか、特定の画材だけでなく色々使っているのだろうか。(そもそもアニメ自体が水彩画の背景にセルロイドの塗り絵を重ねて、その上からブラシを吹いたりしているわけで)


 白眉なのはやはり富野監督の構図に中村光毅さんの背景、安彦良和先生の原画、大河原邦男先生の塗りのポスターですね。マスプロダクツとしての宣材ポスターだからこその豪華合作。絵としてもかなりデカイ。
 太陽と月と地球と宇宙要塞とモビルスーツ部隊(ガンダム以外はジオンのボス)の全部載せで光源も割と大雑把だが、スペクタクル感がある。


 中村光毅さんの描いた大きなホワイトベースの艦橋の中の人物を安彦良和先生が書き込んだポスターも素晴らしい。(これが新聞広告に使われたらしい)
 これもデカイので美術館の展示として実物を見るとかなり感動する。また、富野由悠季の世界展はルネッサンス美術の展示とかに比べるとかなり原画に肉薄できる。(ガラスで額装はされているが)これを虫眼鏡で見るのもなかなか乙なものです。まあ、僕の画力はへっぽこなので、特に細部を見たからといって役に立つわけではないのだが、美しいものの細部を見るのはいい…。特に普段は印刷で縮小されてるのを見ることの多いポスターのデカい原画を見ると意外なところに細かいタッチが入っているのとかを見つけられていいのです。


 で、模型も展示されていて、これもなかなかいい。なにしろMAX渡辺さんのマックス塗りの初期作例の1/60グフ。(静岡会場ではガンプラの展示が更に増えたとか)
 富野喜幸監督によるガンダムとエルメスの作例もどういう手法かあんまりわからんけど金属光沢と汚れの表現がうまい。(コア・ファイターが露出してるタイプのガンプラだけど、コア・ファイターのキャノピーも銀色に塗ってよかったのかは審議)角が折れているのはご愛嬌・・・?MAX渡辺さんのグフも展示会場を移動する際に股関節が折れたらしいが、げんしけんのように修復したとか。破損を気にせずにすぐに治せるモデラーって素敵。でも美術館としては運搬中の破損は…。


  • 第2章 コスモスに君と

●伝説巨神イデオン
 
 イデオンのデザインはサブマリンだっけ。図録には載っていないが、イデオンの顔のデザインは初期はいろいろな案が出ていた模様。もうちょっとヒーロー性のある角がついていたり、バイザーの形も仮面ライダーカブトマスクドフォームみたいなやつだったり。
 最終的に感情移入を拒否するようなアレになったんですが。


 まあ、イデオンのデザインは現在でも何が正解なのかよくわからない感じなのですが。


 図録にはイデオンの直線的なデザインをパースペクティブにして巨大感を出しているような富野喜幸監督によるイラストレイアウトが多数掲載されている。(レイアウトは図録に載っているが、完成品は載っていない)富野喜幸監督はこの時期はガンダムが売れて意欲的だったのか、早描きする絵コンテの絵よりも格段に手の混んだ鉛筆画を描いている。IDEONの特徴的なメインタイトルデザインも富野監督によるもの。
 
伝説巨神 イデオン 記録全集1

 また、僕はイデオンのムック本はあまり読んでいないのだが、重機動メカの富野監督によるコンセプトデザインラフも「機能の具現化」という感じでいいです。具体的にはトライポッド的なシルエットで三本足の多い異形で歩行するけど、宇宙を超高速で飛び回る時は変形して推進機を揃える戦闘機に成るというような。後の可変型モビルスーツにも通じるコンセプト。


 まあ、正直、重機動メカの昔のロボットみたいなハサミの手はモビルスーツより古臭い感じで個人的には好きじゃないんですが。(イデオンのダサさに合わせたのかもしれないが)(まあ、作業用にしてはデカすぎるので、ハサミで敵をねじ切るのが最適なのかもしれんけど)
 発動篇で対巨人用に完成した重機動メカ・ザンザ・ルブは宇宙船とロボットの中間のようなシルエットで、白銀の曲面が美しいですなー。顔つきもなんとも言えない感じですし。
 イデオンの玩具といっしょに重機動メカのプラモデルも展示されていて、これはガンプラの展示に比べると素組で簡素なんですが、ザンザ・ルブは立体映えしますね。(色分けもあんまりしなくていいし)
1/600スケール 伝説巨神イデオン 対イデオン用最終重機動メカ<ハルル・アジバ専用> ザンザ・ルブ


 で、キャラクターとしては安彦良和先生を中心にしたガンダムから、湖川友謙さんのイデオンですが。展示画稿としてはキャラクターデザインだけでなく、記録全集やサウンドトラックやパンフレットなど、結構多くある。
 湖川友謙さんの油彩は安彦良和さんとはまた違った感じの画法で補色を多く使って鮮烈な印象。
「伝説巨神イデオン」劇場版 Blu-ray(接触篇、発動篇)

 ザブングルでもそうだけど、湖川さんは油彩だけでなく水彩画やマーカーなどいろいろな画材を使っている。(スケジュール感とか掲載媒体の違いとかか?)
 油彩(アクリルもあるか?)の筆使いも同時期でも安彦良和、大河原邦男、中村光毅、湖川友謙と個性がある。富野由悠季の世界という共通テーマはあるが描き手が違うので画家の個展とはまた違った味わいのある展覧会だ。(しかも時代も変わっていく)



 で、イデオンで一番グッと来たのは、劇場版の四条徹也(中村光毅)さんのポスター原画ですね。これは多分油彩。富野喜幸監督のダイナミックなイデオンとガンド・ロワを中心にした数多くのメカのラフレイアウトを天才的に絵画としてまとめ上げている。メカの描き込みの緻密さで巨大感を出しつつも、ド迫力の最終決戦感を盛り上げる神秘で残酷なイデやロケットや超新星の光で圧倒してくる。

 これは図録でも小さく印刷され、展示会でも下の方に貼ってあって残念だった。しかし、ガンド・ロワの描き込みを虫眼鏡で見るのはとても楽しかった。オタクなので。


 というか、いきなり文句を言うけど、展示会でターンエーガンダムの安田朗ことあきまんの油彩画を鑑賞する人が多く、イデオンの油彩画をじっくり見ている人は少なかったように思う。でもクオリティとしては甲乙つけがたい。
 なぜ∀ガンダムの油彩画に足を止める人が多いのかと言うと、多分豪華な額装をされているからだと思う。あきまんの油彩画の額装は以前東京のシャッツキステで見たあきまん個展の頃からのものだと思う。誰がつけたのかは知らないけど。
 その他の画稿は原画もコピーも同じような額縁に入っている。セル画をきちんと重なるようにして縦に貼るのは偉いけど。額装の違いによって絵の印象が変わるのは仕方がないが、オタクとしては全部の絵を納得行くまで自分で評価したい。(その結果として3日間で合計20時間滞在したのだが)
 そのあきまんさんも、あきまん個展の時に「油絵をじっくり見る客は多いけど、デジタル彩色した絵はあまり長く見られていない」とネットに書き込んでいた。(この時はまだTwitterでブロックされていなかったのかな)
 事実、富野由悠季の世界展でも3DCGでデジタル素材がメインのリーンの翼のアニメ版の設定データのプリントアウトのコーナーは客の密度が薄かった。
 うーん。仕方のないことかもしれないが、富野由悠季の世界を箱推しDD(どれも大好き)しているオタクとしては、ガンダムとかイデオンみたいな社会現象作品だけでなくて全部見てくれよーーーー!オタク!っておもうんだ!よ!
アイドルマスター シンデレラガールズ アクリルキャラプレートぷち 21 夢見りあむ


  • 続く

 というわけで10ヶ月以上前に見た展覧会の感想ですが、めっちゃ長くなった。(だいたい1万2千文字以上に成ると記事を分ける)
 これで400ページある図録の150ページまで感想を書いた。オタクだ…。というか、富野由悠季の世界の美術を1記事でまとめるのは無理なので!業界生活56年だぞ!
 なので、続きます。今週は月曜日から水曜日まで風邪を引いていて木曜日は人の金で焼き肉を食べてきた。
 僕も貧乏なりに銀行を回って金策したり用事があったり、基本的に体と自律神経が弱くて、寝たり起きたりして、感想を書くのが遅れて申し訳ない。
 続きもなるべく早く書きたいが、Gレコの分析もできてない。うわうわー。でも、実はイデオンよりVガンダムやブレンパワードのほうが好きな世代なので!
 やっていきたいと思います。


 冬が来ると、明確な冬季うつ病という理由があって悲しくなってしまい、活動力が低下しますが。キューバ・リブレでカフェインがぶ飲みして頑張るぞ!肝臓のガンマ値は…。ある程度Gレコの分析が終わったらウォーキングします。昨年はジョギングを秋にやってたら肺炎になった。
 まあ、怪人なので、死なない限り何かしら活動はしますので。




  • ほしい物リスト。

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 本は大体積んでしまいます。(よくない)


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